【機械兵団の進軍】第2回 チャンドラと完成化されたニッサ【ストーリー】
はじめに
前回、新ファイレクシアではシェオルドレッドがノーンにより処刑され、完成化を免れた英雄たちは集合場所のドミナリアへと戻ることとなりました。
そして、その絶望的な状況を知らされたチャンドラは、唯一賛同してくれたレンとともに、新ファイレクシアへと渡ることを決意します。
そこでチャンドラは、ついにあの人物と邂逅するのでした…。
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衝撃的な啓示
新ファイレクシアへと渡ったチャンドラとレンは、現地のコス、そしてメリーラと落ち合います。
チャンドラは二人へ作戦を伝えました。
彼女はファイレクシアの世界樹へとレンを導き、レンはその樹を導くのだと。
そして今は居場所のわからぬテフェリーも、きっとそこに協力してくれるだろうと。
他に作戦もない。そう言ったコスは、”頼もしい友達”のもとへ彼女らを案内すると言います。
チャンドラたちが連れてこられたのは、ファイレクシアの法務官の前。
「友達って言ってたわよね……」
「友達だ。今のところはな。敵ではない、と言ったほうが正しいかもしれん。複雑な事情がある」
「大丈夫なの?」
「大丈夫だ」
(中略)
ウラブラスクは息を吐いた。
「辛辣な言い草だ。内輪もめはお前たちの全滅に繋がるぞ」
「ただひとつのファイレクシアに繁栄はありえない」
そのようにノーンを否定した赤の法務官、ウラブラスクは作戦を授けます。
ノーンの気を引かぬうちに、数多のファイレクシア兵たちを切り抜けて進まねばならないと。
メリーラは法務官たちの気を引くと答え、コスはチャンドラとレンを打ち上げて運ぶと言ったのでした。
そうすれば、ノーンの元にいる「あのエルフ」の邪魔は入らないはずだからと。
あのエルフ。
胸の内に炎が燃え盛っているにもかかわらず、その考えにチャンドラはぞっとした。彼らはあまりに無関心だ。チャンドラはまたも彼らに食ってかかり、理解できないだろうけれどニッサは大切なのだと言いたかったが、それでもあまり意識してはもらえないかもしれない。
何といっても、自分はこの多元宇宙を救うためにここに来たのだ。それに比べたなら、ニッサの救出は小さなこと。
けれど、もしあの足場がニッサのもので、そこにニッサがいるなら……
「やるわよ」とチャンドラは言った。
「乗り気で助かる」
コスがそう答えた。
コスによって打ち上げられ、空中での敵の強襲を迎え撃ちつつ着地した二人は、世界樹のそばでファイレクシアの百長たちに襲われます。
数十体のそれらの口から発せられるのは、完成への誘い。
チャンドラはレンと背中合わせで戦いますが、飛来した二本の槍はチャンドラの脇の下の服を貫き、そのまま樹へと磔にされたのでした。
助けを求めレンを見た時。
チャンドラは、彼女lを忙殺させている者の姿を見たのです。
周りで百長より合唱のように発せられる、完成化の誘い。一つになることの素晴らしさ。
今はそれどころではない。
何故なら、その顔がわかったから。どこだってわかる――笑った時の頬の丸み、ぴくぴくと動く耳、小さな鼻、ときどき意味ありげにほほ笑む口元。
もしチャンドラの頭の中にある記憶がすべて、溶けた金属のように鍛冶師の鍋へ流れ出たとしても、この思い出は断固として彼女の内に残るだろう。
ニッサ。
ありえない――けれどそうなのだ。
(中略)
わかるという苦悶が彼女の心を引き裂いた。
認めるのは……それがニッサだと認めるのは、死ぬよりも辛いことだと思えた。
これ以上辛いことがあるだろうか?
向上した精霊信者、ニッサ
ニッサの姿は変わってしまった。
腕は新しく二本生え、黒い涙は頬に縞を作り、身体の大部分は根と茨に侵されていた。
しかしそれでも。
チャンドラへ呼びかけるニッサの声だけはかつてのままだったのでした。
チャンドラの口をついて出そうな、否定、引き留め、希望…そして謝罪。
しかしそのどれもが頭の中を巡るばかりで。
彼女の口からは、ただニッサの名前を呼ぶ声だけが溢れたのです。
追加の槍によって、ふくらはぎを貫かれるチャンドラ。
「何も怖がることはないわ」
ニッサの口調は恐ろしくも無感情だった。
(中略)
「私はもう痛みを感じないのよ」
「こんなの……こんなのは……!」
チャンドラは言葉を詰まらせた。考えることが困難になってきた。彼女の中で大きなエネルギーが膨らみ始めたが、その行き場はどこにもなかった。
ニッサは彼女へと振り返った。
「作戦の事? もう失敗しているわよ。機械の母はあなたを止めるために私を送り込んだのだから」
「どうして?」
それは悲鳴として、非難として発せられた。
「やろうとしていることが短絡的だからよ。あなたはいつもそう」
ニッサは七番の枝を折り続けレンをドライアドの姿のみにすると、チャンドラを槍から解放します。
そして彼女は、ノーンから承認を得てチャンドラを引き入れに来たと語ったのでした。
レンは拘束され、百長の視線は逸れ、ニッサの集中がチャンドラにのみ向く時。
チャンドラは深呼吸をし、集中を始めたのです。
ニッサに広がる、柔らかい笑み。
二人であらゆることを語ったあの時と変わらぬ表情。
「チャンドラ」
それは彼女の声。ニッサの声。何の干渉もなく、ノーンの影響もない――ニッサそのものの。
チャンドラの炎が揺らめいて消えた。
ニッサは手を差し出した。
「お願い、一緒に来て。あなたがいないと寂しいわ」
(中略)
「私も寂しいよ」
チャンドラの両目に熱い涙が浮かんだ。
「すごく寂しい。でもだめ。ごめんね」
その親しみ、優しさはすべて、一瞬で消え去った。その炎の直前に垣間見えたニッサの表情は、憤怒そのものだった。
チャンドラはニッサの切れ味鋭い腕をくぐり、燃え立つ拳を枝そのものに叩き込んだ。
今回はここまで
アーーーーーッ!
つらすぎィ!!!
油で汚染されているはずなのに、突然完成化前の姿を見せてくるのホントずるじゃん?
そりゃチャンドラも実装されたカードのイラストで泣くのよ。
想像を絶するつらさの中で、それでもニッサに立ち向かいレンを守らんとするチャンドラ!まさに希望の標!!
この続きは一体どうなるのー!?
…というところで場面変わり、次回はもう一人の今回の”主人公”の話…。
次回もお楽しみに!
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