【イニストラード:真夜中の狩り】第5回 収穫祭の終わり【ストーリー】

2023年3月9日

はじめに

イニストラードの昼夜の均衡を正すべく、カティルダ主催の収穫祭が始まりました。

そして、そこへ乱入してくる狼男たち。

アーリンは元同胞として、その首領トヴォラーとの決闘へと向かうのですが。

なにやら、狼男たちとは違う影も近づいているようで…?
 

↓ストーリーのまとめはこちら↓

【イニストラード:真夜中の狩り】背景ストーリーまとめ





 

目次

オリヴィア邸にて

扉を叩く音に殺意を覚えたのは、吸血鬼の淑女オリヴィア・ヴォルダーレン。

丹念に時間を費やし剥がした乙女の皮が、自らの顔から動かぬように。

入室してきた召使フォイヤーが彼女へと上げる報告を、目を開けずに聞いていたのでした。

「私に無駄な骨折りをさせないことね。美容の時間を邪魔されるのは我慢ならなくてよ」

(中略)

「我が最も輝かしく強大なる淑女、オリヴィア・ヴォルダーレン様」

彼女の唇が小さな笑みに動いた。その通り。宜しい。

「人間たちに関する知らせをお持ちしました」

オリヴィアの笑みと良い気分は、消えた。

 

曰く、人間たちは昼と夜の均衡を正そうとしている。

そしてそのために、彼らは祝祭を行おうとしているのだと。

旅人の一団がそれに加担しており、率いているのはアーリン・コード。

そこに加わっている髪の燃え立つ女性が、月銀の鍵のことを聞いていたと。

フォイヤーは吸血鬼へと、さらなる情報収集をするつもりだと言ったのでした。

オリヴィアはため息をつくように、その必要はないと答えます。

「フォイアー、お前が欲しがっていた材料を誰かが手に入れたとしたら、どうします?」

「ふむ。殺すでしょう」

わかっていない男だ。

「そうですわね、それは明白です。ですがいつ殺すのですか?」

「直ちに、です。侮辱を向けられたに等しいのですから」

オリヴィアは声をあげて笑った。

「だからお前は視野が狭いのですよ、かわいらしい子」




狼たちの決闘

狼の姿で決闘となったアーリンとトヴォラー。

爪と牙が乱れ舞い、互いが互いに傷を増やしていく中、トヴォラーはなおもアーリンへと呼びかけていたのでした。

「帰ってこい」と。

やがて彼は、アーリンを押さえつけます。

そして、群れへ帰ると言えば離してやると突きつけたのでした。

アーリンは目を開けた。今や彼女は理解した。トヴォラーは、聞きたい言葉を聞くまで離すつもりはない。

「ただいま」

その短い言葉を発するだけでも多大な努力を要し、だがかろうじて声に出した。

その言葉は嘘ではない。

 

アーリンを立ち上げ、抱きとめるトヴォラー。

それもまた、彼女の帰る場所。

トヴォラーの気持ちは、アーリンから離れていない。

しかし、彼の獰猛さや残忍さから、アーリンの気持ちはすでに彼から離れていたのでした。

アーリンは彼の胸骨へと、鉤爪を深く突き立てます。

これは不意打ちだ。正当ではないと言う者もいるかもしれない。

だが彼の襲撃を止められるなら、世界においてこれ以上に正当なものはない。

 

よろめくトヴォラー。そしてゆっくりと事態を理解し。

彼はかすむ両目でアーリンを見ていたのでした。

それは、肉体ではなく、心うちで何かが壊れたのだとわかる表情。

そして敗北を認めたように、彼は狼へと撤退の遠吠えを上げたのです。

アーリンは彼を下ろし、手を引き抜き、上体を起こして座らせた。

痛みに屈む姿を見たなら、他の者たちは彼を生きたまま食らってしまうだろうから。

トヴォラーは再びアーリンを見た。彼女はかぶりを振った。

(中略)

ついて来るか、彼はそう尋ねはしなかった。




儀式の完成へ

満身創痍のアーリンに追いつくエーデリンの白馬。そして馬上から伸ばされるチャンドラの手。

人間の姿へと戻ったアーリンは、終盤へ近づく収穫祭へと戻ります。

詠唱を続ける魔女たち。月銀の鍵を掲げるカティルダ。周囲の人々の目に宿る希望の光…。

そして突然、魔女たちにより呼ばれるアーリンの名前。

イニストラードじゅうの視線を浴びる中、彼女はカティルダの待つ祭壇へと昇ったのです。

「昼のために其方の血を注ぐ気はあるか? 恐怖の内に生きる者を、其方の牙で守る気はあるか?」

彼女は視線を動かした。

(中略)

誰も、その正確な意味を理解しているようには見えなかった。

「そうします」

彼女はそう返答した。自分は理解している、そう確信した。

 

ふらつく身体で、黄金の鉢へと血を捧げるアーリン。

魔女たちの口はだらりと開き、そこから溢れる銀の流れは鉢へと向かい。

力の抜けていくカティルダの体を、他の魔女が支える…。

しかし唐突に、祭壇は大きな影に覆われたのでした。

同時に漂う、死の香り。

それは人間の目にはとらえられない速度で起こり、だがアーリンには追えた。

赤と金の光線が空から稲妻のように落ち、ありえないその色にカティルダは息をのんだ。その光線の中には、オリヴィア・ヴォルダーレンがいた。

 

咄嗟に月銀の鍵へと飛びついたアーリン。

しかし、宙へと舞い上がったオリヴィアの腕には、力を失ったカティルダがいたのでした。

冷笑とともに地を見下ろした吸血鬼は、魔女と交換に鍵を要求します。

鍵と、そしてカティルダ。両方がなければ完成しない儀式。

苦渋とともに、アーリンはオリヴィアへと鍵を投げました。

彼女は空いている方の手で鍵を掴み取った。それを見つめ、オリヴィアの顔はますます喜びに輝いた。指先から煙すら上がった。

「カティルダさんを下ろしなさい!」

アーリンは叫んだ。

喜びはしかめ面に代わった。

「間もなく花嫁となる者に向ける言葉遣いではなくてよ」

 

やがて、上空から「落とされた」のではなく、「投げつけられた」カティルダの身体。

すんでの所でアーリンが飛び込むも、激突する肢体、そして砕けるカティルダの骨。

その視界が晴れた時、吸血鬼は夜闇へと消えていたのでした。

鍵は奪い去られた。

セレスタスは沈黙していた。

イニストラードに夜が降りた。

ここから永遠に続くであろう夜が。




今回はここまで

BAD END!!!

「真夜中の狩り」のストーリーはここで幕を閉じます。

完全に次回作「真紅の契り」へと続く物語ですね…( ;一一)

オリヴィアが月銀の鍵を欲した理由とは…?

そして、彼女は誰の”花嫁”になるのか…!?

あと、トヴォラーは意外と悪い奴ではなかったですね…ひたすらにアーリンと仲良くしたかった(!?)だけであって…。

 

というわけで、今回のイニストラードはここまで!

また次回、「真紅の契り」のストーリーにてお会いしましょう!

お楽しみに~。

 

☆Twitterで更新情報発信中!フォローお願いします!

【関連記事】

【ストーリー】大天使アヴァシンの最期 後編

【イニストラード:真夜中の狩り】第2回 アーリンの過去【ストーリー】

 

*出典*

メインストーリー第5話:夜来たる