【破滅の刻】第1回 啓示の刻【ストーリー】
はじめに
ボーラスによって堕落させられた次元、アモンケット。
ゲートウォッチはその次元を訪れ、その異常な実態を目にしたのでした。
人々はおろか、神さえもその思考を塗り替えられ、神の試練という名の同門での殺戮によって、死者を量産していたのです。
今回から始まる「破滅の刻」編は、「アモンケット」の答え合わせ編になります。
まずは、ボーラスの過去の悪行から…。
アモンケット、堕ちる
そのドラゴンが空に現われたその日。
アモンケットの八柱の神々は、自分たちの敗北などあろうはずがないと思っていたのでした。
しかし、その想像はすぐに覆されることになります。
そのドラゴンの一瞥で、オケチラ神の放った矢は砕け散り。
鉤爪の一裂きで、都市を守る魔法障壁は引き裂かれ。
軽く顎を突き出しただけで、ケフネト神の精神は真二つに散らされたのでした。
そして、ドラゴンが両目を開いたその瞬間、自らの足で歩ける歳の者は全て空へと消えます。
アモンケットの神々がこれほどまでに戦慄したのは、次元が生まれて初めての事でした。
起こったことが理解できず、皆が膝をついて唖然とする中、ハゾレト神とオケチラ神は子どもたちを霊廟へとかくまい…。
しかしそれすらも、ドラゴンは破り侵入すると、鉤爪の一振りで神の精神を空白へと化したのでした。
全ての神々を手中に収めたあと、ボーラスは「作業」に入ったのです。
第一に、神々を堕とすこと。
三柱の神々を隠蔽する。いずれ、活躍の時が来るまで。
残り五柱の神々は、ドラゴンに関するもの以外の全てを消去する。
第二に、死者を連れ出すこと。
暗闇の墓所から、光ある地上へ。
第三に、風土と風習を利用すること。
試練を利用し、勇者を生み出す。
そして、刻が来たらそれを知らせるべく副陽を動かす。
第四に、自身の証を作り出すこと。
都市に玉座を作り、都市の外には自身の角を模した碑を建てる。
それはボーラスに残っていた、虚栄心の現われ。
そして最後に、帰還の約束を記すこと。
予言を記述し、人々の心にそれを植え付ける。
かくして、ボーラスはこの次元を捻じ曲げたのでした。
そして。
過去にボーラスが約束した刻が、すぐそこに迫っていたのです。
「かくして副陽は王神の角の背後に座し、約束の刻が始まった。アモンケットの人々は一人残らず跪き、響くのは世界に来たるものへの怖れに人々が歯を鳴らす音、赤子と幼児の泣き声。そして全て予言により、神々は厳粛にその瞬間を記す」
啓示の刻
刻の始まり。
デジェルは全力で駆けていたのでした。
王神の帰還がなされるという、来世の門へと。
神々も、人々も大群衆となって押し寄せる中、王神の碑の間から副陽の光が差し…。
唐突に、その門は軋む音を立てて開き始めたのでした。
「王神が到来される!」 神の叫び。
高揚する人々。
今までその門を、生きたままくぐった人はいなかったのでした。
だれも見たことのない扉が開かれる。
楽園への道を約束された扉が。
門の先にあったのは果てのない、無の荒野だった。
デジェルは唖然と口を開いた。緑の草原を、自然の泉と恵みの海がある筈では?
その場所には……何もなかった。砂漠。獣。ワームと鰐と造反者の忌まわしい死体。ヘクマの外側にあるものと同じ。終わりのない、果てのない、全てを取り巻く、容赦のない、無。
訳がわからなかった。
そこかしこで人々が混乱を弾けさせていた。
ある者は歓声を上げた。ある者は称賛を叫んだ。他は疑問に顔を見合わせた。これは楽園なのだろうか?
その懸念は人から人へと伝わり、次第に声を大きくしていった。
(中略)
王神が姿を現す兆候は未だなかった。これも試練なのだろうか? 楽園が無いことには何らかの意味があるのだろうか?
(中略)
開いた門から巨大な、暗い、翼持つ影が岸辺をよぎり、声の不協和音は静まった。人々は身を屈め、そして見上げ、過ぎる影を一瞥しようとした。王神を呼ぶ興奮した叫びと称賛が響いた。
だがそれは王神ではないとデジェルには判った。
彼が飛跡を見つめる中、それは一本のオベリスクに毅然と着地し、眼下の人々を凝視した。背後でサムトがコペシュを抜く音が、そしてまるで罵りのように、呪いと怒りがその口から放たれるのが聞こえた。
「悪魔」
その悪魔は、オベリスクの頂上に降り立つと、狂気の笑みを浮かべたのでした。
そして、自身の右腕を突き出すと、鉤爪でそれを裂いたのです。
そしてその血一滴ごとに、注がれた川は変容していったのでした。
やがて生まれたのは、死のぬかるみ。
あらゆる川の生物が死に絶えた、狂気の赤。
底知れぬ深い声が、悪意の棘をまとって恐怖に満ちた声が大気を震わせた。反射的にデジェルは両耳を塞いだが、悪魔の声を遮ることはできなかった。
「リリアナ」 悪魔の声が響いた。
サムトは目を見開いた。
「何で悪魔があの人達の仲間を?」
そうデジェルに尋ねたが、彼も訳がわからず首を横に振るだけだった。
デジェルは顔を上げて悪魔を一瞥し、血が凍るのを感じた。悪魔は笑った、鋭い歯と底の無い瞳は力と絶望の生き写しだった。その声が血の川に再び響いた。
「そこにいるのであろう、リリアナ・ヴェスよ。隠れられはせぬ」
今回はここまで
あ、悪夢じゃあ~!
悪夢の始まりじゃあ~!!
…という感じの「破滅の刻」オープニング。
ラザケシュの圧倒的強者感と、挿絵のカッコよさ好き…。
破滅の刻のマスターピースは、どれも悪の強さを描き出すイラストになっていてよいですね。
次回は破滅の刻第一章!ラザケシュとの決戦!
お楽しみに!
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