【カルドハイム】第2回 怪物狩りのケイヤ【ストーリー】
はじめに
前回、ティボルトの英雄譚により、物語の幕開けを迎えたカルドハイム。
今回からは正義の物語編です!
カルドハイムに存在する巨悪を打ち倒すべく、彼女が立ち上がります…!
↓ストーリーのまとめはこちら↓
怪物に襲われた村
カルドハイム、セヴァルクの村。
村人とは明らかに異なる雰囲気を纏う一団が、村の人へと聞き込みを行っていたのでした。
一人は、盲目ながら確かな足取りで進む女性。
一人は、肩に鴉を止めた老人。
そして、カルドハイムでは見ない服装を纏う、浅黒い肌の女性。
盲目の女性ールーン目のインガは、村人たちへと問うていたのでした。
この村を襲っている、失踪事件の状況を。
死体も残らないという、謎の事件を。
親類がそれに巻き込まれたという者たちに話を聞くうちに、彼らの中に「怪物」見たという者が現われたのでした。
インガは、驚いたとしてもそれを表には出さなかった。鴉を連れた老人へと彼女は合図した。
「アーシ、一時間以内に出発できる戦団を準備しなさい。我々が戻るまで、船には必要最小限の乗員を。動ける者は全て、アルダガルドの森へ向かいます」
指示を受けた老人ーアーシは、インガの指示に深くうなずきつつ、もう一人の方へと目を配ります。
「その、長の……客人殿は? あの女性も同行するのですか?」
(中略)
「ケイヤ殿ですか? そもそも、全てはあの方の発案なのですよ」
言葉をかけられた女性。
一人、明らかに服装の異なる人間ーケイヤは、村人からの奇異な視線を受け止めていたのでした。
次元を襲う怪物
プレインズウォーカー・ケイヤがこの次元に訪れて初めてあった人物こそ、このルーン目のインガたちであり、彼女らへと怪物退治の依頼を提案したのも彼女でした。
戦団を組んだ彼女たちに、老人アーシの放った鴉が帰ってきます。
ケイヤの聞こえない声で鴉からの耳打ちを受けたアーシは、「行くべき場所が見つかった」と言うのでした。
彼の案内でたどり着いたのは、いかにも怪物の棲処といえる洞窟。
鉱山でもないにも関わらず金属鉱脈の蔓延る洞窟を進んでいくと、彼らは熊を捕食し、あろうことかその肉と融合する怪物と出会ったのでした。
十二フィートに至る巨体、生々しい肉色と、まだらの毛皮。
そしてなにより、その鋭い爪と角は、骨の色でありながら金属のように光っていたのでした。
光におびき寄せられ襲い来る怪物は、戦団の男へとその腕を伸ばします。
悲鳴とともに捕らえられた男は、怪物の身体へと取り込まれていったのでした。
ケイヤは幽体の力で、インガは束縛の呪文で怪物へと抵抗しますが、その乱暴な猛攻に、徐々に追い詰められて行きます。
そして、その怪物がケイヤの息の根を止めようと歩み寄ったとき。
「そこまでだ!」
轟く声が洞窟の壁にこだました。
(中略)
今の声は……。彼女は考えつつ、吼える怪物の脇へと転がりこむと体勢を立て直した。聞き覚えのある声、けれど……
そしてようやく彼女は、今や洞窟を満たしている虹色の輝きに気付いた。領界路探したちを振り返ると、アーシの姿があった。
違う、アーシではない。正確には違う。フードは脱がれ、その両目から迸る不思議な光は洞窟の壁を照らし、緑と青と紫の揺らめく模様を成していた。
つまりこの男は、ただの素敵な老人ではない。それとも、老人ですらない。
神の叱責
“超人めいた”雰囲気を纏う「かつてアーシと名乗っていた老人」は、怪物へと一喝を飛ばします。
「これほどの不浄が領界を汚そうなどとは! イマースタームの悪魔どもですら、ここまで堕落してはおらぬ」
その声にひとたびは足を止めつつも、なおも襲い来る怪物。
ケイヤが手負いのそれにとどめを刺そうとした時、怪物は戦団の誰に向かうでもなく、壁へと激突していったのでした。
そして、そこに這う金属の源へと飛び込むと、まるで液体のようにゆらめく壁と溶けあい…。
その怪物は静かに姿を消したのでした。
先ほどとは真逆の静寂を、インガの声が破ります。
「アールンド様」 インガは囁き声を発した。
「む……無論、英雄譚は耳にしておりました。ですがまさか……」
「いかにも、ルーン目のインガよ。時に定命に扮して旅するというのは神にとって好都合なのだよ。詮索されることなくカルドハイムを詮索するために」
アーシの声は深く、自然のものではない響きで重なり合っていた。
「そしてはなはだ懸念すべき事態である。領界の至る所に――」
「あなたが逃がしたんでしょ!」
ダガーを鞘に鋭く押し込みながら、ケイヤが言い放った。
先ほどの怪物の見た目とふるまいから、”次元由来でないもの”の気配を感じつつ、ケイヤはアールンドを糾弾します。
解き放ってはいけない怪物を逃がしたのだと。
それを追跡するために、その手段を提供する「貸し」があると。
不遜な物言いに驚きつつ、アールンドはコシマの長艇を用意すると約束したのでした。
アールンドは自らが作り出した出口へ向かい、だがふと足を止めた。
「ルーン目のインガ、彼方の旅人ケイヤよ。あの生物の到来は前兆かもしれぬ――なにか恐ろしいものの到来のな。我があらゆる占いが、カルドハイムの至る所での死と破壊を示しておる。ドゥームスカールが近づいておるのかもしれぬ――それも、人の記憶にかつて記されたことのないような」
領界路探したちを静寂が支配した。後手に回った、ケイヤがそう感じたのは初めてではなかった。
「ドゥームスカール。いい響きじゃないわね」
「領界同士の衝突です」とインガ。
「そしてそれに伴い、必然的に争いと混沌が訪れます。大いなる苦しみの時が」
完璧ね、ケイヤは苦々しく思った。
今回はここまで
怪物…。
生物を浸食する…金属…。
液体のような…金属…。
うっ…頭が…ッ!!
と、いうわけで。
カードの発表と同時に、我々にはある程度の「ネタバレ」がもたらされているわけですが。
ケイヤがカルドハイムを訪れた理由も明確には語られていませんが、当面はこの「カルドハイムらしくない」怪物を追うこととなります。
問題を起こした犯人の裏にも、まだ黒幕がいそうな雰囲気…!
ぜひ次回以降もお楽しみに!
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