「ギデオンの誓い」の背景ストーリー
はじめに
「MTG初心者にこそ知ってほしい、ゲートウォッチの誓い」シリーズ第一弾!
まずはゲートウォッチの提唱者たるギデオン・ジュラです。
ゼンディカーの危機を目の当たりにしたギデオンは、どのようにしてプレインズウォーカー連合を結成するに至るのか。
その過程をご紹介します。
※ゼンディカー次元についてのお話はこちら
ブラック勤務体系のギデオン
戦乱のゼンディカー物語冒頭のギデオンは、同時に二つの問題を抱えていました。
一つは、件のゼンディカーのエルドラージたち。
落とし子やドローンといわれる小型エルドラージたちを、傷つきながらも倒していくのが昼勤務。
もう一つは、ラヴニカのゴブリンたち。
クレンコというゴブリンをリーダーとするゴブリンのギャング集団が、ラヴニカにもたらす暴動を止めるのが夜勤務。
それを表す公式の記事の名前は「限界点」。
ギデオンが昼夜を問わないこれらの勤務をこなすうちに、ただただ消耗していく様が見て取れます。
「最後に眠ったのはいつだ?」
ムンダが尋ねた。
ギデオンは確かなことはわからなかった。目を閉じ、意識から漂い出る喜びはしばしば彼から巧みに逃れてきた。
そして寝台の快適さは突然、遠い記憶のように思えた。
「何日か前です」 何らかの確信を持って言えるのはそれだけだった。
さて、こんなブラック勤務の中で、ギデオンが悟ります。
ゼンディカーの小型エルドラージたちを、ぷちぷち倒していても意味がない!
一人でゼンディカーすべてのエルドラージを倒すには無理がある!
この次元を救う方法…それは「力線の謎」と呼ばれるものであり、これを解くこと。
そして、これを解ける人物は、一人しかいないと。
ギデオンはその者に接触すべく、ラヴニカへと向かうのでした。
傷つき血を流しながら、ギデオンはギルドパクト議会へと続く一連の石段の下に立っていた。
ゼンディカーは今も危機の中にある。ただ一人の腕力では勝利を達成するには足りない。別の解決策が必要だった。
それは、ジョリーが言った通り、力線の謎なのだろうか? ラヴニカの迷路を解いた者以上にその任務に適した人物がいるだろうか?
生けるギルドパクト。
プレインズウォーカー。ジェイス・ベレレン。
ギデオンは最初の段を昇り、次の段に踏み出そうとした。だが重力に捕らわれ、彼は倒れこんだ。
司令官としての苦悩
ジェイスの説得に成功したギデオンは、ゼンディカーへと向かいます。
そこでギデオンのカッコよさを語るうえで欠かせないのが、彼の司令官としての立ち振る舞い。
ゼンディカー奪還を目指す彼のもとには、同じくゼンディカーにまつわる人々が集まってきます。
しかし、個々に目的が違うため、それをまとめようとするギデオンの苦悩が、ストーリーでは描かれているのです。
決死の思いで、ゼンディカーの首都たる「海門」を解放することに成功した一行は、ウラモグ襲来の知らせを受け、意見の相違による論争を招きます。
「攻撃は自殺も同然です」
「司令官、脱出命令を」
ウラモグの脅威を知り、太刀打ちするのは愚行だと主張するタズリ。
「逃げる場所なんてないわ。戦う時よ!」
「私がその攻撃の先頭に立つ!」
海の神タッサから奪った二又槍を掲げ、絶対の自信で攻撃という方向性を譲らないキオーラ。
「面晶体一つだけでは足りない。けれど面晶体の複雑なネットワークを繋げれば巨人も縛ることができる。」
面晶体の謎を解き、その連結により巨人たちを捕縛することを提案するジェイス。
「駄目。巨人はここにとても長い間囚われていたの。世界はずっと苦しんでいたの」
世界とつながることにより、ゼンディカーという次元そのものの苦しみを身をもって体感したニッサ。
これらの人たちの思いを束ねることを責務として課された司令官ギデオンは、時にその重責に苦悩しながらも、皆の結束を図りながら軍を率いるのです。
全員が見つめていた。全員が。
当然だ、自分は司令官なのだ。
