【兄弟戦争】第1回 時を越えて【ストーリー】
はじめに
「兄弟戦争」…それは、マジックのストーリーでもあまりに有名な物語です。
公式のメインストーリーでは、主にその大戦争の後日譚が、様々な登場人物の目を通して描かれました。
が!それはどちらかというと番外編のようなお話!
今回のメインストーリーは、むしろ「サイドストーリー」の中にあります!(ややこしいな?)
“団結のドミナリア”における大激闘のその後のストーリー、今回から開始です!
↓ストーリーのまとめはこちら↓
集まりゆく仲間たち
マナ・リグでの戦いから数週間。
カーンはさらわれ、酒杯は破壊され、アジャニは敵の手に落ち、ヤヤは命を落とした。
テフェリーとジョダーは、敵勢力から身を隠す新たな拠点としてウルザの塔を選んだのです。
この一か月テフェリーは多元宇宙を周り続け、味方になる者たちを集めていたのでした。
彼に同意したサヒーリ、ケイヤ、そしてレンはウルザの塔へと参集し。
そして、その場にまた一人。
それは、旧来の友アジャニの行方を聞き、テフェリーに真実を突きつけられた女性。
エルズペスが強張った手に錆びた古い短剣を握りしめ、テフェリーを切りつけたかのように思えた。
「すまない」 テフェリーは繰り返したが、その言葉は虚ろに聞こえた。
「こんなことになるとは――」
言葉を続けるよりも早く、エルズペスが片手を挙げて彼を止めた。彼女は拒むように腕を組み、全てに背を向けて部屋の隅へと向かった。テフェリーは追いかけようとしたが、ジョダーがその腕を掴んで引き留めた。
「そっとしておいてやれ」
ジョダーはそう言い、そしてケイヤへと向き直った。
「続けよう」
エルズペスと連れ立っていたビビアンも合流する中、ケイヤは説明を始めます。
各次元で、プレインズウォーカーや英雄たちは防衛をしていると。
準備を終えたら新ファイレクシアへと渡り、コスの率いるミラディン陣営に加わるのだと。
全体への作戦周知が終わる中、ビビアンはテフェリーへと伝えます。
ファイレクシア側からの内通者、ウラブラスクのこと。
そしてウラブラスクが仄めかした、エリシュ・ノーンの計画。
カルドハイムから奪った世界樹を転用し、多元宇宙への自在な行き来を可能にするという野望。
そのウラブラスクは、あと数日で動く。
ビビアンの明かした期限に衝撃を受けつつ、テフェリーは自分の準備を進めることとなったのでした。
彼が訪れたのはサヒーリのもと。
彼女が製作したのは、酒杯の完璧な複製、そして…。
「新しい時間遡行機械はどうだ?」
彼はそう言い、サヒーリに割り当てていたもうひとつの大きな目標へと向かった。
「時空錨」
サヒーリはその名を改めて伝えた。
(中略)
「今夜には錨が使えるようになると思います。その頃にまた来てください」
塔の近くの緑地帯で休むテフェリーへと近づいたのは、エルズペス。
先ほどの態度を謝罪する彼女へ、テフェリーは慎重に言葉を選びます。
自分たちの作戦を、新ファイレクシアを良く知る彼女は疑問に思うだろうと。
しかし。
テフェリーの言葉は奔流のように溢れ始めました。
自分には娘がいる。
自分の行うすべては、娘のためである。
そして自分が迷えばその瞬間、娘は破滅してしまうのだと。
「でしたらご存知ですよね」 エルズペスが言った。「希望とともに訪れる恐怖を」
返答は必要なかった。
(中略)
「私も行かなければ」
テフェリーはそう言った。
「サヒーリが待っている。部屋まで送ろう」
エルズペスはその申し出を固辞した。
「しばらくここを散歩しようと思います。いい気候ですから」
「ならばどうか達者で、エルズペス。健康と幸せを、そして安全な旅を願うよ」
「ファイレクシア人が今もこの次元にいるのなら、ここが見つかるのは時間の問題です。その時には、貴方を守る者が必要となるでしょう――もしファイレクシア人が私たちを追跡するなら」
「私たち?」
「私を加えて頂けるなら」
「ああ、喜んで。いずれお互いをもっと知ることができれば良いな」
ウルザの残したもの
サヒーリは時空錨の完成のため、その試運転を幾度となく繰り返していたのでした。
コイル、銅管、月銀の鍵、そして中核をなす棺のような構築物。
時間に干渉しないよう、テフェリー肉体でなく霊魂だけを飛ばす装置を望み、ケイヤはその助けとなっていたのです。
そしてサヒーリは、時空錨の完成を阻む存在に頭を悩ませていたのでした。
それは、錨の不可解な不具合をもたらす霊魂と、それに関連しそうな黒い水晶球。
