ニッサの灯の覚醒~故郷の邪悪な存在と対峙したエルフの少女【ストーリー】

2023年3月3日

はじめに

ついに第四弾!

「ゲートウォッチの起源をたどる!マジック・オリジン」

今回は、ゲートウォッチきっての森ガール(!)ニッサ編です!

彼女のオリジン、公式の記事はその名を「故郷」。

他のプレインズウォーカーと違い、ゼンディカーで生まれ、ゼンディカーに生きているイメージの彼女ですが、灯の覚醒のきっかけは如何に…!?

それではいってみましょう!




目次

ニッサの幻視

ニッサはそのころ、たびたび悪夢を見ていたのでした。

最初は、自分を包む心地よい光の流れ。

しかし、そのうち巨大な黒い縺れが光を押し返し、息詰まる暗闇に飲み込まれ…

そこで目が覚める。

そして、ニッサが身を寄せる宿営地の長ヌーマは、これを危険視していたのでした。

その日も、ニッサの母メローと話すヌーマは、彼女のもたらす危険を憂いているのです。

「何も、誰も探してもいません」 これは彼女の母、メローの声だった。「破壊は手当たり次第にやって来るだけです」

「手当たり次第? あなたの民はゼンディカーを怒らせ、その代価を支払うこととなった。あなた方が最後の精霊信者であるのは、その理由からだ。」

ニッサは身震いをした。皮膚の湿気が冷たくなった。

「ゼンディカーは復讐に燃えてなどいません」 母は主張した。

「もしそう信じているとしたら、あなたは何もわかっていない。あなたとあなたの娘は私達皆を危険にさらしている。それを見過ごすことはできない」

(中略)

「理解してほしい、私は民を第一に考えねばならないと」 彼は続けた。「私の民を守らねばならない」

「あなたは……私達を追放すると?」 母の声色には疑念があった。

「メロー、私に選択肢はない。ゼンディカーの報復の危険を背負うことはできない。済まない、本当に」

 

彼女は仲間から追放を言い渡される前に、一人その宿営地を離れることを決めたのでした。

ニッサは、その一族のほぼ全てが滅びた精霊信者の生き残りです。

離れた先で友人のマジクと遭遇した彼女は、旅立った森の中で光の波に飲まれ、そこでゼンディカーと完全につながったのでした。

そして知ります。

ゼンディカーは自分へ邪悪な意思を向けようとしていたのではないと。

ゼンディカーはただ、邪悪なる何者かに苦しめられていたのだと。

精霊信者の覚醒

ゼンディカーとつながることにより、次元がニッサを導こうとしている場所もわかり始めます。

ニッサはマジクと、そしてゼンディカーとともに旅を続けるのでした。

若かりしニッサと、付き添いのマジク




巨悪との邂逅

ニッサは旅の中で、大地とつながり、エレメンタルを呼び出すことを覚えます。

やがてマジク、そしてエレメンタルと旅をするニッサは、ついに暗黒の源へとたどりついたのでした。

エレメンタルは後ずさった。ニッサはその岩の角を回って覗きこみ、息をのんだ。

巨大な、菱形の石が宙に浮かんでいた。落ち着かないほどの静けさで、それぞれが不自然な完璧さで間隔をあけながら、強大な魔術の力でそこに定められたかのように浮いていた。太陽がその平坦な表面の奇妙な模様に反射していた。それらは環を描いてアクームの最高峰を囲んでいた。

「着いたの」 ニッサは言った。彼女はその峰を幻視でよく知っていた。そこに、あの黒い縺れがある。

石術師の誰かさんと、m21に再録された誰かさんが作ったアレ

マジクに送り出されたニッサは、暗黒に立ち向かうべく歩みを進めます。

それが一族にもたらしたことを、ゼンディカーへもたらしたことを憎みながら。

彼女はゼンディカーの力を最大まで引き出すと、そのすべてを暗黒に向けて解き放ったのでした。

ひび割れからあの黒色が滲み出て、敵に対峙することを予想し、そのために身構えた。

だがその必要はなかった。山は無傷のままで、暗黒は今もその内にうめいていた。

まるで彼女の呪文が何も成さなかったかのように。

「どういうこと?」

暗黒の縺れはねじ曲がり、うなった。邪悪な笑い声、ニッサにはそう聞こえた。引っかくような笑い声が放たれ、狂気の衝撃波がニッサに襲いかかった。それは彼女の両目を貫き、魂を燃やした。

