【ドミナリア】第1回 ゲートウォッチの瓦解【ストーリー】

2023年3月13日

はじめに

アモンケットでのニコル・ボーラスとの決戦により、ゲートウォッチは壮絶な敗北を喫します。

そして、ジェイスはイクサランへ、他の者はドミナリアへと逃亡します。

ジェイスがヴラスカと邂逅し、冒険を重ねる中で縁を深めアーヤコーヤしている中

ドミナリアに行きついた他のゲートウォッチメンバーは、大いなる敗北にその心を蝕まれていたのでした。

それは、ゲートウォッチという集まり自体が意味を失い、瓦解しかねない程に…。

ストーリー紹介ドミナリア編!始まります!

 

↓ストーリーのまとめはこちら↓

【ドミナリア】背景ストーリー紹介まとめ【ストーリー】




目次

ニッサの離反

腐敗した植物と湿った土の悪臭、曇天の空に荒廃した風景。

ドミナリアに渡ったギデオンが感じたのはそれらの光景と、肩に空いた穴の鋭い痛み。

リリアナ、チャンドラ、ニッサも、自分と同じように消耗しているのが見てとれたのでした。

弱気になるわけにはいかない。

ギデオンは努めて冷静に切り出します。

「計画通りには行かなかったということか」

「あら、そう?」 あざ笑うような驚きを声色にまとい、リリアナは彼へと向き直った。

「どうしてそんなことを言うの? 私が死者の川に溺れかけたから? それともニコル・ボーラスに玩具みたいに振り回されたから?」

(中略)

チャンドラが目をこすって言った。「ジェイスは?」

はっとして、ギデオンは再び周囲を見渡した。確かにジェイスの姿はなかった。

「まだアモンケットにいるということはない。逃れたのを私は見た」

(中略)

「来ないわよ」 厳しい声で、ニッサがその言葉を絞り出した。

「ジェイスは諦めたから」

「そんな事はありえない」

ギデオンは確信していた。ジェイスは自分達を見捨てることはないと。

その頃、それどころではないジェイス

ニッサは怒り声のまま、ボーラスの策略に嵌ったことを嘆きます。

それに対し、リリアナは自分を縛っていた悪魔ラザケシュを斃せたことは成果であったと言い返しました。

しかし、それはニッサの憤りを落ち着けるどころか、その火を大きくする結果になったのです。

「そうね、貴女の悪魔は死んだ。貴女は目的を果たして逃げた。ボーラスを倒すことなんて考えてなくて、自分の契約から逃れるために私達を利用した」

「私だって、ボーラスを倒したいわよ! 逃げたのは命が大事だから――私より先にジェイスだってそうしたでしょ」

「じゃあ、どうしてここに?」

ニッサは反論した。彼女は片腕を振り上げ、死が満ちる沼地を示した。

「今度はここで、私達の命をどう危険にさらすつもりなの?」

 

チャンドラは無感情にこの次元に最後の悪魔がいるのではないかと問い、リリアナはそれを肯定したのでした。

逆上したニッサは、悪魔の討滅には協力できないと突き放します。

視線を移されたギデオンは、痛みに耐えつつこれに答えました。

ボーラスを倒すためには、リリアナの力と、その解放のために悪魔を倒すことが必要だと。

腹を立てたように、リリアナは言った。

「ニッサ、あなたの命を救ってあげたでしょう! 貸しを返してくれないの?」

「私は貴女に何の借りもないわ」 全身から軽蔑を放ち、ニッサは一歩下がった。

「私達の誰一人として貸しなどないわ。もし皆それをわかっていないのなら、私はもう力になれない」そして彼女は更に離れた。

「ニッサ!」 チャンドラがその姿を見つめた。

「リリアナの力になりたくないのは、それはわかるけど、でもボーラスは――」

ギデオンは説得の言葉を探し、だが苦痛が思考を散漫にした。

「ニッサ、君は誓いを――」

「嫌」 大理石のように感情を固くし、ニッサは三人から更に下がった。

「自分の故郷も再建できていないうちに、別の次元が壊れていくのを見ていられないの。申し訳ないけど、私はゲートウォッチを辞めるわ」

チャンドラの叫びがこだまする中。

ニッサは次元から姿を消したのでした。

大気に蔦と葉の影が満たし。

かすかな緑の群葉と花の香りを残して。

“壊れた絆"