司令官として、命令を発するのは自分なのだ。そして、そうするべきだ。
一瞬。
いや、もう一瞬。
考えなければならなかった。最良の行動方針を出さなければならなかった。
最良でなくてはならなかった。
つかの間の成功
司令官として、ジェイスの提案した面晶体の連結による、エルドラージの捕縛作戦を遂行するギデオン。
ちなみに、この案に乗り気でなかったキオーラはここで単独行動に。
ここで乗っておけばキミもゲートウォッチだったのに…。
また、作戦のために集団を離れていたジェイスは、ギデオンの指導者としての力の成長を改めて感じます。
ギデオンが司令官たる、その瞬間でした。
「よし。迅速に動かねばならない。ジェイス、私の軍を預ける。必要なように使って罠を築いてくれ。ニッサ、ジェイスと一緒に行って君ができる方法で手助けを。ムンダ、ジョリー、哨戒たちに話をしてくれ、もっと沢山の哨兵が要る。巨人一体だけで来るということはないだろう。周辺地域の安全を確保しないといけない。あのマーフォークについても同様だ。キオーラに私達のやる事の邪魔をさせはしない。タズリ隊長、ドラーナ、私と来て軍と話そう。軍勢を準備する必要がある」
「了解!」
その言葉は部屋に響き、ジェイスは自分の声がそこに加わっているのを聞くまでその事に気付かなかった。
彼はそれに驚かされた。
ギデオンが自分を驚かせたのだ。
空岩で離れて以来、このプレインズウォーカーは指導者としてとても成長したようだった。
青年期、ギデオンは自分の傲慢により、仲間を全壊させた過去があり、そのトラウマとも言える体験と、背負っている重責に押しつぶされそうになりながらも、仲間に的確な指示を言い渡すのでした。
そして、ジェイスの作戦を指揮することで、巨人ウラモグの捕縛に成功したギデオン。
あまりにも多数の犠牲を出しながら、どこにも解のなかった世界で、敵うはずのなかった巨悪をとらえたのでした。
「やったぞ!」
ギデオンはスーラで宙を切り裂いた。やり遂げた。ウラモグは囚われた。
背後から歓声が上がり、彼の隣にニッサが優雅に降り立った。
ぶら下がっていた蔓は彼女の背後で跳ねた。
「やったわね」
「ああ、やった」 ギデオンは頷き、彼の視線は海を越えてジェイスと繋がった。
「私達は、やった」
しかしその成功もほんのつかの間。
予想だにしなかった不確定要素により、作戦は破綻してしまいます。
それが、悪魔のプレインズウォーカー「オブ・ニクシリス」。
彼はほんの少しの力で面晶体の罠を解放すると、同時にもう一体のエルドラージタイタン「コジレック」も呼び覚ましてしまうのでした。
悪魔が力を得る呪文が終わると、重力が面晶体を海面へと捕え始めた。
海門の壁へと繋げられた綱を切断しながら、面晶体は波立つ海へ一つまた一つと落下していった。
輪は壊れた。ウラモグの牢獄構造は断ち切られた。
もはや抑えつけられてはおらず、ウラモグは黙示の花のごとくにその身体を広げた。
巨人は近くを逃走していた人々を掴み、彼らは直ちに塵と化した。
ギデオンの誓い
オブ・ニクシリスに敗北したギデオン、ニッサ、ジェイスは、彼にとらえられるも、辛くも駆け付けたチャンドラによって救われます。
目の前の脅威からは脱したギデオン達。
だが、もちろん自分たちが立ち向かっていた脅威は、悪魔のプレインズウォーカー一体ではありません。
捕らわれていた洞窟から出たギデオンが目にしたのは、死滅した世界。
解き放たれたウラモグ、そして新しく現れたコジレックによって、次元自体が蹂躙された光景。
誰よりもゼンディカーを自分のものとして「感じていた」ニッサに、ギデオンはかける言葉を失います。
ギデオンは彼女へと一歩踏み出し、だがジェイスが彼の腕を引いた。
「待て。何て言うつもりだ?」 ジェイスが囁き声で言った。
「何だ? 私は何ら――」
「守れない約束をするな」 ジェイスはきっぱりと言った。
