【カルロフ邸殺人事件】第3回 名探偵たちの奔走【ストーリー】
はじめに
前回のストーリーにて、オルゾフ組の首領テイサが何者かによって殺害されてしまいました。
そして、彼女の部屋から見つかったファイレクシア語のメモ。
この事件をきっかけに、ケイヤは謎の解明のために本腰を入れることとなります。
彼女がケランと組んでラヴニカを奔走する一方、名探偵プロフトは他ならぬゼガーナ殺害事件の容疑者であるエトラータと組むこととなり…?
では続きをどうぞ!
虐殺少女の襲撃
プロフトを付き従え、隠れ家より出ようとするエトラータ。
しかし入り口に近づいた瞬間に、彼女は後ろから衝撃音を聞いたのです。
プロフトに対し、何らかの襲撃があったとわかる音。
一瞬、このまま逃げ去ることが頭をよぎりつつも、それは無実と信じてくれる彼を見殺しにすることだ、というそんな思考が彼女を戦闘へと駆り出したのでした。
襲撃者の一方的な暴行の果てに、すでに傷を負うプロフトの間に割って入り…。
そうしたところで、その人物は困惑した口調でこぼした。
「エトラータ?」
エトラータは構えるのをやめ、姿勢を戻した。彼女はその声を知っていた。
「虐殺少女?」
「アンタがここにいるなんて誰も言ってなかったけど?」
「ここは私の家。どこに居ろと?」
「さあね。アゾリウスの留置所じゃないの?」
「抜けてきたから」
エトラータはきっぱりと言いながらも、そうする上でのプロフトの役割には言及しなかった。
予想外の人物の登場に殺気を失う虐殺少女と、プロフトは自分の連れだと話すエトラータ。
ゼガーナ殺害事件をともに調べている、という彼女のセリフは、探偵社への警告のためにプロフトを殺害せんと依頼された虐殺少女にナイフを収めさせたのでした。
同業者の前で静かな笑みを見せつつ、かき回して悪かった、と謝罪をする虐殺少女。
「汚名を晴らしたらまた会お」
そう言ってから、虐殺少女はプロフトに向きなおった。
「ごめんね」
「それは私を殺そうとしたことについてかね?」
矜持を傷つけられ混乱した様子で、彼は尋ねた。
「いや、失敗しちゃったこと。お互いにとって良くなかったかなって」
彼女は不意に笑みを浮かべ、真っ赤な笑みのフェイスペイントの中に白い歯がちらりと見えた。
「ま、いつでも次はあるし」
そうして彼女は振り返り、廊下を進んで扉から通りへと消えた。
暗殺者が潜めるような場所にいるべきでない。
そう話したプロフトは、古い友人ーカイロックスへ会いに行こうと提案します。
逃亡者と一緒にいることで探偵社にもギルドにも頼れない彼らにとって、彼は最善の仲間だと。
かくして、カイロックスの研究所を訪れた二人でしたが。
開け放しになっていた扉をくぐった彼らが見たのは、まるで何者かが全てを破壊したかのように荒らされた研究所でした。
エトラータが失望的な声を漏らす中、集中した様子でうつむくプロフト。
彼から広がった青い線は部屋を駆け巡ると、研究所の全てを元通りにしたのです。
そして彼が注目したのは、敷物の下にあった何の変哲もない床。
隠れ家の扉がイゼット製であったことを思い出し、プロフトはエトラータへと、彼女の隠れ家と「同じ方法」を試すことを依頼したのでした。
そのすえ現われる、地下へと続く道。
「イゼットの発明家ほどの隠れ家を作れるものは他にいないが、彼らは一度機能する仕組みを手にすると、他の誰かがもっと優れたものを考案するまで使い続ける傾向があるのだよ」
(中略)
彼は踏み出し、エトラータに手を差し出して立ち上がらせた。
(中略)
「では降りてみようか?」
友を尋ねて
配管の張り巡らされた地下道。
慣れた様子で曲がり角を曲がっていったプロフトの導きで、二人はやがて赤い鱗のヴィーアシーノの出会ったのでした。
プロフトの呼びかけに対し、驚いてペンを取り落とすカイロックス。
分析してほしいものがある、と彼は依頼を出しますが、その男はすぐさまそれを断ります。
ここには施設がない。安全が確保できたら連絡すると話す。
そうまくしたてる、手負いのカイロックス。
秘密の仕事を依頼されていたのだ、そう彼は漏らしたのでした。
「どういうことかね?」プロフトは尋ねた。
カイロックスは急に向き直り、激しく身振りをした。頭部の棘が興奮で逆立った。
「いや、駄目だ! 君じゃない! 君には言えない! エズリムになら言ってもいい。他は駄目だ。誰にも見られずにあの人に会わせてもらえるか? これは君の力が及ぶところかい、名探偵君?」
(中略)
プロフトの表情は変わらなかった。それは彼らがいる場所に急いで向かってくる足音が地下道に響き渡ったときも同様だった。カイロックスの目が見開かれた。
「奴らが来る」とカイロックスはうめいた。それから、とても小さな声で指示した。
「僕だけにしてくれ。隠れろ!」
配管の影に隠れた二人。
別の通路からなだれ込んできたのは、ゴブリンの集団。
おびえたカイロックスは、抵抗することなく連行されていったのでした。
いともたやすく、尾行に成功した二人は、怪しげ質屋に辿り着きます。
その中では、連続殺人事件について問い詰めるクレンコの声が聞こえたのでした。
