「最後の望み、リリアナ」の背景ストーリー

2022年2月6日

はじめに

皆さまお待たせしました。

異界月ではエキスパンションの顔にもなっていた。

皆様大好き、リリアナ様のお話です。

えるどりっちむーーーん

リリアナのことをこのブログでちゃんと扱うのは何気に初めてな気がするので…。

まずは軽い彼女の来歴として、リリアナと鎖のヴェールのお話から始めましょう。




目次

鎖のヴェール

リリアナは、四柱の悪魔と魂を代価とした契約をしたことにより、力と美しさ(と若さ)を兼ね備えています。

そして、彼女が「鎖のヴェール」という伝説のアーティファクトを手に入れたことにより、その力はさらに強化をされたのでした。

 

彼女はその力を使い、まずそのヴェールの場所を教え、その回収を指示した悪魔・コソフェッドを殺害します。

契約によって自分を縛る四柱の悪魔を、このヴェールの力によって討ち倒すことを決めたリリアナは、次なる悪魔・グリセルブランドに狙いを定めました。

 

その悪魔は、イニストラードの守護天使アヴァシンとの戦闘の末、彼女もろとも獄庫に封印されていたのです。

リリアナはスレイベンという地で、その地の守護を行っていたサリアに、仲間の命と獄庫の破壊を天秤にかけさせ、その破壊を成し遂げるのでした。

 

そしてこの時、同じように獄庫に閉じ込められていた「アヴァシンの帰還」とナヒリの脱出も起こったのですね。

獄庫から脱出したグリセルブランドは、自身の下僕をたやすく破壊するリリアナを見て戦慄し、さらなる力の提供を約束しますが。

彼女はその提案を払いのけ、この悪魔を殺害します。

悪魔たちがそのヴェールの力を危険視する中、リリアナはその力で以て、自分を縛る者たちからの解放に動いていたのでした。

「悪魔を探しに来たのに、この次元は天使だらけ。 天使なんて大嫌い。」―リリアナ・ヴェス




ジェイスを想うリリアナ

さて、時は移ってここから「イニストラードを覆う影」のお話。

狂気に蝕まれていくイニストラードの原因追及をし、その謎を追うのがストーリー上のジェイスの役割ですが…。

リリアナはこのジェイスを、割と、結構しっかり、心配しています。

一種のツンデレみたいなもんですね。彼女200歳越えてるけど。

 

まずはイニストラードに着いたばかりのジェイスが、リリアナに協力を仰ぎに来た場面。

彼女はその提案を蹴りながらも、ソリンのもとに行こうとするジェイスには心配を寄せます。

圧倒的上から目線

「馬鹿なことをしないで。行くのは朝になさい」

「は?」 疑いを込めて彼は尋ねた。「互いの無関心をこれでもかって見せつけあった後に、夜を過ごしてけって?」

(中略)

「うぬぼれないで頂戴」 彼女は声を大きくして言った。「客室があるから」

「あぁ」

「地下よ。本当を言えばむしろ地下牢かしらね」

「いいじゃないか」

彼女は背を向けて歩き去ろうとした。

「召使が案内してくれるわ。おやすみなさい、ジェイス」

最後に月光の中から振り返り、彼を見た。実際よりもずっと遠く見えるその場所から。

「朝までよ。その後は自力でお行きなさい」 確固たる声だった。

「わかってるよ」

彼は躊躇し、もっと何かを言おうとしたが、何を言うべきかすら定かでなかった。

リリアナは歩き去り、差し込む月光の中から出て、暗闇へと消えた

 

そのジェイスは、マルコフ荘園でタミヨウの日誌を手にした後、次元の歪みが作られているのを発見します。

そして、そこに徘徊するゾンビや天使の姿を見て、犯人がリリアナであると疑うのでした。

リリアナは、再度自分を訪れてきた彼が語る自分への疑いをはねのけます。

自分が混乱していたことを察したジェイスは、タミヨウのいるスレイベンへ向かうことを告げますが、狂気のアヴァシンがいるその地に行こうとする彼を、またもリリアナ流の言葉で心配します。

リリアナの憤り

「子供の頃、ペットを飼ったことはある?」 代わりに、彼女は尋ねた。「鼠とか、そんな」

(中略)

「犬が……いた。オーヴィツィアで。食べ物の切れ端をあげて、通りがかった時には頭を撫でてやった」

「その犬はどうしたの?」

「ある日行くと、そいつは――」 彼は言葉を切り、飲みこみ、瞬きをした。「何でそんな事を聞くんだよ」

「それを、どんなふうに感じた?」

「悲しかった。すごく途方に暮れた、実際。しばらくの間。でも俺は――乗り越えたよ、確実に」

「どうして?」

「それは……それは、ずっと知ってたから、そんなふうに終わるってことを。考えたことはなかったけど、でも知ってた。俺は……リリー、何で?」

「あなたが死んでしまったなら私はどう感じるか、ってことよ、この馬鹿! 悲しいわよ、しばらくの間は。そしてそれを乗り越える。そんなふうに終わるって知っているから。だから、私からの好意にもたれかかりすぎないで。いつか、それがもうあなたの重さを支えていないことに気付くでしょうから」

 

これが、リリアナ流ツンデレです(迫真)

(どうでもいいけど、ジェイスがリリアナのことを「リリー」って言うの、いいよね。)