 

ニッサが見たのは、化け物。

ニッサを襲ったのは、強大なる狂気の波。

その”巨悪”はニッサの抵抗をものともせず、彼女はその強大なる力の前に倒れたのでした。

「狂気」ということは…

次の波には耐えられないと思ったその時、まるで卵が割れるように彼女の内の何かにひびが入った。そして温かく、濃く、何もかもを貪る力がひび割れから漏れ出した。それは並ぶもののない強さをもって彼女にうねった、その怪物の狂気よりも強く――内から彼女を引き裂いてしまえるような、ゼンディカーの構造を引き裂いてしまえるような。

そして終わった。これは彼女の終わりだった。彼女はあの暗黒を破壊できなかった。それは彼女を破壊した。

ニッサは身を任せた。

次に起こったことは、ニッサには理解できなかった。耐え難い苦痛が彼女を貫いて走り、ニッサは虚空へと投げ出された。

そしてニッサは、ローウィンで目覚めた




ローウィンの地

ニッサが目覚めたとき。

彼女は不安定なる移動の終焉に安堵するとともに、自分の失敗を悟り、自責の念にかられたのでした。

「そんな!」 ニッサは怒りに拳を地面に叩きつけた。その時、大地は応えた。その内の何かが跳び上がって彼女に対面し、引き込んだ。

彼女はこの新たな土地へと落ちてきた。ローウィン、それはそう名乗っていた。ゼンディカーと似ても似つかない世界。

(中略)

だが両方とも、苦痛の中にあった。

どうして? ニッサは疑問に思った。

どうしてそれほどの苦痛が、暗黒が、邪悪があるの?

 

「大オーロラ」という現象により、300年のサイクルで薄闇と陰鬱に包まれた「シャドウムーア」へと変貌を遂げるローウィン。

彼女はそのさなかに、この次元を訪れたのでした。

自分の目の前で大オーロラに捕らわれ、邪悪な姿へと変貌するエルフ。

ニッサはその暗黒から逃げながらも、ただ故郷のことを思っていたのでした。

「ゼンディカー、ゼンディカー、ゼンディカー」 彼女は繰り返し口にした。

彼女は内なる火花を感じた。アクームで、虚空に投げ出される前に感じたそれを。それは再び点火し内から彼女を引き裂いた。

(中略)

はっと澄み渡った瞬間、ニッサの目の前に一本の糸が伸ばされた。

それはよく知った光の輝く流れに似ていた、だがもっと太く眩しかった。それは頭をもたげるように、彼女に対面した。

それは彼女の道だった。生きている間ずっと探してきた、まさにそのものだった。

ニッサは震える手を伸ばし、それを掴んだ。それは彼女を大きな力で引いた、ローウィンの現実へと切り込み、そして虚空の中へと。広大な空間へ転がり出ると、ニッサは自身の道が久遠を通して解かれているのを見た。

それは多くの場所へと繋がっている。

だが今は、故郷へと。




今回はここまで

そして物語はゼンディカーへ戻る…。

このあと、暗黒の正体たるエルドラージが解放され、ニッサの誓いへ続く…と。

灯の覚醒とともに次元渡りをし、自分の身に何が起こったかを理解できず、その次元でしばらく様子見をするのが常のプレインズウォーカーですが…。

ニッサはその中でも珍しく、すぐにプレインズウォークを行えるようになり、またそれを使って故郷へ戻った、というパターンです。

彼女がどれほどゼンディカーという地を大切にしていたかを物語るエピソードですね~。

 

というわけで次回でマジック・オリジン編最終回!

次の物語へ続く、「カラデシュ」を故郷に持つチャンドラのオリジンをご紹介します。

お楽しみに!

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*出典*

ニッサの「オリジン」:故郷