【団結のドミナリア】第7回 スクイーの不死【ストーリー】

はじめに

団結のドミナリア、サイドストーリー紹介第二弾!

今回は太古の時代からマジックに存在する伝説のゴブリン、スクイーの物語です。

ヨーグモスやクロウヴァクスの邪悪な意志により、不死身の体へと変わったゴブリン。

彼はウェザーライトクルーであった時代から幾星霜過ぎた今でも、ドミナリアにて旅を続けていたのでした…。

 




目次

不死のスクイー

危険を冒すことを何よりも好むゴブリンにとって、死とは生の隣にあるもの。

そして、彼はこの世で最も死を迎えたゴブリンと言えたのです。

スクイー。かつてのウェザーライトの乗組員にして、不幸にも不死身の身体を手に入れた者。

悠久の時を生きてきた彼は、一世紀ほど前に暴君に支配されていたゴブリンの一族を救い、愛用の玩具を片手にその玉座に座していました。

 

一族はこの十年ほどで初めて、一人の死者も出さずに一週間を終えようとしており。

もしそれが成されれば、祝祭をしようとスクイーは約束をしていたのです。

するとそこへ現われたのは、バルプという名のゴブリン。

大柄な体躯に見合わぬ聡明さで、スクイーに次ぐゴブリンへの成長が期待される同胞。

スクイーは彼へと近況を聞きます。

「一週間はいけそうかい?」

バルプは不意に怖がるような様子を見せた。

「バルプ、何があったんだい?」

「何も! 何も潰れてない、絶対!」

バルプの両目に焦りが走った。スクイーは降りていこうとしたが、バルプはそれを止めた。

「バルプ、だれかが潰れたなら知らせろって言ったよね」

バルプはうつむいた。

「王様、ごめん、けどラープが……」

 

現場へ向かいながら、バルプは説明します。

侵入者対策に洞窟の入り口に巨岩を吊るすという案があったと。

そして、ラープは最もまずい時に最もまずい場所に立っていたのだと。

岩のどけられた現場に辿り着き、不運なゴブリンの姿を見たスクイー。

しかし、彼はそこで驚くべき事実に直面したのでした。

ラープが、まだ息をしているということに。

彼は慎重に手を伸ばした。するとラープの両目が勢いよく見開かれ、ねばつく黒い油が滲み出てスクイーはぎょっとした。不自然なほどねばつくその油はラープの骨ばった頬を流れ、頭の下に溜まっていった。

負傷したゴブリンの目がスクイーを見つめ、そして突然ラープは悲鳴を上げた。そしてスクイーも悲鳴を上げた。バルプも悲鳴を上げた。

 

ラープは完成させられていた。

回想されるのは、かつての同胞アーテイ。

彼も完成され、悪意と好奇心のままにスクイーを殺し続けたのでした。

スクイーはバルプへと説明します。

かつてバルプにも説明した「ファイレクシア」が忍び寄っていると。

彼には、街に戻ってファイレクシアの危機を伝えてほしいと。

大きな同意とともに、隠し通路から出るバルプ。

そんな彼を見届けたスクイーは、玉座の間にて臣民の前へと進み出ます。

「ラープがひどく潰されたという知らせを聞いた者もおろう。その通り、ラープはひどかった。けど生きているぞ!」

その言葉にお喋りが弾けた。

「ラープについての質問はしないこと! 今夜は、一週間誰も死ななかったお祝いだ!」

期待の沈黙が広がった。

「そしてもちろん、アツアツナメクジ粥を作るのである!」

ゴブリンたちの歓声が爆発した。

 




消えぬ因縁

山の中のマナランプを管理するゴブリン、スプルナ。

スクイーは彼女へと、全てのランプを消すよう命じました。

不意の松明の明りが、ゴブリンの瞳にファイレクシアの証たる淡い黄金色を輝かせる可能性があるから。

再点火時に一気にマナを注いだらランプが爆発するというスプルナの反対を押し切り、王の命令を下したスクイー。

かぶりを振りつつ承諾したスプルナは目を閉じ、集中します。

しかし、起こらぬ変化にスクイーが困惑したその瞬間。

熱い金属へと変質したスプルナの腕の一撃はスクイーの腹部を貫き、彼は山の岩肌へと投げ捨てられたのでした。

 