しかし、ジェイスの決意は変わりませんでした。

前回ご紹介の通り、エムラクールへ立ち向かうジェイスの後ろ姿を見つめる形で、彼とのやり取りは終わりを迎えます。

彼はリリアナの手首を放し、引き下がった。

「俺はもしかしたらスレイベンで死ぬかもしれない。それはあらかじめ謝っておくよ。でも、何が起こっているかを誰かに知らせたかったんだ」

ジェイスは背を向け、歩き去った。

リリアナは彼が退出するのを見つめた。

そして雨に濡れた窓の向こう、彼のフードが邸宅の外の影へと消え去るのを眺めていた。




イニストラード最後の希望

ジェイスと別れたリリアナは、従者ガレドとともに、吸血鬼オリヴィア・ヴォルダーレンの邸宅を訪れます。

 

そこでは、吸血鬼たちが来たる「復讐作戦」に向けて結集をしていたのでした。

もちろん、その復讐の指揮者ソリンとともに。

リリアナはオリヴィアについて進んだ。「そして今、軍を立ち上げていると」

「そうですわ、可愛い人、獄庫を開いたのが誰だったとしても――」

リリアナは極めて冷静な表情を保った。

「――解き放ったのはあの大天使だけではなかったのですから」

オリヴィアは続けた。「それに……あなたの悪魔のお友達以上のものを。また別のものが放たれました。」

(中略)

「知っておりますのよ、あなたが放ったと」 そしてはっきりと付け加えた。

「そうですわよね、ソリン?」

ソリン・マルコフが振り返り、二人に対峙した。彼は艶やかな制服のように憎悪をまとっていた。

「お前が」

「客人をお連れしましたわ」 オリヴィアは言った。その声は再び優美な礼儀正しさを完璧に備えていた。

「ソリン、リリアナ・ヴェス嬢をご存知でしたわよね?」

「お前の仕業だ」 ソリンは言った。

「あの石術師を放ち、今の事態を招いた」

 

その場に来て、リリアナは知るのでした。

アヴァシンが死んだこと。

ソリンへ恨みを持つナヒリという者が、今の事態を招いていること。

そしてなにより…

リリアナはただ雲を見つめていた。これは世界を歪めて復讐に至る、深く古い魔法。

「その人がこれを?」

「二流の魔道士の二流の行動だ」 ソリンは呟いた。「心得違いの正義感に急かされてな」

「つまり、あなたがこの全てを起こしたのね」 リリアナは言った。「復讐されるような事をしたと!」

「そして今、私たちは再び彼女に復讐するのですよ」

オリヴィアは言った、牙を見せて笑いながら。

(中略)

「あなたはその人がイニストラードにどんな復讐をしようとしているか、何も気にならないの?」 リリアナは尋ねた。

「ジェイスが……」 そう言いかけて彼女は姿勢を正した。「……何千もの人々がいるのに!」

「この世界は破滅に向かっている。あの娘がそう仕組んだ。君のジェイスくんもスレイベンにて、一緒に死ぬだろうな」

 

(「ジェイスが」って言ったこの人…確実に言ったよこの人…)

…イニストラードの君主が、この次元を「諦めてしまっている」ということ。

ソリンは今、戦いに出ようとしている。

それは、この次元の人々を、脅威に立ち向かったジェイスを助けに行くのではなく。

この事態を招いた者に、ただ復讐を果たすために。

ならばこの世界は死の運命にある。

その庇護者が何もかも諦めたのだ。別れを言う時が来た。

「さようなら、ヴェス邸」

空が不可解な音を発し、リリアナの骨を震わせた。

遠くにスレイベンが輝いていた、地平線に落ちた星のように。

「さようなら、外套くん」

 

吸血鬼たちが去った夜の闇。

リリアナが見つめる先には、巨大なる影。

あいつは…ジェイスはあの存在を倒そうとしている。

気づけば、彼女の足は、その方向へと歩みを進めていたのでした。

リリアナが歩む先で通り過ぎた墓所からは、死者が現われ、彼女の背後に着きます。

街道を歩けば、屍たちは彼女の術に応じます。

 

ソリンもオリヴィアも、この狂気には関与しないのだろう。

そして、この事態を理解できるであろう唯一の人物は、あの腹立たしくも、明晰なる頭脳を持つ彼は。

その正義感と好奇心に突き動かされ、確実なる死に向かおうとしている。

自分が彼を必要としているのではない。

ただ、自分を必要としている誰かを、彼女は必要としていた。

「さあ、ガレド」 彼女は風の中、声を上げた。

そして両腕を掲げた、まるで熱い血管のように、皮膚に文様を感じられた。

「刮目なさい、私は……」

屍術に従い、後につくよう命じられて更に十体程のゾンビが地面からよろめき出た。

「……この世界の……」

その屍は歪んでいるようには見えなかった――少なくとも、土の中で年月を経て乱れていた骨以上には歪んでいなかった。

眠らぬ死者はその影響を気にしないようだった。

リリアナは得意の笑みを浮かべた。

「……最後の希望よ」

最後の望み、リリアナ




今回はここまで!

最後のセリフの瞬間に

Liliana, the Last Hope

ってカッコいい字体で出したい。

 

ジェイスにどれだけ説得されようとも、重い腰を上げなかったリリアナが、最後はイニストラードの人々のため…という名目のジェイスのために、ゾンビたちを従えエムラクールへと立ち向かいます。

いやはや、フクザツな心持ちですねぇ…。

このあたりがリリアナの人気の理由かもしれませんが。

 

というわけで次回は、エムラクールとの戦いを、リリアナ目線で紹介します。

そしてストーリーの最後では、リリアナもゲートウォッチ参加のために「誓い」を立てます。

他の4人の動機とは全く違う、彼女の「誓い」をお楽しみに!

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*出典*

リリアナの憤り

イニストラード最後の希望