【破滅の刻】第3回 栄光の刻【ストーリー】

2022年3月9日

はじめに

アモンケットに約束されていた「刻」が始まり、来世へ続く門から現われたのは悪魔でした。

その血により阿鼻叫喚の光景となったアモンケットで、ゲートウォッチとラザケシュの全面対決が始まり、それぞれが連携することでその悪魔を討ち滅ぼしたのでした。

しかし、ボーラスの仕込んだ「破滅の刻」はまだ序章に過ぎません…。

 

目次

力の神vs蠍の神

ルクサ川が血の川と化す中、アモンケットの五柱はそのほとりに集合していたのでした。

唐突に聞こえるひび割れの音。

神々が目を向けると、神殿の石像が動き出しているのがわかります。

集合した神々よりも巨大で。

昆虫の頭部を持つ者。

一体は蠍、一体は蝗、そして一体はスカラベ。

それらが神であることは疑いようのない事実でした。

が、王神の記述にこれらはなく、そして神たちの記憶にもないものだったのです。

右で、ハゾレトが槍を構えて一歩進み出た。

だがロナスは杖を伸ばして彼女の熱情を留めた。これは敵か、それとも試練なのか?

『我が名はロナス、力の神。其方らは何者だ、そして何ゆえにこの栄光の刻に目覚めた?』 彼は声を響かせた。

蠍の神は返答せず、だがその昆虫の頭部をロナスへと向けた。

(中略)

ロナスは再び舌を宙にちらつかせた。

「アモンケットの神を無視することはならぬ。我等はこの街と民を守るべく立つ。もし其方らが我が試練であるならば、打倒し我が力を示すものなり!」

警告もせず、蠍の神は鳴き声を鋭く高くしながらロナスへと突撃した。

 

激突するロナスの杖と、蠍の鉤爪。

戦いの中で、神はこれが栄光の刻の試練であると確信したのでした。

両雄武器を交えるも、ロナスこそこのアモンケットの「力の神」。

圧倒的な力で、蠍の神を退けます。

ロナスは歩きだした。

「其方は実に強い。だが勝利することはない」

(中略)

ロナスはにやりと笑い、牙をむき出しにして杖の先の刃をその神の肩へと突き立てた。

(中略)

杖を引き、蠍の神は弱々しく鳴きながら膝をついた。人々の咆哮が耳に響き、仲間の神からの安堵と温かさのうねりを感じた。ロナスは倒したその怪物を認め、兄弟姉妹及び集まった定命へ向き直り、言葉を発そうと口を開いた。

その言葉が喉から出てくることはなかった。

背後、突然の素早い動きがロナスを不意打ちした。鋭い鉤爪が腕に食い込み、背後から掴みかかる蠍の神を彼はわずかに目にとめた。そして次の瞬間、ありえない痛みが彼の心を裂いた。

時が静止した。

ロナスは見下ろし、自分自身がルクサの岸辺に立っていることを知って驚いた。背後には蠍の神が迫り、いかにしてか滲み出て暗く輝く影の姿が、ロナスの身体に鉤爪を突き立てていた。

その時、ロナスは蠍の尾が、その神の頭上から、自身の頭蓋を貫く様を見た。

私は……斃される。

栄光の刻

それは、神をも殺す猛毒。

その不死性をあざ笑うかのように浸食するそれに、ロナスは不意に真実を思い出したのでした。

溢れだす過去の記憶。

アモンケットの神々は元々は八柱でり、互いにこの世界を守っていた。

王神によって堕落させられるまでは。

そう、王神こそが。

ニコル・ボーラスこそがすべての元凶だったのだ。

この神はかつて元の八柱の一つだったが、かつて最も愛した兄弟姉妹を殺す者へと堕落させられ、変質させられた。

「同胞よ」 ロナスは囁いた。

ロナスは蠍の尾が抜かれるのを感じた。筋肉が痙攣して緊張し、死が素早く接近してきた。そして彼の心は砕けた。失われた三柱の兄弟に、死した定命に、穢れた欺瞞を願わせた者達に。

そして世界の力は消え、その不死の光は食らい尽くす影に散った。




神の最期

蠍の神がその棘を抜いた途端、ロナス神は大地へと崩れ落ちたのでした。

悪神が歩みを再会した途端、定命の者たちの大混乱が弾けたのです。

歩みを進める蠍の神の背後で、ロナスは命を使い果たすことと引き換えに、最後の一撃を放ちます。

ロナス最後の抵抗

「王神、穢れた侵略者にして破壊者に死を!」

かすれた悲鳴と最後の力をもって、ロナスは残された魔力の全てを杖に込めて宙へと放った。

ロナスが倒れ、その生命が失われると、彼に繋がっていた不可視の力線とマナが切れ、ナクタムンのあらゆる生命へと力の爆発が波となって放たれた。神が死んだ衝撃に定命は身体を折り、他の神々ですらよろめいて後ずさった。

 

その一撃が蠍の神の足を止める中、他の四柱の神々は定命の者を守らんとする使命にかられたのでした。

同胞の最期の言葉。

王神への不敬の言葉を疑問に思いながら。

そんな中、聞こえてきたのは虫の羽音。

蘇った蝗の神は、その両手から大量の虫を解き放つと、それらは都市を守るヘクマを食い荒らしていったのでした。

「何をしているのです!?」 ケフネトが叫んだ。

預言の言葉を思い出し、実感と理解の震えがオケチラの背骨を駆け下りた。

『そしてその時が来たならば、王神はヘクマを取り壊すだろう。』

オケチラは声を出した、それは囁き声にまで落とされていた。

「約束の刻が始まったのです」




今回はここまで

ロナス、斃れる…!

「栄光の刻」のカードイラストを見たとき、「なにこれどういう画!?」と思われた方も多かったのではないでしょうか。

力を司る神からまず滅ぼされる。

神々に絶望感を与える展開で、ストーリーが進んでいきます…!

 

ちなみに蠍の神は、-1/-1カウンターを置くという毒らしい能力によって、ちゃんと破壊不能を持つロナスを打ち倒せる性能になっているところもストーリーに忠実ですね!

もちろん、ロナスが敗北するシーンを描いた「栄光の刻」は、神をこそ斃さんとする能力になってます。

というわけで次回もお楽しみに!

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*出典*

MAGIC STORY 破滅の刻 栄光の刻