【ストーリー】大天使アヴァシンの最期 後編

2021年4月14日

前編の続きになります

 

目次

ジェイスの探訪

ゼンディカーでウギンと約束した通り、ジェイスはイニストラードを訪れ、ソリンを探します。

その過程は紆余曲折あるので、ダイジェストでご紹介すると…。

 

まず、彼はイニストラードを拠点にしており、かつては”協力関係”にあったリリアナの元を訪れます。

前回の出来事を謝罪したジェイスは、彼女の助力を請いますが、リリアナはそれを無下に断るのでした。

圧倒的上から目線

 

助力をあきらめ、ジェイスはソリンの拠点であるマルコフ荘園へ向かうと告げると、その向こう見ずな発言にリリアナは実力行使で止めようとします。

彼女の繰り出すゾンビたちを退けたジェイスは、確固たる決意で、その地へ行くことを告げたのでした。

「この世界は危険よ。あなたにとっては特にね。そしてあなたに古のプレインズウォーカーは倒せない。その心には触れられない――触れない方がいい」

(中略)

「行き止まりなのよ。家に帰りなさい、ジェイス。あなたを待っている書類が沢山あるでしょう」

死者の手が離れ、彼は喉元をさすりながら立ち上がった。唐突に、入浴が必要だと感じた。

「煩わせてごめん」 かすれた声で彼は言った。

「なら、俺は自力でマルコフ家の荘園へ向かうよ」

彼は扉へと向き直った。

「どういうつもり、この向こう見ずの馬鹿!」

ジェイスは振り向いた。

「そうだよ。君と喧嘩した結果がこうだ。俺はもう行く」

 

かくしてマルコフ荘園にたどり着いたジェイス。

彼が目にしたのは、多数の吸血鬼の死体。

それも、なぜか「壁に埋め込まれた状態で」。

これがどういうことなのかソリンには明白だった。ナヒリがマルコフ荘園に来たのだ by 石の宣告

 

その中で、ジェイスは一つの手記を発見します。

それは、神河次元のプレインズウォーカー・タミヨウの日誌でした。

彼女の日誌により、謎の石の出現と、それによって狂わされる人々や天使の存在を把握したジェイス。

※イニストラードを恨む誰かさんによって作られた「謎の石」

 

その後はその石群を訪れたり、リリアナともう一度喧嘩したりしながら、スレイベンにいた日誌の著者、タミヨウと邂逅するのでした。

 

アヴァシンを正気に戻すことを提案するジェイスに、タミヨウは最初、「自分は記録をするためにここにいるのであり、たとえ次元が破滅しようとも関与すべきではない」と否定しますが、お互いの精神をつなぎ、真にその思いを共有したことにより、作戦の同意に至ります。

協力してアヴァシンの精神へ干渉し、その狂気から引き戻すことを計画する教会の中。

突如として、ステンドグラスを打ち破り。

けたたましい風とともに、大天使アヴァシンが二人のもとへ現われたのでした。

 

ちなみに、ここまでのシーンはイニストラードを覆う影のPVでも映像化されていますので、ぜひそちらもチェックしてくださいね!

 

精神魔導士の戦い

「アヴァシン。私はあなたの世界への訪問者であり、客人として可能な限り敬意を表してきました。私が求めるのはあなたが守護する者達への平穏と満足だけです。一人の天使として、私の言葉の真実をお聞き下さい。お応え頂けますでしょうか?」

天使の表情が歪んだ。タミヨウが知るあらゆる微笑みの最も貧相な偽物。

そして彼女から笑い声らしき音が発せられたが、その唇は動いていなかった。

その声は心を虫が這うような、爪でこすられるような、不快な引っかき音だった。

「こた……え? 私は……守る。お前から。侵入者。侵略者。腐敗持ち。不純! 不純!」

「わかりました」 タミヨウは返答し、待機していた巻物を広げた。「悲しいことです」

 

タミヨウは、数ある巻物から一つを読み始めます。

それは、凍てつく冬の物語。

怒り狂う天使の槍をかわしながら、タミヨウがそれを終えたとき。

アヴァシンは、息もなく静止したのでした。

 

