【ドミナリア】第8回 チャンドラとヤヤ【ストーリー】

2023年3月13日

はじめに

ボーラスによる敗北を機に、より強い紅蓮術師となるため、ヤヤ・バラードにその教えを請おうとドミナリアを散策していたチャンドラ。

彼女が旅の果てで知ったのは、自分がまだゲートウォッチに入る前に鍛錬していたケラル砦で自分を手引きしていた修道院長ルチこそが、ヤヤ・バラードであったということでした。

チャンドラは目的の人物を見つけた喜びと同時に、その事実への驚きを隠せなかったのでした。

 

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【ドミナリア】背景ストーリー紹介まとめ【ストーリー】




目次

ヤヤ・バラードの過去

もはやからかわれたかのような感覚に、チャンドラはヤヤを糾弾しました。

対照的に落ち着き払ったヤヤは、チャンドラのためにケラル砦にいたわけではない、と弁明します。

「だいぶ昔のことだよ。レガーサに行って、ちょっと人助けをして、酔っぱらって喋りすぎて、どうも凄く印象的な紅蓮術を何か見せた後でそこを去ったらしいんだよ。二百年経って戻ってみたら、私が神様みたいに信仰されてるじゃないのさ」

彼女は腕を組み、頷いた。「正直、そんな柄じゃなかったんだよ」

 

ヤヤが語ったのは、彼女のレガーサにおける出来事と意図。

自分を神聖化するのは不本意なことだが、解釈違いをされるのも本意でなかったこと。

そうならないよう、手引きしていくのも自分の役割だと思ったこと。

若い紅蓮術師を育てる方針には賛同し、自分の残りの余生を価値のあることに捧げたいと思ったこと。

その説明に、チャンドラも納得せざるを得なかったのです。

そして、彼女のゴーグルを返還しつつ、改めて依頼をしたのでした。

「もっと強い紅蓮術師になるために必要なことを教えて欲しいの」

ヤヤはそのゴーグルを受け取り、表情を石のように固くした。

「お断りだね」

(中略)

「私がルチだった時、あんたは私を役立たずの婆さんだって無視していたじゃないか。それがヤヤ・バラードだってわかった途端に、耳を貸す価値ができたってのかい」




ヤヤの意志

ヤヤとの邂逅から一夜明け。

一日中交渉し、怒り、それでも耳を向けないヤヤに疲れ、チャンドラは半ば目的を失っていたのです。

ヤヴィマヤの森で、地面を切削し続ける自動人形を見ていた彼女に話しかけたのは、カーンでした。

「君はいつもあんなふうに、まるまる半日叫び続けているのかい?」 カーンの声色は皮肉っぽい楽しさがあった。

(チャンドラ)

「悪かったわ、あの隣で作業するのは確かに大変よね」 彼女は乱れた土を蹴り上げた。「何を掘ってるの?」

 

「サイリクス」だと、カーンは答えます。

ウルザが作ったもので、彼はそれを新ファイレクシアで起爆するのだと。

ヤヤは、それが発掘されることを恐れるムルタニの攻撃から、カーンを守ってくれているのだと。

ヤヤの名前が出たことを契機に、チャンドラはその紅蓮術師のもとへと向かいますが、その冷徹な態度は変わっていなかったのでした。

「自分の助けなどいらない」。チャンドラはレガーサでそういったはずだ、と。

ヤヤは彼女へと向き直り、その表情には苛立ちが刻まれていた。

「あんたが知らなきゃいけないことはもう全部伝えたよ。秘密なんてない。力を高めるためには、自分が求めることと本当の自分を知ることだ。あんたは自分が何を求めているかをわかっていないだけだよ」

チャンドラは歯を食いしばった。

「求めるのは、ニコル・ボーラスを殺すこと。単純よ」

「じゃあ何故、ゲートウォッチの友達とじゃなくてここにいるんだね?」

きついその声には失望があった。「これ以上は言わないよ、チャンドラ――」

 

そこで、二人は大きな破壊音を聞きます。

自動人形らが掘削していたクレーターの元へと戻ると、中にいたカーンは何かを手にうなずいたのでした。

同時に、ざわめき始める木々たち。

チャンドラはここへ辿り着いた時のことを思い出しつつ、さらに数の増した木々の軍団を見たのでした。

彼女はヤヤと共闘し、迫りくる樹を焼き払っていきます。

そしてその戦いのさなか、チャンドラはヤヤの警告の声を聞いたのでした。

チャンドラは急いであたりを見て、思った。最悪じゃん。

木々の梢から立ち上がったのは根と枝からなる一体の巨人、その目と口には黄色の光が宿っていた。頭部は頂上に向かって尖り、木々は角の形をなし、もしくは尖った冠のようだった。チャンドラは言った。

