【破滅の刻】第4回 約束の刻【ストーリー】
はじめに
栄光の刻が訪れ、隠されていた三柱の神が目を醒ましました。
その侵攻を止めようとしたロナス神は、蠍の神の毒によって斃されます。
そして、蝗の神は自らの分身を解き放ち、都市の守りを消滅させようとしていたのでした。
そして見よ、暗き三柱が帰還し、神々を斃し、約束の刻が訪れる。
次に大蝗の神が大いなる約束を叶える。ヘクマは引き裂かれ、王神の帰還を前にその守りは解かれる。
鼓舞するハパチラ
力の神殿にいたハパチラは、ついに訪れた「刻」に戸惑っていたのでした。
栄光の刻が訪れれば、神々もその力を示す。
つまり、新たな三柱の神々はまず五柱を試す?
預言の時、自分たちはどこにいればいい?
そして、あの血の川はなんだったのだか?
そんな中、突如ハパチラを襲ったのは、体が折れるほどの痛み。
その瞬間、彼女は小さな足音が階段を駆けてくる音を聞いた。
イプト、力の神殿にて最年少かつ最も俊足の侍臣が、素早く階段を上ってきていた。その顔は涙でくしゃくしゃだった。ハパチラは膝をつき、彼女を両腕で受け止めた。
「イプト、何を見たの? 新たな神々は何と?」
「ロナス様が斃されました!」
ハパチラはうつむき、かぶりを振った。
「ありえない。神が。神が殺されるなんてありえない」
イプトは悲嘆に震えた。
「蠍の神がロナス様を。神様全員を殺す気です」
ロナス神は神々の中でも最強だった。その力に獣は後ずさり、闇の力は神の影の中にすくんだ。ロナス神が殺されるはずなどなかった。
だがハパチラの心臓の痛みが、そうではないと告げていた。
預言と異なる光景に、混乱をきたすアモンケットの民たち。
しかし、ハパチラはすぐに行動を起こします。
今やるべきは、神を守ること。神が斃れる痛みから民を救うこと。
そしていまや、蝗の神は都市を守る魔法障壁ヘクマを食い荒らしていたのでした。
「ロナス様は私達がただ座って泣き続けているなど望まれていない! 武器をとって戦いなさい!」
ハパチラは大きな身振りで言った。
全員が鼻をすすり、頷き、武器を手にすべく神殿の内部へと向かった。
頭上で、昆虫の黒雲から光のひと刺しが漏れた。
光の柱が障壁の向こう側から入り込んだ。当初は僅か、そして十を超え、突然、ヘクマの障壁の四分の一が消え去った。
ハパチラは罵り声を上げた。
街に混乱が弾けた。
抗う神々
ハパチラは巨大なバジリスクのチュウヤの背に乗ると、神の元へと急ぐのでした。
神経毒でミイラを斬り捨てながら、彼女は一つの結論に行き着きます。
神々が裏切ったのではない。
ここにいないもの、王神こそが全ての元凶なのだと。
道中でサムトとデジェルを乗せると、彼女らは二柱の神の元へたどり着いたのでした。
「ケフネト様! オケチラ様! ヘクマは失われました! 安全な場所へお連れ致します!」
ほんの一日前であったなら、この言葉はいかに馬鹿げた響きだっただろうか。
(中略)
結束の神はハパチラを見下ろして微笑んだ。小さく、悲しく。神が彼女の魂を覗きこむと、周囲で人々が恐怖に逃げ惑う音が和らいだ。
「ロナスの子よ、其方が我等を守るのではありません」
オケチラ神はごく僅かにかぶりを振った。
「我々が其方らを守るのです」
ハパチラの心が軋んだ。
「オケチラ様、おやめ下さい!」
ハパチラにそう告げた二柱の神は、歩みを進める蠍の神へと向かっていきます。
空と地上から、優雅なまでの攻撃で連携するケフネト神とオケチラ神。
そして、オケチラの矢は、ついに蠍の神の頭部を捉え、その体を粉砕したのでした。
歓喜に沸く定命たち。
サムトとデジェルは固く抱き合い、そしてハパチラの背中を叩いた。ハパチラは二人と喜びの涙を共にすることは拒んだ。それは後でいい。
だが死したロナス神をどう悼めばよいだろう、そう熟考していると、蠍の神であったはずの塵と破片が動きだした。
破片は地面から浮き上がり、そして瞬く間に、つい先ほど殺されたはずのその獣が再び姿を成した。
その獣は完全な、無傷の姿で立ち上がった。まるで地面深くまでも揺るがした先程の戦いなど存在しなかったかのように。
ケフネト神は倒れた敵へと振り返った時、蠍の神は目の前にいた。そしてその針が額の中央を正確に突き刺す寸前、汚らわしい虫の音が神の耳に届いた。
その傷は深くも広くもなかったが、美しく聡明なケフネト、知識の神は絶命し、そして倒れた。
神を悼む
またも訪れる、えぐられるような心の痛み。
無意識に口から発せられる悲鳴。
混乱に陥る三人に、オケチラは霊廟へと逃げるように叫びます。
が、ハパチラはその命令を無視すると、蠍の神の元へバジリスクを突撃させて行ったのでした。
オケチラ神がバジリスクと蠍の神との間に飛びこんだ。
胸が痛みに詰まった。ハパチラは見上げ、そして恐怖に叫んだ。すぐ頭上で、蠍の神の針がオケチラ神の腹部に打ち込まれていた。
ハパチラの悲鳴と同時に、聞き慣れない悲嘆の叫び声が耳に届いた。中庭の向こう側にギデオンが、苦悶そのものの表情を浮かべていた。
蠍の神が足を向け、彼女とバジリスクは恐怖に凍り付いた。だがそれは空を見上げ、何かを探し、足元の定命を無視してナクタムンの街路を進んでいった。
街路は無人となり、ハパチラの目の前では二柱の神が斃れていた。
この日初めて、彼女は憚ることなく涙を流した。
ハパチラが悲嘆に暮れる中、ギデオンは斃れたオケチラ神の元で立ち尽くしていたのでした。
ハパチラはサムトやデジェルにうなずくと、軽蔑の目でギデオンへと言い放ちます。
「この地獄を引き起こしたのはお前達と同じ余所者、そうなのだな?」
ギデオンは何かの言葉を懸命にこらえ、頷いた。
ハパチラは睨みつけ、毒の滴る声で言った。
「ならばそれはお前たちが殺すのが道理だ。仕事を終わらせて出て行け」
毒使いは背を向け、神々の体液を避けつつサムトとデジェルへ近づいた。
決意の眼差しで彼女は二人を見つめた。
「バントゥ様とハゾレト様を見つけねば、そして何としても生き延びて頂かねばならない。私達に残されたのは二柱だけだ」
今回はここまで
つらっ…!
えっ…つらっ…!!!( ;∀;)
いや別にボーラスも確かに余所者だけど、ギデオン関係ないし。
プレインズウォーカー同士だけど、一括りににせんといてほしいし。
なにより、ギデオン自身がオケチラに心酔してたってのも辛さをより助長させますね。
アモンケットの神の戦いは、古式ゆかしき「やったか!?→やってない」スタイルになるのがちょっとオモシロイところ。
隠された三柱強すぎやしませんか。
なんでこいつらも灯争大戦で登場しなかったんですかね(いや次元を渡れないのか…)
さて、五柱のうち三柱が斃れ、アモンケットが大混乱に陥る中、ついに次回ボーラスがこの地に降り立ちます!
お楽しみに!
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