【イニストラード:真夜中の狩り】第3回 狼の裏切り、人々の助け【ストーリー】
はじめに
前回、”真夜中の狩り”における主人公、アーリン・コードの過去について掘り下げました。
狼少女の過去から20年。彼女はふたたび因縁の狼男トヴォラーの咆哮を聞きます。
かつてアーリンを”狩り”へと駆り立てた男が、再び彼女へと接近するのでした…!
↓ストーリーのまとめはこちら↓
狼の誘い
トヴォラーの導いた先。
アーリンが目にしたのは、トヴォラーの群れとはまた違う、大量の狼たち。
まるで、何かに備えるかのような群狼。
トヴォラーはそれらを、”新しい家族”と紹介したのでした。
「俺たちのものを手に入れに行く」
(中略)
「俺たちはやりたいことをやる。何であろうと。お前にもそれを教えてやろうとしたのだが」
(中略)
彼女は足を踏みしめた。
「駄目。この森では長い間、人々が生きてきたの。自分たちの力で生き抜いてきた。皆、ただ恐怖せずに生きたいだけなのよ。私たちと同じように」
彼はアーリンに近づいた。その両目が燃えていた。
「お前は教会に浸かりすぎている。お前の中の狼は小さすぎる」
トヴォラーは軽蔑するように彼女を見下ろした。
トヴォラーは、アーリンを誘います。
彼女の内なる狼が求めているであろう狩りを。
アーリンはその提案を退けます。
本能では魅力的に感じるその提案を。
しかし…。
アーリンとともに過ごしていた狼たちは、彼女とは違ったのでした。
その巨躯から名付けた狼”大岩”は、人懐っこかった目を飢えへと光らせて。
足の速い”稲光”も、そのつがいの”赤牙”も、そして毎日自分を待ってくれていた”根気”すらも。
トヴォラーがにやりとした。
「お前の群れは理解しているな」
(中略)
かつて「根気」は彼女を毎日待っていた。今、居残るのはアーリンだった。
(中略)
集まった狼たちは叫び、吠え、その音ひとつひとつがアーリンの心臓を短剣のように突き刺した。
トヴォラーが頷いた。
「新たな世界を迎える気になったら、俺たちを探せ」
仲間を探して
トヴォラーは狩りを求める。
アーリンはそれを求めない。ならば、全力で皆を守らなくてはいけない。
彼女が向かったのは、”集会”を取り仕切る魔女カティルダの元。
思い出していたのは、トヴォラーと会う前に彼女がしていた話。
曰く、古の儀式”収穫祭”を執り行うことにより、昼と夜の均衡は元に戻るのだ、と。
そしてそのためには、セレスタスの中心に差し込む月銀の鍵が必要なのだと。
アーリンは魔女へと、その鍵を見つけてくると約束します。
そして、秘密裏に彼女はラヴニカへと移動したのでした。
不在のジェイスの代わりに、(伝説では聞いていた)テフェリーが彼女を出迎えます。
彼がこれほど……親しみやすい人物だとは思っていなかった。無邪気とすら言えた。
(中略)
その優しい笑みにはとても価値あるものだった――自分の年齢に近い人物とのやり取りというのもまた。
![](https://storyofmtg.com/wp-content/uploads/2021/09/テフェリーの笑顔.png)
彼女は要点のみをテフェリーへと伝えます。
夜の長くなりゆくイニストラード。
そして、狼たちの脅威について。
…と、来客を感じたもう一人の女性が、興奮とともに降りてくる音が聞こえたのでした。
チャンドラが手すりを(階段も)飛びこえ、早足でやって来た。
「アーリンさん!」
彼女は声をあげ、卓のふたりの隣に勢いよく腰かけた。
「ねえ、レシピ持ってきてくれたの――」
(中略)
だがそこで扉は再び開き、新たな顔が入ってきて彼女を見つめた。しかめた顔がすぐに続いた。
「インクで書けってある所に鉛筆を使ったのは貴女ね?」
何もかもが可笑しかった。けれどこの可笑しさは、彼女が必要とするものだった。
久しぶりの安堵。久しぶりの笑い。
彼女を頭をかすめるのは、かつての教会の友たちとの日常。
そして、アーリンは一つの事実に行きつきます。
人間も群れで動くのだ、と。
鍵の在処
テフェリー、チャンドラ、そして三人目のケイヤは、話を聞き終わるとアーリンを助けることを決めます。
再びイニストラードへと移動し、カティルダへと引き合わせるべく集会に参加した四人。
カティルダは、目的の月銀の鍵は何世紀も前に、ドーンハルトの集会から持ち出されたのだと語りました。
アーリンが思い当たるところ。教会がその鍵を奪った可能性。
向かうべきは、スレイベン。
カティルダの隣にいた聖戦士、エーデリンもその方針にうなずきます。
「ではスレイベンへ、ですね」
「その……スレイベンがどこも安全って、本当にそう思うの?」チャンドラが尋ねた。
「本当にまたあそこへ行くの? 前に行った時は大変だったし、全然安全でもなかったんだけど」
エーデリンが横目で見ると、チャンドラは素早く頷いた。
「怖がってるわけじゃないわよ」
アーリンは溜息をついた。
「言いたいことはわかります――ですが宝物庫は今も無事なはずです」
(↓「前行ったとき」のスレイベン)
しかし、アーリンのその予測は、スレイベンの惨状によって覆されます。
エーデリンを交えての一週間ほどの旅ののち。
辿り着いた地で見たのは、群れる死者。崩壊する建物。
アーリンは、それらの中に自分の知り合いと遭遇する可能性すらあり得たのでした。
「言ったよね、その鍵はスレイベンにあるなら大丈夫だって……」
他の何よりも早く、不浄なる死者の呻き声がチャンドラに応えた。
(中略)
「鍵はおそらく大丈夫だと思います」とエーデリン。
「ですが調査を終えるまでは、何とも言えません」
偵察に行ったケイヤの情報は、鍵はベツォルド家へと渡ったと思われること。
そして、その家の年老いた司教、ウォリン・ベツォルドはアーリンの見知った仲だったのでした。
チャンドラとエーデリンがゾンビたちを退ける中、彼女は教会へと突入し、無為な祈りを口にする司教へと近づきます。
しかし、今や生ける屍となった司教は、アーリンの問いかけに対し一つの言葉しか返しません。
「デニック」と。
これ以上の情報を得られないと踏んだアーリンは、ベツォルド家ガヴォニーの街を訪れ、情報収集を行います。
そして、一人の老女が、"デニック"という人物はその家族の古い館にいることを教えてくれたのでした。
同時に、「もう遅かった」とも。
「安全のため、そう言ってた。以来姿を見た者はいないよ。あの場所はひどく祟られてる」
アーリンは肩越しに振り返った。
(中略)
「ですがそんなに恐ろしいのであれば、何故そこに?」
その老女は手を叩いて土を払った。
「デニックというのはウォリンの息子なんだよ」
今回はここまで
(次回へ続く)
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