【ドミナリア】第2回 リリアナ・ヴェス vs ジョス・ヴェス【ストーリー】
はじめに
前回、ドミナリアへと逃亡してきたジェイスを除くゲートウォッチたちは、組織壊滅の危機を迎えたのでした。
一つの次元の破滅を目の当たりにし絶望したニッサは、ゲートウォッチからの離反を宣言。
チャンドラは、絶対に戻って来ると約束をしつつ、どこかの次元へとプレインズウォークしてしまったのです。
そして、残されたリリアナは、自身の兄ジョスが率いている陰謀団の一味を討滅するべく、ギデオンとともに戦うことを決めていたのでした。
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ギデオンの戦術
ギデオンの案内のままに辿り着いた場所は、一人の天使のもと。
レイルという名のその天使は、数日前の陰謀団との衝突の際に、ベナリア軍を率いていたのだと彼は説明します。
悪の集団に敗北を喫し、苛立ちを隠せない天使に、ギデオンは提案します。
自分と、ここにいる屍術師ならば、この地を統べるジョスにも打ち勝つことができると。
レイルは敵の指揮官の名前を知っていることに驚きつつ、彼らへの協力を約束したのでした。
翌朝、ヴェス邸近くの高台。
レイルが報告に、リリアナが解説をいれつつ作戦を整理します。
敵戦力は不浄のシェイド、もしくは死の魔術を操る皮魔女。
ベナリア軍の未熟な魔術師コリンの力を借り、ギデオンは幻影によって皮魔女の姿を取り、陰謀団の軍へと潜入したのでした。
敵の目を欺きつつ、ギデオンはシェイドへと奇襲をかけます。
不意の攻撃に怒るシェイドを横目に、彼は踵を返して逃げ出したのでした。
これもリリアナが語った作戦だった。
『シェイドを罠にはめる方法はこうよ。あいつらはいつも飢えている上に粥みたいな脳みそだから。十分に怒らせれば、あなたを追い続ける。どんな命令も無視してね』
シェイドを引きつけつつ、皮魔女を殲滅していくギデオン。
集団になっていた最後の皮魔女を斃した時。
ギデオンは、自分の幻影が消え去ったことを感じたのでした。
振り向き、彼はシェイドに対峙した。コリンが死んでいないことを願った。このように呪文が解けるのは、あの若き魔道士が無能な証拠であって欲しかった。
シェイドはギデオンを不可解に見つめ、そして吼えた。
完璧に計画通りではなかったが、重要な点はシェイドを混乱させてベナリア軍から遠ざけることだった。それを続けない理由はなかった。
彼はまごつくシェイドへと咆哮を返し、突撃した。
兄との決闘
一方、ヴェス邸の近く。リリアナは遠くでの戦いの声と、ギデオンの咆哮を聞いたのでした。
同時に迫りくる、兄の気配。
彼女は風に乗せ、兄へと語り掛けます。
その精神的接続に、怒りを滲ませた兄からの返答が届きました。
時を同じくして、林の影から現われる、かつてとは似ても似つかない兄の姿。
『お前なのか、リリアナ』
『お兄様、もっと昔の面影を留めていて欲しかった。お兄様の主が変えてしまったのね』
『私を変えたのはお前だ』
その声色に込められた怒りと強情は、むしろ本来の兄そのもののように聞こえた。とはいえ彼女が覚えているジョスは、決して本気で自分に怒ったことなどなかった。
『お前が私をこんな姿にした』
階段を駆け下りるリリアナ。追うジョス。やがて始まる戦闘。
しかし、その戦いは、リリアナがヴェールの力を引き出した瞬間に決着したのでした。
あっという間に奪われた体力と、よろめく視界に映った崩れゆく兄の姿。
膝をつきそうになりながらも、リリアナは思ったのです。
やっと終わった。
苦しくも生かされていた兄の魂も。ヴェス邸にかけられていた呪いも。
しかし、兄はあざ笑うかのようにそれを否定したのでした。
「リリアナ、終わりはしないんだ。お前が生きている限りは」
その声に込められた荒々しい憎悪に、彼女は驚愕した。
「どういう意味です?」
唇の残骸が嘲笑う形に歪められた。
「リリアナ、お前がヴェス家を破滅させた」
兄は説明します。
リリアナがいない間に起こった出来事を。
自分を止めようとした父を、その手で殺したこと。
母は、リリアナを探しに行く旅の中で死んだこと。
姉妹も従兄弟らも、その重荷を背負って全員が死んだこと。