死の広間。

無人の宮殿にして、彼の大好物の並んだ饗宴の卓。

スクイーが死ぬたびに訪れ、その食べ物を味わうこともできずに去る場所。

そして、今回もいつもと同じように。

彼が勢いよく目を開けた時。

一族全員が自分を囲み、その中心でスプルナは不自然に笑っていたのでした。

彼女は指を鳴らした。マナのランプが消えた。今や遠くに松明の光が揺れるだけで、スクイーは恐怖とともに見た。自分たちを取り囲む全員の両目が淡い黄金色に縁取られていた。

彼はむせながらも悲鳴をあげた。

スプルナは再び彼を突き刺そうとし、だが突然大きくよろけた。彼女は身体を翻して着地し、憤激とともに攻撃者を見た――バルプ。

 

歓喜に叫ぶスクイー。

しかし、バルプを包む偽装魔法が解けた時。

そこに立っていたのは不気味なほど青白い肌に、四本の腕を持つ男、アーテイだったのでした。

彼は、スクイーの愛する玩具を回収する必要があったと説明します。

「お前はそのガラクタが大のお気に入りだが、その正体についてはほとんど知らないだろう。救済の宝球に関する記録は驚くほど少ない。私がかろうじてわかったのは、次元そのものよりも古い存在というだけだった。とはいえ二つのことは確かだ。まず、それはレガシーの兵器の一部であり、すなわち処分しなければならない。そして、それは常にお前のもとへと帰る。すなわちお前を処分しなければならない」

スクイーは溜息をついた。

「あんたにおいらは殺せない、それはあんたが言ったことだよ」

(中略)

「違うよ、スクイー。お前を殺す必要はない。お前の肉体に可能性を思い出させたいだけだ」

ゴブリンたちがスクイーの両腕を掴んで拘束した。

 




最後の死

しばらくしてスクイーが目覚めた時。

彼は自分の身体に、かつてない力と身軽さを感じたのでした。

疲労を忘れた身体、冴えわたる眼、そして思考すれば体内から飛び出す機械たち。

アーテイは彼へと言います。

「こちらも側は良いものだろう」と。

スクイーは今一度腕を開かせた。片方には湾曲した刃が、もう片方には小さな火炎砲が収納されていた。そして彼は刃を見つめ、長く伸ばそうとした。だが刃は回転しながら発射され、石の壁に直撃した。彼はアーテイへと振り返った。

「おいら……」

スクイーはもう片方の腕を開き、火炎砲を充填した。刃に戻るよう指示すると、腕の中の磁石がそれを壁から引きはがした。

「……完成されてる感じ」

その刃はかなりの速度でスクイーへと飛び、その前に張られた一本のロープをたやすく切断した――朝の事故の後、岩乗りたちが山の入り口頭上へと吊るし直した巨岩を支えていたロープを。ゴブリンがしばしばそうであるように、スクイーは最もまずい時に最もまずい場所に立っていた。

 

巨岩に押しつぶされるスクイー。放たれる火炎砲。そしてその先にあったマナランプ。

ランプの誘爆とともに訪れる、太陽のような爆発。

スクイーの絶命とともに、そこにあった山は一瞬にしてクレーターへと姿を変えたのでした。

そして、幾度となく訪れた死。

しかしそこは今までとは異なる、宮殿やごちそうの消えた白い光の海。

『スクイー、話をすべき時が来ました』

その声は周囲の至る所から聞こえてきた。不意に、彼の胸から星のような形がひとつ離れて、顔面のすぐ前で光の中に浮遊した。それは彼のオモチャ。

(中略)