ニッサに戻るよう説得しようとするギデオンをよそに、チャンドラは顔を上げます。

「私も行く」

「何だって?」 唖然として、ギデオンは彼女へ向き直った。

(中略)

「私は辞めないから」 チャンドラは早口で答えた。その感情には決意だけがあった。

「絶対辞めないから! けどギデオン、あんたの言う通り。私はここから学ばないといけない。アモンケットで失敗したのは、私が弱すぎたからなのよ!」

リリアナは慌てた。

「それで失敗したわけじゃ――」

「私はもっと強くなる」 チャンドラは顎を上げた。

ギデオンは説得を試みた。

「チャンドラ、確かに私は『失敗から学べ』と言ったが――」

「自分が何をしてるかぐらいわかってるわよ!」

彼女はそう言い放った。そしてギデオンが次の呼吸をする前よりも速く、炎の迸りを残してその姿は消えた。

 

眼前に広がる、かつての仲間がいた、無人の空間。

なぜこうなってしまったのか。

不機嫌な様相で「あなたも去るのか」と食ってかかるリリアナに、ギデオンは「ここに残る」と告げたのでした。

彼女は、様々な感情がないまぜとなった表情のまま、言葉を発します。

「いいわ。なら仲良くやりましょ」

(中略)

「いらっしゃい、休む場所を見つけて治してあげるから」

ギデオンははっとした。

「君に癒しの技が使えるのか?」

リリアナは鋭く言い返した。

「あなたの知らないことはドミナリア中の本棚を埋め尽くすくらいあるのよ。さ、ついて来なさい」

彼女の「オリジン」は治療術師であり、薬草による治癒が専門




兄の行方

リリアナは、自分の故郷である地が様変わりしたことに驚くのでした。

あまり使われていなさそうな宿を見つけ、手早く薬草などの手配を依頼したリリアナは、宿の主人に何が起こったのかを問います。

「陰謀団ですよ」と主人。

彼女は、自分が知っていた時よりもはるかにその勢力を伸ばしていることに衝撃を受けます。

加えて、ヴェス邸について話した主人の口調により、自分が起こした事件は、この地の伝説になっていることをも認識したのでした。

子どもが持ってきた薬草を一通り見たリリアナは、立ち上がるとギデオンへと告げます。

「私が欲しい薬草が入ってないのよ。けど近くに育っているかもしれない。探しに行ってくるわ」

ギデオンは再び寝椅子に身を沈め、痛みにひるんだ。それを見てリリアナは悪意の笑みを浮かべて告げた。

「安心しなさい、見捨てはしないから」

「その心配はしていない」 彼は穏やかに、リリアナを見上げながら言った。

「ベルゼンロックを殺すためには私が必要だからな」

何も言えず、そして二重に苛立ち、リリアナは宿を出た。

 

あたりの探索を終えて帰途についたリリアナは、戦いの音を耳にします。

同時に、自分が世話になっていた宿がアンデッドたちに襲われているのを目にしたのでした。

彼女が、まさに今ギデオンを襲わんとする騎士を掌握し、敵を殲滅していく中。

リリアナに届いた、心への囁き声。

『虚無がお待ちです』

その声に、彼女は凍り付いてしまったのでした。

思い出したのは、自分が兄を変貌させてしまったあの日の記憶。

呪詛のように、『虚無』へと自分を誘おうとする兄ジョスの声。

リッチの顔が目の前に燃え上がった。それは、ジョスだった。

嘘。リリアナは心臓が止まったように思えた。ありえない。

「嘘よ!」 彼女は叫んでいた。

(中略)

司祭は苦しい笑い声を上げ、咳込んで言った。

「我らが悪魔王、闇の末裔はご存知でした、貴女様の帰還を! あの御方は貴女様の大切な兄上を下僕とし、不浄なる軍勢の司令官とされたのです!」

「お兄様が、ベルゼンロックに仕えているの」 リリアナは繰り返した。

(中略)

