【ゼンディカーの夜明け】第1回 ナヒリとニッサ【ストーリー】
はじめに
灯争大戦終了後、初めてゲートウォッチの面々にスポットの当たった「ゼンディカーの夜明け」のストーリー。
エルドラージに侵略されたあとのゼンディカーを舞台に、その次元を故郷とする二人のプレインズウォーカーが争いを繰り広げます。
果たして、真の「ゼンディカーの守護者」となるのは誰なのか…!?
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ゼンディカーの守護者
ゼンディカーを故郷に持つプレインズウォーカー、ナヒリ。
彼女の眼前にあったのは、都市の残骸。
スカイクレイブ。それは、何世紀も前、まだゼンディカーにエルドラージがいなかった時代にコーの築いた巨大都市。
今や残骸となったそれは、エルドラージの戦い後に突如として現われ、いま彼女の前で上昇し、浮遊していたのでした。
その内に、秘密を隠して。
ナヒリは微笑んだ。その秘密があれば、世界を変えることができる。
「私は覚えているわよ」 目の前に浮遊するスカイクレイブへと、彼女は語りかけた。
「その力も全部ね」
そして、彼女に呼ばれて現われたのは、同じくゼンディカー出身のエルフ、ニッサ。
エルドラージによって故郷を荒らされたナヒリはニッサとともに、その傷を悼みながらも、スカイクレイブを見上げます。
ここに、その解決策があるかもしれないと。
ナヒリは石術で、ニッサは植物でその空中要塞へと辿り着くと、探索を始めたのでした。
その「秘密」は、どんな姿をしているかもわからないもの。
あてどなく探し続けるナヒリに対し、ニッサは近くの植物からエレメンタルを呼びだします。
「それ、何?」 一歩後ずさりながら、ナヒリは尋ねた。
「友達」 エレメンタルは膝をつき、ニッサと目を合わせられる高さになった。
(中略)
「私たち、スカイクレイブの中心を見つけたいの。手伝ってくれる?」
エレメンタルの導きで、やがて二人はスカイクレイブの中心へと辿り着きます。
部屋を覆うルーン、中心に位置する高座、そしてなにより、そこで輝く一枚のタイル。
ナヒリはルーンを読み解きながら解説しました。
今探しているのは、”石成の核”と言われる宝珠。
そして、このタイルはその鍵であると。
と、その時、二人が感じたのは、足元で乱動が起こる気配。
それに苛立ちを覚えるナヒリがルーンから核の力を引き出し、それを大地に解き放つと。
その乱動は小刻みに震えて完全に停止したのでした。
「ゼンディカーを癒す力を手に入れた」
その実感に打ち震えるナヒリ。
しかし、ニッサはそうではなかったのです。
彼女が感じたのは、ねじ切れるようなエレメンタルの苦痛。
見たのは、悲鳴を上げるよりも早く消えゆく精霊の姿。
「何をしたの?」 ニッサはナヒリへと叫んだ。
「え?」 ナヒリは聞き返し、振り返った。彼女は胸に鍵を抱き、笑みを浮かべていた。まるでたった今一つの戦いに勝利したかのように。
「乱動を止めたんだけど」
「あなたがエレメンタルを殺した!」
(中略)
「見なさい――このスカイクレイブは治りつつある。下の乱動は止まって、大地は落ち着いた。これで皆、ここを再建できるのよ!」
ナヒリは修復したスカイクレイブを示しながら言った。
「ゼンディカーの生命を費やして」 ニッサは言い返した。
ナヒリの思い描く、人々と都市の輝く故郷、ゼンディカー。
ニッサの思い描く、緑に溢れそれらとの会話ができた故郷、ゼンディカー。
思いを別にした二人は対立し、それらは石と植物のぶつかりあいを招いたのでした。
「この次元が壊れゆくのを見過ごすなんてできないのよ!」 ナヒリが叫んだ。
「私はゼンディカーの守護者なんだから!」
ニッサは相手を見て、この時代遅れの無謀な人物が故郷を癒してくれるなどと願った自分の愚かさを実感した。
「それは私も同じ」
協力者を求めて
ニッサはゼンディカーからプレインズウォークします。
この現状を助けてくれる人を探して。
都市次元、ラヴニカ。そのジェイスの自宅。
「ニッサ!」 訪れてきたのが彼女だとようやくわかり、ジェイスは声を上げた。
「どうして。いや、来ることはないと思っていたから。その、どうして」
そしてジェイスは言葉を切り、梯子を滑り降りて向かってきた。
「いや、元気なようで良かったって意味だ」
彼は手を伸ばしたが、直前でニッサは触れられるのを好まないと思い出した。彼は手を引っ込め、代わりに温かい笑みを向けた。
ニッサは、ゼンディカーでの出来事を話します。
ナヒリの語っていた石成の核のこと。
それが、ゼンディカーのエレメンタルへ及ぼした影響。
ナヒリが核を見つけたら、それを壊すように説得すべきだということ。
やり方を見失うニッサに、ジェイスは助言しますが、それは彼女にとっては的外れなものばかりなのでした。
すぐに彼女は怒りと焦りを感じます。
このままでは、帰るべき場所を二つとも失ってしまう。
ゼンディカーのエレメンタルも、かつてのゲートウォッチも。
「どっちも私の家族なの。それを失うわけにはいかない」
ニッサの感情は決意以上の何かに変わっていった。
「私は故郷を守る。ゲートウォッチがいてもいなくても」
「待っ――」
ジェイスはそう言いかけたが、ニッサは待たなかった。待つのはもう十分だった。一息で、身振りひとつで、思考ひとつでニッサはゼンディカーへと舞い戻った。
自分がいるべき唯一の場所へ。
書斎に残されたジェイス。
彼もまた、大戦の傷跡に苛まれる一人だったのでした。
ウギンが自分だけに告げた事実。
巨悪ニコル・ボーラスはまだ死んでいないという事実。
それを隠しながら過ごす日々そのものが、友人への裏切りにも思える真実。
けれど償うことはできる。償うべきなのだ。
彼は例の核についてニッサが言っていた内容を考え、乱動に繋がっているのではと訝しんだ。もしそうなら、ナヒリはその力で何をする? ゲートウォッチに何ができる?
大事になる。ジェイスはそれを実感した。
そのため、彼は計画を練った――すぐにゼンディカーに降り立つと確信しながら。
今回はここまで
ゼンディカーの夜明けの裏テーマは「灯争大戦の傷跡」なんじゃないかと思うくらいに、ゲートウォッチ(今回はニッサとジェイス)の苦しい心が反映されたストーリーになっています。
公式ストーリーでは、ニッサは"何回言うねん!"と思うくらいに「ギデオンならば」という言葉を出します。
ジェイスも彼女のその言葉に同意しつつ、彼は彼で秘密を一人で抱えており…と。
なかなかに薄暗い物語ですが、理想のゼンディカーを違えた二人の守護者の戦いはいかに…!?
というわけで、次回もお楽しみに!
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