しかし、作戦の成功を感じる暇もなく。

アヴァシンの身体が無慈悲な光に包まれると、次の瞬間には、その槍が魔導士たちに向けられます。

「私は世界の外からの魔を防ぐ砦」 その言葉とともに、私は槍をその者へと向けた。

槍先は歪み、告発を示す指先となった。

「悪は滅ぼします、その起源が何であろうと、その姿が何であろうと。お前達は我が州を這い回り、我が教会を這いずりました。だが今、お前達は我が前にいます。償いなさい」

光へと呼びかけると、それは従った。手中に冷たいひらめきが顕現し、身を震わす悪魔どもへと我が指の影が降りた。

「お前達がイニストラードへもたらした堕落は、ここに終わるのです」

 

アヴァシンが光を放とうとしたその時。

その大天使と同様に、教会に飛び込んできた影が一人。

今度は天窓から。

天使でなく、白髪の吸血鬼が。

ダイナミック入場part2

その男は剣を手に、音を立てて着地した。背を伸ばして立ち、その靴が硝子を踏みつけた。傷はなく、その白髪が僅かに乱れているだけだった。

吸血鬼の一体、それも古のもの。私はその者を認識したが、名までは思い出せなかった。

「離れなさい、吸血鬼。お前を対処するのは次です」

だがその者は私の前に立った。武器は既に抜かれ、片手に長剣を、もう片手に呪文を構えていた。

「何かがおかしいようだな、アヴァシン」

吸血鬼が言った。その口は蛭の口、輪を描く血まみれの牙に曲げられた言葉。

「助けに来た」

「我が槍の前に立ち塞がらないことです、血吸いよ。さもなくばお前がその身で受けることになりましょう」

(中略)

吸血鬼は更に一歩近づき、今やその胸が槍先のすぐ前にあった。

「アヴァシン」

血塗れの口で言うとそれは手を伸ばしてきた。

「私を傷つけることはできない。何故なら」

それが発した次の言葉は私に跡を残した。空気を震わせたに過ぎないただの音。だがそれは彫刻家の刀のように、審問官の刻印のように感じられた。

 

「私がお前を創造したからだ」




苦渋の破棄

ソリンのその言葉をきっかけに、アヴァシンは自身の片鱗を見つけます。

彼は自分の創造主。

彼は、この次元を守るために、この場所で自分を作り上げた。

そして、その事実がアヴァシン自身を襲うのでした。

 

今まで魔物に見えていた2体は、外套をかぶった男と、巻物をもつ女に見えました。

自分の刃からは、今まで感じられなかった血の匂い。

私はアヴァシン。庇護する者。

――けれど

映像が私を取り囲んで渦巻いた。

――私は

燃える村。

――私は

殺される無辜の者達。

――守ってなど

子供にすがり、泣き叫ぶ母親。

――いなかった。

火を放ったのは私だった。無辜の者を殺したのは私だった。

守る者として、庇護者として創造されながら――なのにその庇護者が破壊をもたらした。

そして私は庇護者というだけでなく、象徴だった。

信仰体系は私を中心に発展した――だがその教会は狂信的な憎悪を点火させ、我が力がその炎を煽った。

 

そして、ソリンにより創造された大天使は、その創造主へと槍を向けます。

こうなることを放置した創造主への恨みを込めて。

「私は貴方の子ではありません。造物です。貴方は私のあらゆる行動の責任を負うのです。私は一つの目的のために創造され、ですが貴方の目的は不純です。ソリン・マルコフ、この世界最大の悪として貴方を断罪します」

「お前は道を外れてしまったのだな」

牙を見せながらマルコフは言った。

 

守護天使と、創造主の戦い。

本来ならば、「創造主を傷つけることができない」という原理のもと、戦いにもならないはずの二人。

しかしアヴァシンは、その原則すらも破棄し、ソリンと戦うのでした。

それは、この世で唯一の創造主すら、怪物とみなしてしまった証拠。

そして、ソリンの攻撃によって、地下室へ落とされたアヴァシンは、そこであるものを目にするのです。

大天使の霊堂

槍を探そうと冷たい石の床に触れたが、それは無かった。まだ上階にあるに違いない。代わりに触れたのは暗い影だった。床に焼き付いた、何か強大な呪文の跡。

それは翼の形状をしていた。天使の翼の。

(中略)

