【イニストラード:真夜中の狩り】第4回 月銀の鍵【ストーリー】

2023年3月9日

はじめに

前回からの続き!

月銀の鍵を求めスレイベンへと向かったプレインズウォーカー一行は、その情報を知る司教ヴォリン・ベツォルドの死を見届けます。

彼が遺した手がかりは、息子のデニックのこと。

それらの情報を頼りに、一行はベツォルドの生家へと向かうのでした。
 

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【イニストラード:真夜中の狩り】背景ストーリーまとめ





 

目次

鍵を握る人物

老女に「祟られている」と評されたベツォルドの生家。

それはひどく荒れ果てた館。

屋敷内に蔓延る幽霊たちに、最も怖れを感じていないのがケイヤでした。

彼女は単身館へと飛び込むと、邪な霊たちを一掃し、他の4人を案内します。

そして、冗談めいたお辞儀とともに、その人物を紹介したのでした。

「デニックさんですか? アーリン・コードといいます。貴方のお父上の友人でした」

幽霊の目が大きく見開かれるというのは、何と奇妙なことか。

「父上の? 父上に言われてここに来たと?」

 

今や幽霊となったデニックに対し、アーリンは目的を告げます。

ベツォルド家へと譲り渡されたはずの月銀の鍵を探しに来たと。

しかしデニックは、ため息つくかのように返答したのでした。

もはやこの家には、その鍵はない。

彼の曾祖父の代に、その鍵は"ある吸血鬼"へと受け渡されたのだと。

チャンドラは息をのみ、指を一本立てた。

「ちょっといいかな、質問させて。どの吸血鬼?」

(中略)

考えるように、彼は首を回した。そして告げた。

「マルコフ家だ。その王子が持っている。父は私を心配してくれていただろうか?」

「最悪じゃん」

チャンドラはそう言って扉へ向かいかけたが、アーリンが背後に留まった。




吸血鬼の館

マルコフ邸。

砕けた橋を渡り、よじれた岩を越え、玉座の間。

ソリン・マルコフはその壊れた玉座に、足を組んで座っていたのでした。

古い書物を読み、突入してきた者たちへ顔を上げることもせず。

しかし、その口はハッキリと侵入者へ告げます。

ここから出ていけ、と。

テフェリーは肩をすくめた。

「月銀の鍵を探しています。夜は長くなりつつ――」

ソリンは音を立てて書物を閉じた。

「断る」

「断る、ってどういうこと?」とチャンドラ。

「私たちずっとそれを探してきたのよ。少なくとも話を聞いてくれてったいいじゃないの」

ソリンが睨みつけると、チャンドラは喋るのを止めた。

 

ソリンは静かに、しかしその全てに怒りをまといつつ、立ち上がります。

アーリンはその姿に最大限の警戒と緊張を感じつつも、ソリンのこれまでのこと、そしてイニストラードのこれからを語り説得しようとしたのでした。

しかし、その言葉がアヴァシンに言及したとき。

片手に持つソリンの剣は宙を一閃し、その瞳は憤怒へと燃え上がったのです。

そして最後の警告を言い放ったのでした。

「出ていけ」と。

「鍵を持たずには出ていけません」

断固として、アーリンは返答した。

(中略)

怒りに屈し、ソリンは次なる攻撃のために剣を振り上げた。アーリンは再び腕を構えた。

だがその必要はなかった。黄金色に輝くひとひらの羽根が二人の間に落ち、一瞬して鷺の頭部を模した鎌が続いた。

ソリンの剣はその天使の武器に跳ね返され、彼は憤怒を露わに後ずさると侵入者を睨みつけた。

 

天使たちの保護の消え失せた世界。

それは、唯一人々の祈りが届く希望。

 

大天使、シガルダ。

 

彼女は落ちぶれたソリンの姿を嘆きつつ、アーリンへと語り掛けたのでした。

アーリンの信仰が、彼女をここに呼び寄せたと。

そして探している鍵はソリンの私室にあると。

チャンドラとケイヤは二度言われるまでもなかった――ふたりは階段へと駆け出した。

「ありがとう、シガルダさん!」

豪奢なカーペットを踏みつけながら、チャンドラが叫んだ。敬意に溢れる礼をひとつ向けて、テフェリーもすぐに続いた。

 

