【ドミナリア】第3回 ウェザーライトの艦長、ジョイラ【ストーリー】
はじめに
前回までで、リリアナとギデオンのドミナリアでの活躍をご紹介しました。
そして、この物語において、主人公となるのがもう一人!
過去から連綿と続くドミナリアのストーリーを回収するように、それらの英雄たちが集うもう一つの物語をご紹介します。
↓ストーリーのまとめはこちら↓
ウェザーライトの艦長、ジョイラ
ドミナリア次元。
ボガーダンの入り江にいたのは、一人の女性と、残骸と化した機械。
女性の名はジョイラ。
そして、機械の名は、ウェザーライト号。
アーボーグの海底にて、トレイリアの工匠ハディとともに、かつてのレガシー計画に用いられた兵器でもあるウェザーライト号の残骸をすくい上げたジョイラは、それらの修復とともに、乗組員を探すことに腐心していたのでした。
最初に彼女に協力してくれたのは、セラ協会から送り込まれた天使、ティアナ。
温かい光と笑顔の裏に、どこか悲しげな過去を思わせる彼女とともに、ジョイラは引き揚げたばかりの飛翔艦の核となるパワーストーンを確認しに行きます。
崩壊したセラの聖域が閉じ込められたその石は、ティアナの祈祷によって、その命を吹き返したのでした。
本人ですら、驚きに目を見開く結果。
天使らしい自信がどこか欠けているティアナに、ジョイラは協力を申し出たのです。
ティアナは少し肩をすくめ、砂の塊を蹴り上げた。
「そうですね、何かできるとは思えません。けれど手助けはできるかもしれません。何処かへ使いに行くとかですか?」
「いいえ、私が乗組員を集めに行っている間、復元を監督して皆を守って欲しいんです」
ティアナは無言になり、ジョイラは微笑んだ。「いかがですか?」
ティアナはエンジンへと顔を向けた。技術者らが既に復元計画を話し合っていた。ティアナにはウェザーライト号との親和性がある、それは想定外だった。かすれたような声でティアナは尋ねた。
「どうして私が?」
「素質があるからです。私は見ました。それにあなたは天使ですから、信頼できるってわかります」
ジョイラは目を合わせた。
「どうお考えですか?」
ティアナはゆっくりと息を吐き出した。
「ええ、できると思います」
乗組員を探して
次にジョイラが向かったのは、ジャムーラ沿岸、スークアタの都市。
そこで、彼女は目的の人物と邂逅したのでした。
その女性がいたのは、陰謀団による強盗騒ぎの真っ只中。
陰謀団員に取り囲まれる中、剣を振って敵を薙ぎ払い。
司祭の放つ死の呪文をその身体で無効化する女性。
その名をシャナ・シッセイ。かつてのウェザーライトの艦長、シッセイの末裔の女性。
騒ぎの収束後、ジョイラはシャナへと近づきます。
「貴女には魔法が通用しないんですね。司祭の狂気の魔術が効いていませんでした」
シャナは肩をすくめ、思慮深く彼女を見つめた。
「そういう血筋なんで」
「わかります。貴女の先人、シッセイ艦長を知っています。その剣をお持ちですね」
シャナは黙り、ジョイラを見つめた。入口とバルコニーから衛兵と見物人が集まり、だがその騒音は不意に消え去った。この瞬間、ここにいるのは彼女とジョイラだけだった。この時代の真の歴史として記されるべき対面。シャナはそっと尋ねた。
「あなたは?」
彼女は微笑んだ。
「ジョイラといいます。貴女を探して来ました」
続いてジョイラが向かったのはベナリア市。
ここには、かつてウェザーライトともに世界を巡ったジェラード・キャパシェンの末裔、ダニサ・キャパシェンが騎士としていたのでした。
最も高名な船長の末裔。ジョイラはダニサも仲間に加わってくれることを期待していたのです。
だがダニサの回答は短くも決定的だった。
「できません」
(中略)
「私はベナリアの騎士です。この地を守ると誓いました」
(中略)
「陰謀団は至る所で郊外の街や村を襲っています。もし同行すれば、世界の裏側で陰謀団と戦うことになるでしょう。私はここで、故郷のために戦いたいのです」
「わかりました」
ジョイラは椅子に背を預け、諦めに息をついた。議論の余地はなかった。
その期待の大きさゆえに、失望に暮れるジョイラ。
そこへ、一人の若者が駆けてきたのでした。
彼は息を切らして言った。
「僕じゃ駄目ですか?」
青年の名は、ラフ・キャパシェン。
ダニサ・キャパシェンの弟だと名乗ります。
魔術師だと語るラフの、その若さと危うさに、ジョイラはその承諾を渋ります。
