【霊気紛争】第1回 ギデオンの正義【ストーリー】

2021年4月11日

はじめに

前回までで、ついにキャストが出揃い、ゲートウォッチ含む改革派 vs テゼレット率いる領事府軍という構成が出来上がりました。

ついに、彼らの「戦い」が幕を開けます。

霊気紛争編!始まりますよ!

 

指揮官の悩み

ギデオンは悩んでいました。

ゼンディカー、そしてイニストラードへエルドラージたちがもたらした脅威を対処することは、ゲートウォッチの使命として疑いのないものだったのです。

そして今目の前にある脅威。

リリアナとジェイスは、テゼレットを排除するよう訴えますが、カラデシュを取り仕切る領事府へ抵抗し、この次元への干渉をすることが、果たして「ゲートウォッチとして正しいことなのか」。

 

もともとは、チャンドラのためにこの次元を訪れました。

そして、彼女は領事府を憎み、反抗勢力である改革派へ肩入れをしている。

何が敵で、何が正義で、何が正しいやり方なのか。

ギデオンは組織を正しいほうへ導く、その苦悩のただ中にいたのでした。

 

拠点としているヤヘンニの館の屋上。

街を見下ろすチャンドラは、ギデオンに不満をぶつけていました。

なぜ、領事府への抵抗を画策する母に、同意してくれないのかと。

ギデオンは、自分はチャンドラを守るために来た、という原初の思いを打ち明けます。

ギデオンは微笑んだ。柔らかく。穏やかに。

「私達は見守ることを誓った。それは、互いを見守るということでもある。互いの背中を守るということだ」

そして眉をひそめて付け加えた。「それがリリアナでも、な」

チャンドラは笑った。心からの笑い声、だがそこには不満が滲んでいた。

(中略)

ギデオンはかぶりを振った。「チャンドラ、君自身の復讐心でゲートウォッチの目的を曇らせてはいけないよ」

チャンドラはギデオンへと向き直った。その瞳には怒りが火花を散らしていた。

「ねえ、私の背中を守るって言ったわよね。でも、あんたはゲートウォッチのギデオンとしてここにいるの、それとも私の友達のギデオンとしてここにいるの?」

ギデオンは溜息をついた。

「それは……わからない。どちらの私も同じものだと思っていた」

「私達はただ世界から世界へと渡り歩くだけでなく、世界それぞれの問題に干渉し、自分達の正義や意志を押し付けている。私達は、一歩間違えたなら暴虐の魔道士になってしまう」

チャンドラはいぶかしげな視線をギデオンに向けた。「それ、私の誓いの引用?」

ギデオンは肩をすくめた。「君に影響されたのかもな」

チャンドラは笑い、そしてその笑い声は嘲りに変わった。

「法に縛られる不滅の戦士さん、あんたは重く考えすぎよ」

「生きた火の玉くん、君が情け深く親切なのは間違いない。けれどチャンドラ、私達皆、自分達の力以上の存在なんだ」

チャンドラは両手を見下ろし、小さな火花と燃えさしが指先の間に踊った。ギデオンは自身の両手を掲げ、左手は右手首に取り付けられたスーラを辿った。

「私は限界を知り、限界を定めることの大切さを学んできた。さもなくば自分だけでなく、愛する者も、この傲慢さの重荷を背負うことになる」

タミヨウと同じ意見にたどり着いたギデオン




 

リリアナの私怨

ギデオンはリリアナを部屋へ呼び出し、宣言します。

「もう誰も殺さない」と。

ゲートウォッチは、もう殺しを行わないと。

彼女は声をあげて笑った。

「あら、ごめんなさい。スレイベンでは敵を雑草みたいに切り殺しているのを見かけた覚えがあるのだけれど」

「あれはエルドラージの怪物だ。ここにいるのは人々だ」

「じゃあ、醜いのだけを殺す? それなら簡単、あいつは十分に条件に合ってるんじゃない」

リリアナは衣装部屋を再び開け、捜索を再開した。ギデオンは疑念を込めて言い放った。

「必要にかられた以外は殺すんじゃない! そして今は――」

「今がその『必要にかられた』状況よ。あの領事府軍は私達を見て、特定して、攻撃してきた。だったら何、そいつらを気絶させて目覚めさせてから、私達がこの家から出て来る所の記憶を魔法で忘れさせろとでも?」

