【イクサラン:失われし洞窟】第4回 地下帝国オルテカ【ストーリー】

2023年12月12日

はじめに

前回、かつてはヴラスカ船長とともに旅をしていたセイレーンのマルコムと、ゴブリンのブリーチェスの物語をご紹介しました。

3勢力がともに謎の地下帝国へと集結する中。

太陽帝国のファートリとそこに与するクイント、そして彼らとともに到着した吸血鬼たちは、扉の向こうへと足を踏み出したのです。

彼らが見た、イクサラン深層の巨大都市の姿とは…。

続きをどうぞ!




目次

地下帝国オルテカ

吸血鬼のアマリアは、かつて自身が見た幻視が目の前に広がっているという状況に驚嘆していたのでした。

扉をくぐった先には、上方へと歪曲し球体を成すような大地と、その中央に浮かぶ金属片をまとった太陽。

そこに住まうアブエロといった霊と同じような恰好をした民、そして空に舞う巨大コウモリにまたがる戦士たち…。

 

そしてそのコウモリを目にしたとき、アマリアの中で何かが震え、例の声が響いたのでした。

『我がもとへ来たれ……』

やがて、王冠のような環をつけた女性ーアニム・パカルが彼らに侵入の理由を問い。

霊のアブエロは、自身が力を貸したのだと報告したのです。

帝王マイコイドの力は未だに強く、それに備えるべきだ、とも。

それに続いたクイントが太陽帝国の者や川守りたちを紹介すると、アニムは執政アカル・パカルが歓迎するだろうと彼らに告げたのでした。

その後アマリアたちへと視線を向けたアニム・パカルは、彼らが吸血鬼であるという太陽帝国の者の警告を聞いた瞬間、即座に武器と魔力を帯びたのです。

「大逆者を崇拝する者どもを歓迎はできぬ」

アニムは冷ややかに言った。

「捕えよ」

「また!?」

ケランがうめいた。アマリアも同感だった。とはいえマラメトとの戦いが向こう見ずな行動だったとしたら、オルテカを相手にするのは自殺行為といえた。

ヴィトは反論しようとしたが、両目をぎらつかせてクラヴィレーニョの腕を掴んだ。

「すべてはかの御方の意志のもと」

彼はそう言った。

 

同じ留置部屋へと拘留されたアマリア、その上司であるバルトロメ、異邦人のケラン。

隣の部屋ではヴィトが救済の時の訪れを宣言し、そこかしこで吸血鬼たちの賛同の声が上がっていたのです。

そしてその彼の声が予言するかのように。

部屋は魔法の霧によって包まれ、留置所は奇妙な静寂に包まれたのでした。

扉を引きちぎると同時に、狂信的に目を見開くヴィトは更に声を高めます。

アクロゾズのために、生贄を捧げよと。

「余所者は生贄とすべし」。そう言ってケランへと視線を移すヴィト。

女王へと全てを伝えるようアマリアに託し、反論とともに牙をむき立ち向かったバルトロメ。

しかしヴィトは片腕で彼の頭部を拘束するとそれを粉砕し、軽蔑の目とともに死体を投げ捨てたのでした。

アマリアはすすり泣きをこらえ、震える手に力を込めた。彼女は羽ペンを下ろし、地図上の建物の端にそっと滑らせ、一本の線を消した。

背後の壁が消えた。霧が流れ込み、部屋の中の全員を飲み込んだ。剣の輝きのおかげで、ケランの姿だけが視認できた。

「逃げますよ」

アマリアはそう言い、ケランの腕を掴んだ。ふたりが逃げる中で剣の光は消え、薄闇の中に見えなくなっていった。

 

ちょっとだけ解説

ストーリーが盛り上がりを見せているところ突然乱入します!

ここで、執筆者から少しだけフォローをば。

上記までの吸血鬼たち含む一行が辿り着いた地下都市「オルテカ」は、イクサランの最奥「中心核」に位置する帝国で、地上にて栄える太陽帝国よりも前に存在していた文明です。

そこの民は、上の物語で触れられていた太陽「チミル」を崇拝する者たちでしたが、コインの帝国による侵略を受け、その太陽は殻におおわれてしまいました。

それにより、数百年に渡り暗黒時代を送ったオルテカでしたが、やがてその殻は千の月へと砕かれ、都市は光を取り戻したとされています。

この時に、裏切りを行い太陽封印に加担したのが、コウモリの神アクロゾズであるため、上のストーリーにて、吸血鬼は「大逆者」として拘束されてしまったのです。

 