「この場所は知っているだろう」 マルコフが言い、私から離れ、牙の並ぶ口元を拭った。

「ここはお前が創造された場所だ」

私は立ち上がった。首筋の傷からは血が流れていたが、流させておいた。

どこか、この場所には、癒しの力らしきものがあるように思えた。

「貴方はここで私を私とした」

「娘よ、お前を助けたい」 怪物は言った。

「お前の……心を浄化できるだろう。再び、正しき美徳の姿に。お前を新めよう」

それは許さない。「私が貴方の望む娘でないというなら……」

マルコフはたじろいだ。

「……戦うだけです、何度も、何度も、永遠に。私が決して屈さぬゆえに。私は怪物の道具などではありません。貴方のようなものに歪ませられはしません」

 

創造された場所へ落ち、力の復活を感じるアヴァシン。

そして、あくまで創造主への戦いを主張するアヴァシン。

ソリンの「苦渋の」決断が、この時下されたのでした。

「貴方が何をしようとしているかはわかっています。ならば続けなさい。また別の銀の牢獄を作り、私を閉じ込めなさい。私は全力をもって貴方を殺します。それを止める唯一の手段でしょう」

「あの牢獄は失われた。もう一つ獄庫を作ることは叶わない。もう一人のお前を作ることが叶わないように」

私は力を込めた。

「貴方は我が創造主。この世界の法則はご存知でしょう。破壊し得ぬものは縛られるべしと」

マルコフは石の床から剣を抜いた。続く言葉は小声だった。

 

「だがアヴァシン……お前は破壊し得る」

苦渋の破棄

背けられたその顔は見えなかった。怪物なのか人なのかすらもわからなかった。

見えたのは、剣先だけ。

聞こえたのは古の言葉、逆行を成す儀式の言葉、贈り物を突き返す言葉だけ。

感じたのは膝が触れた、大聖堂の堅い床だけ。

嗅いだのは傍で何かがくすぶる灰の匂いだけ。

触れたのは私の最初の瞬間を印した、床の影だけ。

その只中で貴方に向けて言えたのは、世界への最期の祈りは、無辜の者達を危害から守るという、私のただ一つの存在理由。それだけでした。

 

我はアヴァシン。庇護する者。

 

今回はここまで

うわあああぁぁぁぁぁ!!

ドラマチック!!!!!

 

…と思うのですがいかがですかね?

ちなみに、公式のストーリーでは、上述の「我はアヴァシン。庇護する者」の後に、アヴァシン教会の人々の写真が立て続けに載せられます。

アヴァシンの死の瞬間に、そのアヴァシンを頼りにしていた人たちの風景が立て続けにながれるという…まさに映像作品のような描き方ですよね。

公式のストーリー文章がカッコよすぎて、後半ほぼ引用になってしまった…。

いやホント、私のブログでなんとなくの流れを把握したら、ぜひ公式のほうも読んでほしい!

 

ちなみに、アヴァシンが破壊された後、ジェイスがソリンを問いただす場面があります。

「一体何を――したんですか?」 詰問するようにジェイスが言った。

床の焦げ跡で煙がくすぶり、大聖堂の天窓から差し込む光の柱を上っていった。

アヴァシンはもはや存在しなかった。今や大聖堂は、何処かあまりに大きすぎるように思えた。

垂木の下、広大すぎる空間。虚ろすぎる空間。

ジェイスはアヴァシンだった空間とソリンの顔を交互に見返した。吸血鬼はかすかに震え、剣の柄を固く握りしめていた。

まるで自身の胸の内の鳴動を抑えつけているかのように。

「こうしなければならなかった」 ソリンは囁き声で言った。

 

血まで凍っていそうな吸血鬼ソリンが、苦痛を押し殺している、貴重な場面ですね。

冷血キャラの苦悶の決断…推せるッ!!

そりゃ、こんな事態を招いたナヒリへの怒りも頂点に達するというもの。

ナヒリと同じくらい、ソリンが彼女を恨んでいる理由もわかりますね。

 

最後は、このストーリーを締めくくるカード「苦渋の破棄」のカッコよすぎるフレーバーテキストをご紹介します。

アヴァシンはソリンが生み出した。だからこそ、彼女に最期をもたらすというソリンの役目には、想像を超える酷さが、筆舌に尽くせない痛みが、伴っていた。

苦渋の破棄_プロモ版フルアート

 

次回は、イニストラードに訪れたエムラクールを撃退せんとする、ゲートウォッチのお話をご紹介します!

お楽しみに!
 

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*出典*

イニストラードを覆う影_読み物一覧

 

Posted by オクハラデン