プロフトの依頼を受けると、流れる影のように潜入し、部屋を制圧したエトラータ。
クレンコはプロフトの視線を、気まずくも受け止めていたのです。
「何をしているのかね?」
「俺はその――偉い奴ばっかり殺されてるだろ!」クレンコは叫んだ。
「俺も偉い奴だ! 次は俺かもしれないだろ! こいつは」――彼はカイロックスを示した――「偉い奴のために仕事をしてるって言ってるが、俺のためじゃない! てことは何か知ってるんだ! 教えてくれるよな!?」
とその瞬間、窓を割って現われた大柄な男。
男は短剣を手にクレンコへ突進するも。
その刃は、不幸にも間にいたカイロックスへと突き刺さったのでした。
エトラータによって組み付される襲撃者。
彼女が振り返ると、プロフトは暗い表情を浮かべており、それは友の死を物語っていたのです。
そして、何らかの中毒を帯びた襲撃者は、尋問のうちに少しずつ正気を取り戻していったのでした。
「君はなぜここに?」
(中略)
「俺はここで何を?」うろたえた様子で男は答えを求めた。
「ここは花屋じゃねえよな。旦那に殺されちまう!」
「思っていた通りだ」プロフトはエトラータへと向きなおった。
「無関係の人々が洗脳され、襲撃の実行者にされている。君と同様に、彼らにも責任を問うことはできない。何者かがこれを行わせているのだ。そして私は、その人物を見つけ出してみせる」
殺人犯たちの供述
エズリムの助言通り、ジュディスに会うべくラクドス教団を訪れたケイヤとケラン。
笑みを浮かべて、ラクドス教団のその女性は二人を迎えたのでした。
殺人事件の直前にパーティを抜け出していた彼女は、自分は犯人でないと告げます。
そして、ヴィトゥ=ガジーへ行き、ギルドパクトを元々の形式で読むのだとアドバイスしたのでした。
まるで全てが自身の台本通りに進んでいるかのような表情で、二人を送り出したジュディス。
ヴィトゥ=ガジーへ至ったケイヤとケランは、その助言に従いギルドパクトを閲覧すると。
そのギルド創設時の説明は、ラクドス自身がこの事件の犯人であることを示唆したのです。
ジュディスがこの事実を伝えようとしたことに訝しみつつ、探偵社に戻ろうとする二人。
しかしその道中、彼らは暗い外衣を纏った六人組に強襲されます。
ケランと共闘の上、これらを制圧したケイヤは、襲撃者へと尋問せんとしますが。
彼らが小さな芽のようなものを飲み込むと、それらの肉体はあっという間に苔へと変化していったのでした。
状況を伝えるべく、探偵社のエズリムの元へ訪れた二人。
しかし自身らの報告より先に、エズリムから驚くべき事実が伝えられたのです。
テイサを殺した犯人が逮捕されたと。
その者は無所属の、下級の殺し屋。
彼がその日気づいた時には、テイサが血まみれで倒れるカルロフ邸にいたのだと。
二人を混乱が襲う中、執務室の扉を勢いよく開きオレリアが現われます。
半ば床に投げつけられるように突き出される、赤いメイクの女性ー虐殺少女。
「この者が私を殺害しようとしました」オレリアは厳粛かつ冷徹に述べた。
「私が制するまでに、10人の兵が殺されました」
「ズルすぎだよ」その女性は噛みつくように言葉を投げつけた。
「地面のうえで戦ってるのに翼を使うなんてさ。野暮だし意地悪だし反則」
他ギルドとの戦争をはじめんとばかりに憤るオレリア。
しかしケイヤはこれを押しとどめると、虐殺少女に事の経緯を問います。
そして彼女は不満そうに、オレリアに組み付されるまでのことは何も記憶にないと話したのでした。
それは、テイサの殺害犯と酷似した証言。
ジュディスですらヒントをくれたこの事件には、さらなる調査が必要だ。
ケイヤのその主張に、アグルス・コスですらも同意したのです。
オレリアは顔をしかめたまま翼を畳んだ。
「24時間です。それ以上は待ちません。この暗殺者は私たちが預かります」と彼女は言った。
「また囚人が逃げ出しては首が飛ぶ者が出るでしょうからね」
「それで充分よ」明らかに安堵してケイヤは言った。
(中略)
ケイヤは片手で顔をこすった。自分にとって大切な相手になるのは危険なこと、そのように感じはじめていた。
「あと24時間」手を下ろしながら彼女は言った。
「仕事に取り掛かりましょう」
今回はここまで
プロフトチーム、ケイヤチームともに、今回の殺人事件は「何者かに操られた無関係の者」による犯行であると理解し始めました。
上記の中では省略しましたが、カイロックスを殺害した襲撃者は、明らかに「中毒症状」にあったようで…?
そして、ケイヤを襲撃した者たちは、何かを飲み込み苔と化す…。
少しずつ、犯人像が見えてきたでしょうか。
さて、今回でストーリーに登場した虐殺少女。
メッチャ「少女」っすね!!
喋り方に若さがにじみ出ていて、とても良き。
灯争大戦でカード化された彼女のイラストからは想像もできない感じですが、こういうのを知れるのがストーリーの良いところですね!
では、次回は真相解明編…!?
お楽しみに!
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