【タルキール覇王譚】第6回 ソリンの探訪_歴史改変前【ストーリー】
はじめに
前回までで、タルキールにおけるサルカンの物語をご紹介しました。
しかし!この次元を訪れていたのは、サルカンだけではありません。
ある者もまた、ここタルキールで尋ね人を探していたのでした。
その者の名は、ソリン・マルコフ。
彼のタルキールにおける物語を、歴史改変前後で少しずつご紹介します。
↓ストーリーのまとめはこちら↓
タルキールのソリン
タルキール次元。
初めて訪れるその次元は、ぎらつく太陽が肌を焼き。
吸血鬼たるソリンはすぐに日陰へと身を隠します。
彼の目的は、この次元を故郷とする精霊龍、ウギン。
かつてその精霊龍、石術師ナヒリ、そしてソリンは、協同してゼンディカーにエルドラージを封印しました。
しかし、その封印は何者かによって解かれ。
そして、その非常事態にも関わらず、ウギンはゼンディカーを訪れることはなかったのです。
その奇妙な事実に、胸騒ぎを感じながらも、彼はこのタルキールの地を歩き始めたのでした。
山岳地帯の獣道を歩いていると、幾人かの戦士がその道を塞ぎます。
ソリンのことを指さし、”スゥルタイ”や”ラクシャーサの魔術”といった言葉を語る者たち。
彼らの挑発を機に、ソリンは呪文で彼らを一瞬にして干からびさせると、吸血鬼となったそれらは彼らの団長を襲ったのでした。
そして、その団長を眷属へと沈めると、頭を抱き囁きます。
「私に仕えよ」 ソリンは彼の耳元へと囁いた。
彼に必要なのは、ウギンへと導く案内役。
その名を聞いた時、戦士はおびえたように見えたものの、ソリンに精神を突き動かされ、口を開きます。
「精霊龍の領域です。ここから長い道程ではありませんが、危険です」
ソリンは手を差し出した。「案内しろ」
死した精霊龍
ソリンは案内人となった下僕と道中静かに進みながら、血ではなく情報を聞き出していたのでした。
案内人は語ります。
タルキールの龍たちは狩られ、それらが生まれていた「龍の嵐」も終わったのだと。
「龍の嵐は祝福の時代だったと長老たちは言います。私達は龍の記憶を崇めています。その獰猛の精神こそ、ティムールの生きる道です。とはいえ龍たちは強欲となり堕落したと言う者もおります。そのため精霊龍は私たちにそれらと戦う魔術を下さったと。今、龍は全て死に絶えました。それゆえ私達は互いに争うのです」
数日が過ぎ。
精霊龍が眠っている、と案内人が指さした先。
ソリンが見たのは、骨。
何百ヤードにも渡って横たわる、龍の白骨。
「馬鹿な」
ソリンは呟き、呆然としながら峡谷の端へと進んだ。ソリンは意識を伸ばし、遥か下に生命が存在しないことを察知した。彼は冷たい岩に拳を叩きつけた。
「巫女め! 嘘つきの酔狂が! あれがウギンであるものか!」
自分の目で確かめるべく、ソリンは崖を下り始めます。
溝の底で彼が見たのは、見間違えようのないウギンの頭蓋。
そして、彼を虚ろに見上げる、死した精霊龍の眼。
ウギンの魂までは破壊されていない。何か蘇らせる方法さえあれば。
そんなソリンの希望は、風前の灯がごとく消え去ったのでした。
「龍よ。お前よりも私の方が生きているとは」
(中略)
ウギンは死んだ。そして彼とともに無数の世界の希望もまた。
ソリンは肋骨のアーチの下を歩き、戦士が待っている場所へと戻った。ゼンディカーは間違いなく破壊されただろう。そして次の世界はどれだ? イニストラードか? 今であろうと千年後であろうと、彼の世界もまた貪り尽くされるのは時間の問題に過ぎなかった。その考えはソリンを怒り狂わせ、また同時に無力にさせた。
「私達は皆、破滅だ」 ソリンは戦士と、風に向かって言った。
今回はここまで
時系列的には以下かと思われます。
・ゼンディカーでのエルドラージ解放が起こり
・ナヒリがウギンとソリンに助けを求めるも応じられず
・不満に思ったナヒリがソリンを訪れ、ソリンは彼女を獄庫へと封印する。
・ソリンはウギンの不在を怪訝に思い、タルキールを訪れる←イマココ
・獄庫が破壊され、ナヒリがエルドラージに破壊された故郷ゼンディカーを目撃する。
・ナヒリがイニストラードにエムラクールを招来する。
封印した本人だからこそ分かる、エルドラージの脅威。
そして彼はその事実を目の前に、この世界の破滅を悟ります。
…というのが、ウギン不在の歴史改変前の物語。
さて、次回は歴史改変後、同じようにタルキールを訪れたソリンのお話をご紹介します。
お楽しみに!
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