ちなみに、当時中心核から外へ繋がる「トピジエロ」という洞窟を抜けた者たちがいましたが、彼らはここで帝王マイコイドと遭遇します。

その菌類の感染力を脅威に感じたオルテカの者たちは、中心核とトピジエロを隔てる扉「マツァラントリ」を閉じることで、何世紀もの間外界との接触を断っていた、というわけです。

そして、太陽帝国、吸血鬼、川守りたちの目標となっていた扉がアブエロの協力によりいま解かれ、上記のようなストーリーに繋がったということですね。

アブエロが上記の件で、帝王マイコイドの件を警告していたのもそういう背景に基づくものです。

カードとしても、「大いなる扉、マツァラントリ」を変身させることで「中心核」という伝説の土地へと至る、フレーバーを重視したデザインとなりました。

この幽閉によって地上に取り残された人たちが、太陽帝国の祖先ということで、ファートリたちはこのオルテカの者たちと遠からぬ関係、ということになるのです。

 

というわけで!オルテカに関する歴史も理解できたところで!

ヴィトの呼びかけに応じてアクロゾズが目覚め始めます…!

(いや、むしろ呼びかけていたのはアクロゾズの方だけど…)




アクロゾズの祝福

『我がもとへ来たれ……』

かつてないほど鮮明にヴィトのもとへ届く、アクロゾズの呼び声。

脱獄の末、霧の中を歩く彼とその同胞たちは、突如現われた人影に語り掛けられます。

自分たちはアクロゾズのしもべ。かの神の元へと案内しよう、と。

畑を越え、農場を横切り、沼を抜けた先にて。

ヴィトは地下洞窟へと辿り着き、その先で奇妙な扉と邂逅したのでした。

人影は彼に鍵を渡すとともに、神の試練を乗り越えるよう伝えます。

同意し鍵を差し込んだヴィトは、焼けつくような痛みと断血以上の消耗を覚えますが。

それらに耐えたことにより、重い扉は開かれたのでした。

かくして邂逅する、鎖に縛り付けられしコウモリの神、アクロゾズ。

「我が主よ」

ヴィトの呟き声は感情に満ちていた。

「参りました」

アクロゾズは深い、かすれた息をついた。

「我がまどろみは地表への侵略者に揺さぶられた。かくして、我は其方らに、夜の子らに呼びかけた。我が隆盛の時は近いと」

(中略)

「チミルの光は消え、我が闇は究極のものとなる。其方、選ばれし者よ。我が隣にて仕え、永遠の命という救いを讃えよ。贄をもて」

 

ヴィトは洞窟の奥にいた、子羊のようにすすり泣く人々を一人ずつアクロゾズの元へと捧げると、それらを喰らうたびに神は力を取り戻していったのでした。

やがて全てを屠りさった時。

魔法の爆発は、神の拘束を切断し引きちぎったのです。

畏敬の念とともにひれ伏すヴィトへ、アクロゾズはその牙を突き立てました。

神の祝福を受けたヴィトを初めとする同胞たちは、鋭敏なる感覚や鋭利な鉤爪、そして翼を得ていたのです。

 

神とともに、地表へと舞い上がる吸血鬼たち。

そして、アクロゾズはその翼を重苦しく、ゆっくりと閉じ始めると、呼応するように太陽を囲んでいた金属は再び組み上げられ、その光を囚えていったのでした。

「チミル」

神は中心核に輝く太陽へとそう囁きかけた。

「我は獄に入れられた。故にそなたも。そなたの愛しきオルテカを食らおう、かの者らの祖を食らったように。かつて弱き神の子らを食らい、死と生とを隔てる帳を閉じたように。第五の時代は我が手によって遂に終わる。我が子らはこの次元に第六の時代をもたらすのだ」

(中略)

牢獄の影が大地に降り、トレゾンのどんな夜よりも深い闇が訪れた。

(中略)

「もっとだ」アクロゾズが言った。

「もっと贄を。贄を我がもとへ」

「仰せのままに」

そしてヴィトは集まった軍団へと金切り声で命令を叫んだ。




今回はここまで

なんといっても固有名詞が多いですね!今回のストーリーは!(2回目)

途中で解説も入ろうというものです。

さて、ついに吸血鬼たちによって解き放たれたアクロゾズは、地下帝国オルテカを侵略せんと動き始めます。

基本セットで収録された「ぽっと出」のようなヴィトさんが、こんなラスボス級の活躍を見せると誰が思っただろうか!!

でもこういうの良いよね!

もっと次元外のセットで登場したキャラクターを目立たせようぜ!

さて、空からはコウモリの神、洞窟の先からはキノコの帝王が迫る中…。

どうなるオルテカ帝国!?

次回もお楽しみに!

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*出典*

メインストーリー第4話

メインストーリー第5話