『あなたは古き友人です、怖がることはありません。どうか落ち着いてください』

浮遊する模様は不意に歪み、スクイーを取り囲んで回転し、やがて彼にはそのぼやけた動きが見えるのみとなった。それが消滅すると、スクイーは再びあの宮殿に立っていた。

 

饗宴に座るのは、一人の女性。

在りし日の、共に旅をしていた日のシッセイ。

彼女は説明します。

自分は『救済』。スクイーの安心する人物として、シッセイの姿を選んだのだと。

ついで、スクイーの現状についても。

スクイーは、ファイレクシアの堕落によって、不死の円環から解放された。

この後のことは、今この瞬間決める必要があるのだと。

一つは、不死のままファイレクシアから解き放たれ蘇る扉。

もう一つは、ついに魂を霊気へと返し、安らぎを得る扉。

スクイーは二つの扉を見つめた後、饗宴の席からパイを取ると、齧りながら笑みを浮かべたのでした。

「三番目の扉について話すってのはどうかな、救さん?」

(中略)

「恩知らずに聞こえたらごめんよ。けどおいらは不死になる前、一度も死んだことはなかったんだ。けどそうなってからは、死んでばっかりになった。不死になる前、おいらは世界でも一番賢いゴブリンのひとりだった。すごい冒険をしてみんなを救った。誰が何と言おうと、おいらは重要だったんだ。みんな、おいらが不死だってことを気にしてるけど、それはおいらのほんの一部で、たまたま手に入れただけだ。そんなの嫌だ。おいらはおいらだ」

スクイーは口の中のものを飲みこんだ。

「救さん、おいらは戻りたい。けどあと一回だけでいい。あと一回だけがんばって長く生きて、その生きたので何かぶっとばして、おいら死んだって思って、けど死んでないってわかって、泣いて笑いたい」

「救済」は頷いた。

 

人間の街へ警告をし、任務を終えたバルプが見たのは、住処だった山の爆発。

王様が死ぬはずがない。

それでも、王様は崩落に巻き込まれて地面の下かもしれない。

地を掘る準備をしかけたバルプにかけられたのは、とても嬉しそうな声。

見えたのは、砕けた岩の上に座すスクイーの姿。

「王様! 王様! 大丈夫だった!」

「お前もよかった! お前も改造されたのかと思ってた!」

「じゃあ、他のみんな……」

喪失の大きさを口にできず、バルプの声は途切れた。

「わかってる。けどおいらたちじゃない! 今日じゃない!」

「けど王様、これからどうする? どこへ行く?」

「ファイレクシアが戻ってきたなら、そいつらの尻を蹴って仕返しをするのはおいらたちみたいな賢いゴブリンの役目だよ」

バルプは両目を見開いた。

「できるの?」

スクイーはバルプの肩に手を置いた。バルプが頭ひとつ長身でなければ、それは父親のような仕草に見えたかもしれない。

「おいらとお前とでだよ、バルプ? 長生きのスクイーは、いつもうまくいく方法を知ってるんだからさ」

 




今回はここまで

スクイー、ついに不死を手放す!!

ウェザーライトのころからストーリーを追ってこられた方々からすれば、相当衝撃のストーリーだったのではないでしょうか。

とはいえ、なんとも心揺さぶる、素晴らしいストーリーですね!

最後のセリフが「不死のスクイー」ではなく「長生きのスクイー」になっているところがミソです。

何度も何度も死を味わったスクイーだからこそ、最後の一度で生を謳歌し、そして本当の死を迎えたいのだと決めました。

彼の大往生は、また確実にストーリーの盛り上がりどころとなりそうですね。

…のわりに、団結のドミナリアのスクイーはいつも通り墓地からの復活ギミックを持っているもんだから、ストーリー好きとしては「アレ?」となります。

まぁ玉座に座ってるし、この物語の冒頭のスクイーだってことで(震え)

 

というわけで今回はここまで。

次回もお楽しみに!

 

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