【イニストラード:真夜中の狩り】第2回 アーリンの過去【ストーリー】

2023年3月9日

はじめに

さて、前回緊急企画として、「イニストラード:真夜中の狩り」におけるレンのストーリーをご紹介しました。

今回から、やっとメインストーリーですよ!

“真夜中の狩り”における主人公は、パッケージイラストにもなっているアーリン・コードさんです。

今まであまり深くは語られてこなかった彼女のストーリーが、今掘り下げられる!!

まず今回は、彼女の過去についてご紹介したいと思います。

 

↓ストーリーのまとめはこちら↓

【イニストラード:真夜中の狩り】背景ストーリーまとめ




目次

狼少女の苦悩

今から20年も前のこと。

それは、若きアーリン・コードが初めて”その咆哮”を聞いた夜。

引きこもっていた自室を飛び出して、両手両足で駆け、初めて自由を感じた夜。

そして同時に、大きな苦悩を抱えることとなる夜。

初めての狩りを終えた彼女は、土と血にまみれたひどい姿で膝を抱えていたのでした。

その横に腰を下ろしたのは、子どもたちも恐れる怪物、トヴォラー。

彼は少ない口数で、何が起こったのかをアーリンへと説明します。

最初にアーリンが尋ねたのは、自分は誰かを殺したかということだった。

「昨晩は殺していない」、それが返答だった。

(中略)

やがて、彼は立ち上がった。ついて来るか、そう尋ねることもしなかった。

彼女は単純に、ついて行った。

 

トヴォラーの先導で、アーリンは森の奥へと駆けます。

やがて漂う、彼女の足を止める毒気。

しかし、彼女はもはや独りにはなれないことも知っていたのでした。

独りになれば、ただ暴れまわり、人生を終えてしまう。

やがて彼女の目の前に現われたのは、狩人たちの死体。

自分が狼として味わった鹿肉とは違う、恐怖にまみれた人間たちの亡骸。

その惨状に吐き戻すアーリンへ、トヴォラーは解放されることの価値を説いたのでした。

もう隠れるのはうんざりだ、と。

なんと奇妙なことだろうか。アーリンは、隠れることだけを求めていた。

(中略)

その朝帰宅すると、母が客室で待っていた。

(中略)

「何処に行ってたの?」 母は声を詰まらせた。

「アーリン、森の中で狩人が四人……引き裂かれて、まるで……」

明かした方がよかったのかもしれない。正直に。

だが、父の手で作られたあの天使の聖印が目にとまった。

そして、正直に言うことはできなかった。




内なる獣

それでも狩りの興奮はアーリンを森へと通わせ、その瞬間彼女は我を忘れ、美味な鹿肉のみを求めていたのでした。

そして愚かにも、それを村へと持って帰れるとすら思い始めていたのです。

その日も彼女は鹿を襲い。

そして、直後に続いた鋭い痛みに。

その身体は地面へと投げ出されたのでした。

納屋がネズミだらけなら、猫を捕まえてくる。森が狼だらけなら、最高の狩人を送り込む。そういうものだ。

(中略)

狩人たちは――クロスボウを構えていた。

彼女の口元は血で濡れていた。

そして、彼女は叫びを上げた。それで終わりだった。

 

アーリンはその夜から、聖印に囲まれた教会へと籠るようになります。

毎日、訪れた夜明けは、自身の内なる獣への勝利の証。

綺麗な手で迎えた朝は、未来の自分への約束。

あの獣はなくなったのだ、と。

人間としての彼女と関係を持ってくれた、礼拝に訪れる善き人々。

友人のルチアナ、神父のザカリアス…。

 

そして数年が過ぎ、この教会へ飛び込んだ理由も忘れ始めたころ。

トヴォラーが、朝の礼拝に現われたのでした。

目にするだけで呼び覚まされる野生。

それに加えて、これから来るであろう沈むような恐怖。

アーリンはその夜、自室に籠った――窓にカーテンを引き、衣服をきつく身につけ、視界のそこかしこに聖印を置いた。

けれど夜闇の中で見るのは困難だった。

だからこそ、それは起こったのかもしれない。

だからこそ、それでは足りなかったのかもしれない。

けれど真に知ることは、今はないだろう。何故そのようなことが起こったのか、あるいはどんな不可解な優しさから、ルチアナは自分の様子を確認しに来たのか。

血を覚えていた。狩りを覚えていた。ここではないどこかへ行きたいと思ったのを覚えていた。

そして、不意に、彼女はそうした。




真夜中の狩り

それから20年。

アーリンは、夜が長くなりゆくイニストラードで、ふたたびその咆哮を聞いたのでした。

考えるよりも早く森へと飛び込むアーリン。

木々が途切れ、姿を現したのは、トヴォラーと、その取り巻きとなる見たことない巨狼たち。

アーリンが近づくと、無愛想な顔が、微笑もうとしているのがはっきりと見えた。

「よく戻ったな」

「調べに来ました」 アーリンはそう言い、新参者たちを上から下まで見て、本能的なうなり声を押し殺した。

「この狼たちは?」

(中略)

彼はアーリンに目を合わせ、そして歩き去った。

ついて来い、そう言う必要はなかった。




今回はここまで

アーリンさんの悲しき過去編でした。

ちなみに、アーリンは変身を抑えられなくなった夜に、プレインズウォーカーとしても覚醒したことになっていますね。

別ストーリーで、彼女はアヴァシン教会の結構な地位(黄金夜の大魔道士)にまで昇りつめているわけですが…。

そのストーリーの中でも、彼女は化け物として恐れられるなど、散々な展開が多いですね…。

さてはて、悲劇の多いアーリンですが、今回のストーリーでは救われてくれるのか…!?

では!次回もお楽しみに!

 

 

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*出典*

メインストーリー第2話:狼の真意