助けに入ったジョダーは、その球体の裏面を見て毒づきます。
「ウルザ、あの野郎」 彼はうなだれた。
「この期に及んで何をしてくれる?」
「誰?」 ケイヤが尋ねた。
「ウルザ。この塔を築いた男だ。千年ほど前にファイレクシア人がこの次元を侵略した時に打ち負かしたプレインズウォーカーであり、テフェリーの師であり、私の祖先でもある」
(中略)
「銀の網に書き文字が隠されている。気付かなかっただろうが」
(中略)
「何と書いてあるのです?」
「『始まりへと戻り、私へと適切に挨拶せよ』だ」
首を傾げるサヒーリに、ジョダーはウルザと霊魂は無関係だと断言します。
かくして、ウルザの指揮官であった霊魂と対峙し、これを撃退したケイヤ。
弊害の除かれた時空錨にて、テフェリーは棺へと横たわり。
サヒーリはそのスイッチを押したのでした。
一方のジョダーは、真夜中過ぎ、件の水晶球を目の前に座していたのです。
その水晶球は、テフェリーが言及していた「星原の宝球」。
ファイレクシア侵略時にウルザが隠したもの。
ジョダーは呪文を唱え始めます。
詠唱したのは、子どもにもできる魔法。
そして、テフェリーが最初に習ったもの。
『始まりへと戻り、私へと適切に挨拶せよ。』
呪文を放った時。
気が付くとジョダーはテーブルの前に座していたのでした。
ウルザの住んだ小屋を模した、小次元。
写本がびっしり詰め込まれた本棚を眺め、一冊を取り出すジョダー。
「アンティキティー戦争、カイラ・ビン・クルーグ著」
背後で声があがった。ジョダーがすぐさま振り返ると、そこには布鎧をまとう女性が立っていた。
(中略)
「貴女のことは知っている」
ジョダーはそう言った。
「ザンチャだな。ウルザの相棒の」
「夢の中では、私はザンチャです。とはいえ私は彼女ではありません。彼女であった全てはあのゴーレム、カーンの中に込められておりますので」
「ならば貴女は何者だ?」
「ひとつの構築物です。ここであなたが見ている全てと同じく」
次いで現われた厳しい顔つきの男。
ウルザの弟、ミシュラ。
テフェリーとは別人物だと警戒を強めるミシュラへ、ジョダーは素性を明かします。
ウルザの子孫であると納得したミシュラの許可を得て、探索を続けるジョダー。
そして彼は気づいたのでした。
ここは、自身が死亡した場合に備えて用意した、ウルザの安全策なのだと。
テフェリーだけが宝球の妨害を突破できると、彼は信じていたのだと。
「テフェリーは今、手一杯だ」
ジョダーはふたりへと言った。
「だがそのすべてが過ぎ、彼の覚悟が整ったなら、この場所を教えようと思う。そこでひとまず尋ねたい。君たちの主から何か最後の伝言はあるか?」
「ある」 ミシュラが言った。
「『対立はもう終わりにしよう。もはや相違を気にしている場合ではない』――と」
今回はここまで
最後のセリフ…意味深ですねぇ。
兄弟戦争のストーリーは、意外な形で回収されそうな伏線がばらまかれています。
ストーリーまとめの特色上、本筋以外の部分は省いてしまっていますが、「この要素が後々に…!?」みたいなものがあったりするかもしれませんね。
サヒーリの助けで時間を渡ったテフェリーの物語が繰り広げられるのは、もう少しあとの話…。
さて、テフェリーの元へは多元宇宙から様々なPWが集まってきています。
戦いを前にそれぞれのキャラクター性が垣間見えるのが非常にイイ感じです。
特に好きだったレンのやり取りを、少しだけご紹介。
テフェリーに流れる旋律が乱れていると指摘するレンに対し、彼が過去の罪悪感を独白するシーン。
テフェリーは「こんなこと聞かされてもだよなー」みたいなことを思っている中、レンの返答が以下。
「私はお前に赦しを与えるためにここに来たのではないぞ、魔道士。お前の罪はお前自身のものであり、いつかお前はそれに応える。つまるところ、お前は重要などではない。私もだ。テフェリーとレンは別個の旋律だ。私は調和し響き合う歌の中での自らの役割を果たすためにここにいる」
この突き放すようでいて慰めるようでもある、独特の言い回し。
レンは今までのストーリーにはあまりなかった、塩対応系イケメンの立ち位置を確立しつつありますね…!
まぁ彼女、女性だけど!!!
これらのやり取りも気になった方は、ぜひ公式の方をご覧ください。
というわけで今回はここまで!
次回もお楽しみに。
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