しかし、ラフは驚くほどの熱意で、ジョイラへと嘆願したのでした。
彼女はシャナと目を合わせつつ、この危険な旅路に彼を連れだってよいものか迷います。
だが乗組員にキャパシェンの一員を加えるのは正しいように思えた。必要に思えた。
「陰謀団がいる限り安全な所なんてない。ここで彼らと戦って死ぬことだってありうるのだし」
「その通り」 シャナは少しだけ肩をすくめた。
「あの子が使えるって思うなら、喜んで一緒に働きますよ」
ジョイラは頷き、ラフへと向き直った。
「一緒に来たいなら、急いで荷物をまとめなさい。長い旅路になるんだから」
吸血鬼になった男
ところ変わって、ウェザーライトのティアナのもと。
彼女は見張りの者を増やしつつ、ウェザーライトの護衛に努めていたのでした。
そんな天使の元へ、怪しい人影があるとの報告が上がります。
護衛とともにその場へ向かったティアナが見たのは、ベナリア騎士の装いの吸血鬼。
天使を目にしたその男は、吸血鬼らしからぬ態度で、深々と頭を下げたのでした。
「セラに誓って、私は害を成すためにここを訪れたのではありません」
「違うと?」 ティアナは好奇心とともに尋ねた。
「あなたは吸血鬼、ですから、お判りかと思いますが、いずれ人々に害を成すことを考えるものでしょう」
男はかぶりを振った。その姿は疲労しているように見えた。
「いいえ。私は自ら選んでこの姿になったのではありません。全力を持って自らと戦っております」
「何者ですか?」
ティアナは尋ねた。何者だったのですか、が正確な問いかけだったかもしれない。だがそうするのは無礼か侮辱のようにも思えた。
「ベナリアの騎士、アルヴァードと申します。捕えられ、吸血鬼へと変質させられました」 その声は落ち着いており、だがその中には僅かな諦めがあった。
「誰にも危害を加えぬよう試みてきました。そして大体は成功してきました」
元ベナリア騎士であったというアルヴァードは、ここへ現われた経緯を語ります。
陰謀団以外の者を襲わないようにしていること。
吸血鬼特有の衝動が、二か月ほど前から収まっていること。
そして、この地に近づくにつれ、その傾向が強くなっていること。
ティアナは、それがパワーストーンの再誕の時期と同じであることに気づき、彼をそこまで案内します。
見張りが完全武装で待機する中、その石の元へと身を寄せたアルヴァード。
彼はパワーストーンの近くで、明らかに吸血鬼の特徴を失っていったのでした。
ティアナは自身の仮説が正しかったことを確信しつつ、彼の処遇をハディたちへと委ねます。
皆が話し合う間、ティアナは腕を組んでアルヴァードを見つめていた。手すりに身体を預けるその姿に、彼女は思いを巡らせた。
成長して騎士となり、ベナリアを危険から守ると誓い、増大する陰謀団の勢力と戦い、だがその果てに捕えられ、人の血を飲む衝動を持つ怪物へと変質させられた……それはどのような気分なのだろうかと。
(中略)
やがて全員が話を終え、ハディが決定を告げにやって来た。彼は喜んではいないようだったが、口を開いた。
「彼の言葉が本当かどうかはわかりませんし、信頼する理由もありません。けれど皆、私も含めてですが、パワーストーンに身をさらし続けることが治癒になるのでしたら、人としてそれは断れません。妥協案として、宿営の中でなければここに留まっても構いません。そしてティアナさんには彼をしっかりと監視して頂きたい」
ティアナは頷き、アルヴァードへとそれを伝えに向かった。
直ちに去るよう言われなかったことに彼は驚いたようだった。
「とても有り難い事です。了解致しました」
今回はここまで
2000年以前に発売した、ジェラード・キャパシェンによるウェザーライトの物語から20年。
ジョイラを筆頭に、当時のウェザーライトクルーの子孫による新しい飛翔艦の物語が始まる…!
と、いうことで、当時からストーリーを追っていた方々にとっては激アツな展開必至だと思われるドミナリアの物語。
以降は、ゲートウォッチたちの物語と並行して、過去のドミナリアの伝説たちの結集する物語も流れていきます。
ぜひ、過去のドミナリアの物語も追っていただければ、より楽しめると思いますよ!
というわけで、次回もお楽しみに!
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