彼ら自身の意思でか、それとも精神魔道士の刺激によってか、ニッサを慰めるために言おうとしたかもしれないあらゆる言葉がギデオンの心に浮かび上がった
――「あれらを倒そう」「成すべき事を成そう、勝利はまだ手が届く所にある。この荒廃した世界も生き返る」……
空虚な決まり文句だった。
ジェイスは正しい――そんな約束はできなかった。
そして、同時にギデオンは気づくのでした。
ここにいるプレインズウォーカーは、"誰もがいつでもこの状況を脱せられる"ということに。
しかし、"誰一人としてこの状況から逃げ出そうとしていない"ことに。
そんな事実に気づいたギデオンは、静かに3人に語りかけます。
「皆知っての通り、ゼンディカーは破滅の瀬戸際にある。私達はこの次元の最後の生き残りになるかもしれない、エルドラージと、この世界の脈打つ心臓との間に立つ最後の生き残りになるかもしれない。それでいて何ができるだろうか? 私達は、エルドラージに対して何が――巨人一体でなく、恐るべき二体に対して何ができるだろうか」
「すべき事などないのかもしれない。もしかしたら誰も――私達はそれぞれ誰も、あの怪物どもに対して何もできないのかもしれない。だが、四人ならばどうだろうか」
ギデオンは言った。
ジェイスは笑みを浮かべ、ニッサは目を見開いた。
そしてギデオンは続けた。
「私達には可能だ。共に戦うなら、多元宇宙のどのような力が私達四人の前に現れようとも、立ち向かえると私は思う。だからこそ、そうするべきだろう」
「けど――」 チャンドラは口を挟みかけた。
ギデオンは片手を挙げて制した。
「聞いて欲しい。私達がこれまで成し遂げたことは何だろう。ウラモグを拘束した。あの悪魔を退けた。私達それぞれに、素晴らしい力がある。」
「チャンドラ、君は炎だ――君の怒りは途方もない力だ。ニッサ、君はこの次元の魂と魔力の流れを深く理解している。それは私達三人にはできないものだ。ジェイス、当初私は君を過小評価していた。だが君の素早い思考と先見は私を何度も救ってくれた。」
「共にならば、私達はエルドラージを制し、この世界を救える。そして私達を必要とするあらゆる世界をも救おう、その脅威がどれほど大きくとも」
ギデオンは、3人の目をまっすぐ見つめながら、強調するのでした。
脅威にさらされているのはゼンディカーだけではないと。
そして、自分たち4人でならあらゆる次元を救えると。
「私は文明が崩壊する様を見てきた。エルドラージが海門を破壊した時、あれらは私が信じる全ての存在を脅かした。ゼンディカーの人々は、私の軍は、あれらの前には針虫のようなものだった」
そして彼はかぶりを振った。
「決して、繰り返させはしない」
今や三人は揃ってギデオンを見つめていた。彼はそれぞれの視線を受け止め、口を開いた。
「エルドラージだけではない、ゼンディカーだけでもない。決して繰り返させはしない、どのような世界にも。私は誓おう。海門のため、ゼンディカーとそのあらゆる人々のため、正義と平和のため、私はゲートウォッチとなる。そして新たな危険が多元宇宙を脅かした時には、私はそこに向かおう、君達三人とともに」
今回はここまで
ここまでが、ゲートウォッチ結成における「ギデオンの誓い」の物語でした。
いやー!!この物語めっっっちゃカッコイイんですけど!
伝わってますかね?伝わってますか?伝わってなかったら私のせいなので、ぜひ出典から元の記事を読んでください!!
灯争大戦にて死んでしまったギデオンの物語を知ってから、このゲートウォッチの誓いの物語を読むと泣けます。
いやホントに。
もうこのカリスマ司令官は、ストーリーには出てこないんだよなぁ…(´;ω;`)
おのれニコル・ボーラス。
さて、次はゼンディカーとのつながりを誰よりも感じていた「ニッサの誓い」をご紹介します!
お楽しみに!
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