「お前が殺した。私を、皆を。リリアナ、お前なんだ。これからもずっと。お前が、ヴェス家の呪いだ」
まもなく消え去る兄の身体。
リリアナは、その言葉の重みによろめきます。
あれは事故だった。そう自分に言い聞かせても、家族全てを失くした結果は変わらないのでした。
ギデオンが近づいてきた。驚きを隠せない表情でその男は言った。
「リリアナ、済まない――」
目眩とともにリリアナは知った。聞いていた。この男は全部聞いていたのだ。
だが彼女は顎を引きしめ、矜持を保った。支えようとギデオンが腕を伸ばしてきたが、彼女はそれを拒んで一歩引き下がり、無理にでも背筋を伸ばした。弱気になるわけにはいかなかった。
再会のために
それから数日の後。
ギデオン、リリアナ、そしてレイルの騎士たち数人は、ベナリア市へと向かっていたのでした。
セラの天使軍の司令官ライラの許可を得てベナリアへと入ったギデオンは、レイルの副官ティアゴに、どこか高いところへ案内してもらうよう要請します。
副官は天使とエイヴンにとっての着地地点にもなっていた信号塔の許可を取り、彼らを案内しました。
ギデオンが礼を告げると彼は言った。
「とんでもありません、カリゴでのお返しにはとても足りないほどです。ギデオンさん、リリアナさん、どうかお元気で」
ギデオンはリリアナを一瞥し、ティアゴの言葉をどう受け取ったかを見ようとした。だが彼女は既に背を向けていた。そして昇降段近くの石のベンチに腰を下ろした。
ここまでの旅の間、ギデオンは彼女をずっと心配していた。兄の件についてはあれ以来一言もなく、そしてジョスの最期の言葉を自分が聞いてしまったことを彼女が気付いているか否かもわからなかった。
ギデオンの隣へと腰かけるリリアナ。
彼女は、ここへ来た理由を思い出しながら、口を開きます。
高い場所にいることを指定したアジャニのことを。
その理由も不明瞭さに、少しの不満を滲ませながら。
待ち時間は長く、リリアナは眠気を催していた。やがてギデオンは空から小さな金色の何かが飛来するのを見て、伝令だと察し立ち上がった。それが胸壁に着地すると、小さな機械の梟だとわかった。
「随分複雑な魔法と技術ね」 リリアナは欠伸とともにそう言い、立ち上がった。
「つまり、あれもか」
ギデオンの言葉に、巨大な飛翔艦が二人へ向かって降下してきた。
今回はここまで
なんやかんや、ギデオンとリリアナもいい組み合わせなんですよねぇ…!
ベナリア市に入る前、彼らはライラによる検閲を受けるのですが、屍術士の入場を断るライラと、例によって天使大嫌いなリリアナは、ここで反駁しまくります。
そのシーンを、ギデオンの弁明のセリフから。
「その『屍術師』は悪魔殺しです。彼女は既に三体の悪魔を殺害し、カリゴにおける陰謀団を討伐する力となりました。そして私達はベルゼンロックを倒すためにここへ来たのです」
憤激とともにリリアナは声を上げた。
「どうして誰もかもに計画を喋るの? もう少し小さな声で叫んで頂けないかしら? あなたの声を聞いた陰謀団員がそのあたりにいないとも限らないのよ」
ギデオンは歯を食いしばった。
「全員に喋ってなどいない。この方はセラ教会の司令官だ」 彼は力強い意思ともに言った。
「君の契約相手にも翼はあっただろう」
「あら、下手な当てこすりはおやめなさい。それに、だからといってその天使様が信頼できる理由にはならないわ。そんなに単純で、どうやって今まで生き延びて来られたのかしら?」
そして、ライラの感想。
彼女はティアゴへと尋ねた。
「カリゴからずっと、この調子で来たのですか?」
ティアゴは溜息をついた。
「そうです、司令官殿。毎回です」
まぁ喧嘩するほどなんとやら…笑
このどうにも折り合いのあわない感じが、彼らの組み合わせのイイトコロだと思います。
執筆時点では、ストリクスヘイヴンがプレビューをしているくらいの時期ですが、灯争大戦以降、ギデオンロスを引きずっているらしきリリアナ。
この後どうなる…!
さて、巨大飛翔艦の登場までを語ったところで。
今度は、この巨大飛翔艦についての物語のご紹介に移りたいと思います!
次回もお楽しみに!
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