ジョスの運命を知って、増大する怒りが恐怖を凌駕した。許すことはできなかった。兄をベルゼンロックの下僕にはさせておけない。何があろうとも、兄を解放しなければ。

「ベルゼンロック、思い知らせてあげる」 凍れる怒りを込めて、彼女は言った。

「どんな事をしても、思い知らせてあげるわ」




次なる打ち手

靄のかかった沼の道中。リリアナは目的の人物と邂逅します。

鴉の男。

正体の検討もつかない。なぜ自分にここまで干渉してくるのかもわからない、謎の男。

しかし過去、彼の甘言に乗ってしまったことによって、兄は怪物へと変貌してしまった

その事は事実だったのでした。

「お前がやったんでしょう。元に戻しなさい。お兄様を眠りにつかせなさい」

「それは不可能だ」 黄金の瞳が穏やかに彼女の姿を認めた、まるでリリアナの苦痛を楽しむかのように。

「そこまでお兄さんが恋しいのであれば、私についてくるといい」

(中略)

彼女はかすれた声を上げた。

「何が目的なの? 私に何をさせたいの?」

(中略)

「君はその答えを知っていると思うが」

その言葉は沼地の静寂へと消えた。返答したくはなかった、できなかった。自分はもう知っている? 彼女は尋ねた。

「お前が私を覚醒させようとしたの? どうして私にプレインズウォーカーになってほしかったの?」

取り囲む鴉が飛び立ち、リリアナは身体をのり出した。

「ちょっと、まだ――」

そして彼女が片手すら挙げないうちに鴉は一斉にうねり、目の前にいた男と全ての鴉は不意に消え去った。

リリアナは不満と怒りに罵り声を上げた。

「役立たず!」

 

宿へと戻ってきたリリアナへ、ギデオンは何か収穫があったかと問います。

彼女は、真相を隠しながら重要な部分のみを話そうと考え……。

結局、その試みは無意味なものだと悟ったのでした。

リリアナは不承不承、話し始めます。

この一帯のリッチを率いているのは、自分の兄であること。

自分は過去に事故によって兄を失い、同時に灯に覚醒したこと。

そしてその兄を、ベルゼンロックが蘇らせ利用していることを。

再び、彼女はギデオンの離脱を予想した。

これは話し合った内容には含まれず、ニコル・ボーラスを倒すという自分達の目的にも関係ない。ギデオンの立場だったら、自分は既に抜けていただろう。だが彼は思いにふける表情で頷いた。

「わかった。ならば次の目的ははっきりと決まったな」

「はっきり?」 彼女は驚いて言った。

 

ギデオンは、陰謀団の力を弱らせ、ベナリア軍を再編させることは、自分たちにとっても有用だと告げます。

その同意の声を噛み締めながらも、リリアナがベルゼンロックのためでなく、兄のためにヴェールの力を利用したいと言います。

ならば悪魔は別の方法で倒すしかない。そうギデオンは話したのでした。

彼はわずかに肩をすくめた。

「何一つ単純に事は運ばない、容易くもない。いつもそうだが」

リリアナは唇を噛んだ。じれったい感情が波立つのは奇妙だった。ギデオンは実践的なのだ。一時的にでも、同じ目的があるというのは幸運だった。彼女は言った。

「兄を元に戻すには、ヴェス邸に連れていかないといけないのよ、けれど方法が思いつかない。陰謀団を率いていて、その軍勢に取り囲まれているんだから」

ギデオンは立ち上がった。

「それについては、私ならやるべき事がわかりそうだ」




今回はここまで

いやぁ…ほんと何度も言ってるけどさ…。

ギデオン、いいやつ!!!!!(TwT。)

こーゆーとこなの!ギデオンのこーゆーとこなのよォ!

ホント、彼がゲートウォッチの創設者でよかった、と思わされる瞬間ですね。

彼なくしてゲートウォッチはなく、彼なくしてゲートウォッチは存続しない、と。

偉大な男ですよ、こいつぁ。

 

というわけで、首の皮一枚で繋がったゲートウォッチ。

ニッサの離反、チャンドラの旅立ちを経て、どうなるギデオンとリリアナ!

次回もお楽しみに!

 

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*出典*

MAGIC STORY ドミナリアへの帰還1

MAGIC STORY ドミナリアへの帰還2