リリアナは大きめの白いクルタを取り出し、素早く値踏みするように見て、それを肩にかけた。

「記憶を消すのは私の特技じゃないし、そっちなら馬鹿げた偵察任務に走り回ってるのがいるでしょ。私は自分の得意なことをしただけ」

彼女は振り返り、ギデオンへと上品ぶった笑みを見せた。

「死なんてただの道具。私はただその道具の扱いが凄く得意なだけ」

「死は何としても使うべきでない道具だ。死の魔道士としては受け入れ難いかもしれないが」

気が付くとギデオンは拳を握りしめては緩めていた。そして深く息をついた。

 

やがてギデオンは問います。

リリアナが向ける、テゼレットへの私怨の理由はなんなのかと。

何をされたから、ここまで彼に固執しているのかと。

「あいつは次元間犯罪組織の主導者で、世界を超えて危険な物品を売り買いしていた。残酷さと狂気を増すばかりの性格で、友も敵も操って殺すし、主張のためだけに村も焼く奴よ」

ギデオンはかぶりを振った。

「それは、君が考える、私がテゼレットを止めたいと思うであろう理由だ。貴女が何故そいつを止めたいのかを、殺したいのかを知りたい」

しばし、リリアナは本当に口がきけなくなったように見えた。ギデオンは彼女を見つめ続けた。その瞳の中に何かがひらめくのが見えた、紫の泉の奥、決意が現れた。

「あいつは私の大切なものを傷つけた。私のものを壊した」

その口調は平坦で、だがその下にギデオンは怒りと憎悪の棘を感じた。

「私の邪魔をしないで頂戴。あいつに引導を渡し、この虚飾すべてを終わらせてやるわ」

リリアナは背を向けて階段を滑るように上っていった。一段ごとに靴の踵が鋭い音を鳴らした。

ギデオンは溜息とともに顔を手で覆った。それが真実の全てではないことは確かだった。とはいえ、彼女から引き出した最大の真実であることもまた確かだった。

 




次なる作戦

それから数日後。

ギデオンたちは、領事府の操縦する突撃車から、街と発明家たちを守っていたのでした。

今や仲間となったサヒーリが、彼に進言します。

テゼレットは、中央霊気塔の私的な作業場に閉じこもっていると。

そこで、受賞した発明家を軟禁し、発明を続けていると。

そして、友のラシュミのため、幾人かを連れて彼女はそこへ乗り込むつもりだと。

「私が行く」 リリアナが進み出て、ジェイスを押しのけると彼とギデオンの間に立った。

「テゼレットがそこにいるのなら、私が行くわ」

サヒーリはジェイスからリリアナ、そしてギデオンへと視線を動かした。ジェイスは驚いた様子で、だが緊張と不安が解き放たれてその肩がわずかに落ちるのをギデオンは見た。ギデオンは厳しい視線でリリアナを見つめた。リリアナは無表情で、そこからは何もわからなかった。沈黙の秒針が進むごとにギデオンの肩には躊躇の重みが増した。

私は貴女を信頼したい。信頼していいのか?

サヒーリの声が彼の思考を遮った。「今すぐ決めないといけません」

「わかった。リリアナ、行ってくれ」

サヒーリは満足に頷き、そして速接会地区へと足を向けた。リリアナがそのすぐ後を追った。

「リリアナ」 ギデオンは声を上げた。「正しいと思ったことをしてくれ」

ギデオンはリリアナの穏やかな物腰の背後にひらめく、何万もの無言の返答を見つめた。一つが浮かび上がり、広場を横切って届いた。「すべき事をするだけよ」

二人が脇道へと姿を消すのをギデオンは見つめた。

 

やがて作戦が決まったのでした。

サヒーリ、リリアナ、アジャニは発明家たちの救出。

ピアとチャンドラとジェイスは、改革派とともに研究室へ霊気を送り続けている拠点への襲撃。

そのほかは、準備が整うまで領事府軍の攪乱。

 

沈黙の時が終わり、彼らの正義が動き始めたのです。




今回はここまで

だめだ…ストーリー展開が何も進んでない…!

でも、このギデオンの苦悩パートは、ただのファンタジー小説ではない、人間らしい苦悩が描かれて好きなんですよ!

ただ自分の正義を押し付けるわけでなく、それが次元やそこに住まう人々にとっても正義たり得るか、と熟考するギデオンの姿は、リーダーの鑑!と思わされます。

逆に、自分にとっての正義を次元に押し付けようとするのが、今回の巨悪テゼレットや、その背後のニコル・ボーラスだということですね。

こういうところがね、深いのですよ、マジックのストーリーは。

 

というわけで、次回こそストーリーの進展を!笑

お楽しみに~

 

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*出典*

沈黙の時

Posted by オクハラデン