かくしてその私室。

彫像の差し伸べる手の上に、その鍵は存在していたのです。

ソリンがその首を落としたであろう、”大天使”の彫像に。

アーリンはそれを手にすると、収穫祭に間に合うこと、そしてシガルダの無事を祈り、マルコフ邸を脱したのでした。




収穫祭の始まり

林檎のせいかもしれない。香辛料のせいかもしれない。南瓜のせいかもしれない。あるいは、何千もの人々が集まって自分たちの死に打ち勝とうとしている、その雑多な匂いのせいかもしれない。

原因はともかく、彼らが近づく匂いをアーリンは察知できなかった。

気付いた時には既に手遅れだった。

 

収穫祭のために集まりゆく人々。

そして、鍵を届けるべく奔走するアーリン達。

しかし、雑踏の向こうに、彼女は狼の群れを見たのでした。

アーリンに鍵を託されたケイヤはすぐに霧の中へと消え。

チャンドラを騎乗させたエーデリンは最前線へと飛び出し。

そしてテフェリーは勇敢なる声で宣言したのです。

「言うのが遅れたが、日没を長くさせてもらうよ」

 

彼が杖を突き立てた途端に放たれる衝撃波。

時間魔道士がもたらしてくれた、仮初めの時間。

アーリンは彼への感謝とともに察します。

日没とともに、自分たちの夢も潰える、と。

アーリンはトヴォラーの元へと駆けます。

参加者たちの悲鳴、土を濡らす血、恐怖の匂い。

その襲撃の中央に、その男は立っていたのでした。

「トヴォラー!」 アーリンは叫んだ。

「こんなことはやめて!」

彼はにやりと笑い、かぶりを振った。

「断る」

(中略)

「アーリン、もう日が沈む。加わるならまだ間に合うぞ」

トヴォラーが言った。

 

その大男は、アーリンの攻撃を受け流しつつ、彼女を群れへと誘います。

そして、あくまで人間の側につくと宣言するアーリンを、拳で制していったのでした。

そこには、トヴォラーの側に加わった、かつての自分の仲間の狼たちも。

「稲光」。「根気」。「赤牙」。「大岩」。

狼たちは揃ってアーリンを見つめていた。全員――「根気」以外が――歯をむき出しにして。

「根気」は身体をアーリンの脚にすり寄せ、ズボンを噛んで引き、顔を上げ、そして下げた。一緒に来て。狩りに行こう。

トヴォラーに真二つに裂かれる方が、痛みは少なかったかもしれない。

(中略)

彼女はふらついた。涙が目を刺した。

「できないのよ」 軋む声で、彼女はかろうじて答えた。

 

少し前までの同胞たちも自分へと牙をむく状況。

トヴォラーは彼女の髪を引っ掴むと言います。

「本当のアーリンを見せてみろ」と。

そして太陽は水平線の近くへと沈み。

昼は夜へと移ろい。

アーリン・コードもまた、その姿を移ろわせたのでした。

目の前にトヴォラーがいた。姿がどれほど変わろうとも、その両目は変わりなかった。燃え上がり。素早く、焼き印のように眩しい。彼は歯をむき出しにした。笑みだ、彼女はそう思った。

(中略)

アーリン・コードは、トヴォラーの顔からその笑みを拭い去ることだけを考えた。




今回はここまで

アヴァシンいなくなって不貞腐れ吸血鬼さんオッスオッス!!

ナヒリの件といい、ソリンさんは変に子どもっぽくてよろしくないですねぇ。

すーぐ怒っちゃうんだからもー。( ー3ー)

あと、マルコフ邸でどこまでも礼儀正しいテフェリーと、何にも気にしないがさつなチャンドラの対比すき。

 

さてはて、”真夜中の狩り”のタイトルに相応しく、狼男たちの決闘に立ち入ったストーリー。

アーリンはトヴォラーに打ち勝てるのか!?収穫祭は無事に終わるのか!?

次回、最終回もお楽しみに!

 

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*出典*

メインストーリー第3話:ベツォルド家の凋落

メインストーリー第4話:収穫祭