「あれは何なの?」

「きっとあれはムルタニ、でなきゃその残骸だよ」 ヤヤは厳めしく言った。




ムルタニの強襲

現われたカーンは叫びます。

ムルタニは意識がはっきりしていないだけだと。

チャンドラの見上げたムルタニの表情には怒りや懸念よりも悲しみがあったのでした。

「持ちこたえないと!」

森をかき分け、進撃してくるムルタニ。

それらは攻撃のため、周りの木々を集め始め。

そして…。

そして、その大樹はぴたりと動きを止めたのでした。

攻撃の前触れ、そう構えるチャンドラに対し、ヤヤはゆっくりとゴーグルを外します。

「森を見てみな。動きが止まってるよ」

カーンは金属の額に皺をよせた。「これは時間の魔術だ」

「へ?」 チャンドラは当惑に声を上げ、そして気付いた。

森の葉や枝は風を受けてわずかに動いているが、ムルタニとのその生きた木々は石のように固まっていた。

 

すぐにチャンドラを覆ったのは、船底の影。

その選手には、青いローブを纏った魔術師が、明らかに強力な呪文を行使していたのでした。

カーンは、驚きとともに声を発します。

「あれはウェザーライト号、そしてあそこに立っているのはテフェリーだ」

彼はかぶりを振った。「これは予想外だったよ」

「時間の魔道士は機を心得ているってことだね」 ヤヤは微笑んだ。

「うん、でもあれは――」

チャンドラは疑問を口にしようとした。その時誰かが船から身をのり出して搭乗用の梯子を投げ下ろした。驚愕とともに、彼女はその人物を認識した。

「ギデオン!」 声を上げ、彼女は大きく手を振った。

 

チャンドラの声に驚いたギデオンは、早く船に乗るように促します。

しかし、チャンドラはこれを拒んだのでした。

自分はこの状況をどうにかしたい、と。

「友達が教えてくれたことがあるの」

チャンドラは下り坂を駆けた。ニッサがやってくれたように自分も他の誰かにできるかどうかはわからず、だが試す価値があった。ムルタニをこのまま放っておくのは良いことではなく、このあたりに生きる全てにとっても危険と言えた。

「目覚めさせることができるなら、やらないといけないのよ」

 

チャンドラはムルタニの真下へ行くと、語り掛けます。

あなたはこんなことをしたいわけじゃないのでしょう、と。

誰かを傷つけたいわけじゃないってわかっている、と。

そして、冷たい水を思い浮かべるように言ったのでした。

それは、自分が傷心していたころ、瞑想へ誘ってくれたニッサがそうしてくれたように。

やがて、木々は穏やかな土へと沈み。

時間呪文を解除したとき、語り掛けてきたムルタニの声は、深く低く、落ち着いたものへと変わっていたのでした。

 

カーンは、サイリクスを新ファイレクシアへと使いたいと説明します。

誓って、ドミナリアに危害を加えることはないと。

ムルタニはこれを静かに認めたのでした。

ギデオンは歓喜してチャンドラの行いを褒め、リリアナは皮肉交じりにねぎらいの言葉を投げます。

そして、ヤヤでさえも、チャンドラの技を認めたうえで、その口の端に笑みをたたえていたのでした。

ウェザーライト号へ向かって呼びかけた。「今どういうことになってるの?」

リリアナが返答した。

「あなたが逃げ出した時と同じよ。ベルゼンロックを倒す計画を進めているの!」

「逃げたんじゃないわよ! 私は――」 チャンドラはそこで口ごもった。

「この子は私を捜しに来て、それから紅蓮術の上達を手伝ってやってたのさ」

ヤヤは声を上げ、周囲にけぶる戦場を示した。「見ての通り、ちょっと練習をね」

チャンドラは彼女へと向き直った。

「え? でも――」

ヤヤはチャンドラの肩を叩いた。

「ああ、そうさ。あんたはまだ辿り着いていないけど、ムルタニにやったことは私に可能性を見せてくれた。さあ、ここから離れようじゃないか」




今回はここまで

ヤヤとチャンドラ、復縁!

しかし、ニッサとの瞑想のシーンがここで活きてくるとは…相変わらず何が伏線になるかわかったもんじゃないですね…笑

ちなみに、ムルタニはウルザズ・レガシーで初出の伝説のクリーチャーですね~

このあたりも、古参の方々は歓喜できるキャラクターなのでしょう…。

というわけで、次回もお楽しみに!

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*出典*

ドミナリアへの帰還 第9話