【ドミナリア】第11回 ベルゼンロックとの決着、そして…【ストーリー】
はじめに
ドミナリア最終章!
ベルゼンロックとの決着!
そして、次なる戦いへ備える英雄たちに、大いなる影が忍び寄ります…。
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ギデオンの奮闘
ギデオンの落とされたピットは、狂乱と化していたのでした。
狂気の呪文をかけられた闘士たちが、陰謀団の信者たちの娯楽のために戦う混乱模様。
ギデオンが周囲を見渡すと、正気を保っているらしき人物を見つけます。
ギデオンは尋ねた。
「私も加わっていいか?」
「礼儀正しい奴だ」
その女性は首をかしげ、自分の右に加わるよう指示した。ギデオンがそこへ入ると女性は尋ねた。
「見ない顔だな。新参者か?」
(中略)
「私は、ギデオン」
その女性は黒いローブをまとう信者の胸を切り裂き、答えた。
「ラーダだ」
一方のチャンドラは、響き渡る鐘の音と、ベルゼンロックの叫びにより、やっと応援が到着したと気づいたのでした。
同時に、ウィスパーの呪文により、ピットの虜囚たちの息の根を止める黒い霧が発生しているのも見届けます。
彼女はピットに落ちたギデオンを救いあげるための梯子を下ろしつつ、ウィスパーへと炎を放ったのでした。
ヤヤの指導により、はるかに精密になった炎を。
ウィスパーは怒りに叫び、チャンドラを指差した。冷酷漢らが突撃し、死の呪文が黒い球となって彼女へと放たれた。
チャンドラは身構えることも、息をのむこともしなかった。自分へ向かってくる司祭と冷酷漢へ向け、彼女は異なる方向へ十もの火球を放った。そして自身は地面に転がって死の呪文の軌跡から逃れ、続けてウィスパーへと炎を連射した。
信者は次々と焼き払われ、しかしウィスパーはその火炎をかいくぐり、チャンドラへと黒い雲を放ちます。
瞬間、チャンドラを守ったのは、ギデオンの絶対の盾。
そして、ギデオンとともにいた女性が放ったナイフ。
チャンドラも感嘆するナイフ術が司祭の目を貫くと、彼女は船の到着を仲間に告げ、広間から地下への脱出を図ったのでした。
ラーダは黒い眉をつり上げた。
「陰謀団に破壊を振り撒いてやるのか?」
「たぶん」 チャンドラは言った。それを確かに願った。
「そういう計画」
「ならば一緒に行こう」
3人は宝物庫へと辿り着くと、チャンドラがその扉を焼き払い、黒き剣を探し出したのでした。
そして要塞から出た先。
見えたのは、ウェザーライト、そして乱闘をしている霊と不死者。
それと、ベルゼンロックがそれら生命を薙ぎ払っていく姿。
ギデオンは剣とともに悪魔へと突撃します。
自身の鍛えていた剣を持つ男に激高したベルゼンロックは、猛り声とともにそれを迎え撃ったのでした。
「プレインズウォーカーの匂いだな。何者だ?」
ギデオンはためらわなかった。
「ギデオン・ジュラだ。リリアナ・ヴェスと共に、お前を殺しに来た」
ベルゼンロックは再び牙をむき出しにして笑った。
「貴様らか。ゲートウォッチ。貴様らをどうするかという話は聞いている。ここで殺してしまうのは残念と言えよう」
そしてベルゼンロックは突撃した。
最後の悪魔
ギデオンがベルゼンロックと対峙する少し前。
テフェリーとカーンを回収したウェザーライトは、死霊アゴロスの襲撃に手を焼いていたのでした。
リリアナの屍術では支配できない怪物に、テフェリーやラフは呪文で、ティアナは天使の剣で、アルヴァードは剣でもって対抗します。
やがて、ジョイラはリリアナに警告したのでした。
これは陽動だと。
同時に、リリアナにここを離れるよう指示します。
リリアナは黒豹人らへ話しかけた。
地面へ降りたいのだけど、可愛い子たち、何か案はある?
彼女の呼びかけに応じ、船へと積みあがる霊たち。
リリアナは手すりを越えると、それらの手助けにより地面へと着地したのでした。
要塞の広場へと辿り着いた彼女が見たのは、扉に敵を押しとどめるチャンドラと、黒き剣で悪魔と対峙するギデオン。
リリアナの目的は、悪魔の攪乱。
そして、ギデオンに止めを刺す隙を与えること。
彼女は大股で近づき、自分に攻撃の矛先を向けさせようとした。
「他の契約悪魔は私の手で死んだわ。お前もそこに加わりなさい」
そして本心を語るべきではないとわかっていたが、言わずにはいられなかった。
「よくもお兄様を」
ベルゼンロックは声をあげて笑い、続いて突きを防いだ。
「ドミナリアの全ては我がものだ、お前の兄の屍も、お前の故郷も、お前自身も。それを我が意のままに用いるだけよ」
リリアナを駆り立てる怒り。
そしてそれは最大限の軽蔑の言葉となり、ベルゼンロックを煽りたてたのでした。
悪魔が怒りに吼えた瞬間、ギデオンの剣がその腿を貫きます。
浅い傷に勝利を確信し、笑みを浮かべるベルゼンロック。
しかし、リリアナはその腕をかいくぐると、刺さった剣の柄を握ったのでした。
剣へと吸い込まれる悪魔の生命力。そしてリリアナの身体と心を圧倒する黒き剣の力。
やがて悪魔の身体は萎れ。
白い肉塊となって崩れ落ちたのでした。
立つ力を奪われ、雨の敷石に座り込むリリアナ。
彼女が感じたのは、最後の契約悪魔、そして兄の仇を斃した充実感。
同時に、身体に刻まれた契約文が消えないことへの困惑。
これは消えると思っていた。だがそれも今となっては侘しい願いだったのかもしれない。契約相手が死んだとしても、契約そのものが存在しなかったことにはならないのだから。
その隣で、ギデオンが呆然としながら身体を起こした。
「大丈夫か?」 疲労の中、彼は尋ねた。
リリアナは笑みを見せた。「私はとっても強いのよ」
物語の終焉、そして…
悪魔討滅を完了し。
ジョイラとティアナは、ウェザーライト号の艦橋に立っていたのでした。
このあと船は、ラーダをケルドへ連れ帰り、スライムフットや子供達はヤヴィマヤへ返す。
そして、テフェリーやカーン、ヤヤはニコル・ボーラス討滅へと向かう。
ふと、ジョイラの中によぎる思い。
「自分もプレインズウォーカーだったら」
そして「一緒に行きたかった」
彼女はティアナへと話しかけます。
船員たちを送り届ければ、セラ協会との約束も終わりますね、と。
ティアナは両眉を上げた。「それが約束だったのですか?」
ジョイラは唇を噛んで安堵を隠し、顔に疑問の表情を浮かべた。
「そうじゃないんですか?」
ティアナは小さく肩をすくめた。
「私は、陰謀団をドミナリアから一掃することだと思っていました。もちろん、ベルゼンロックの死は大きな一歩だと思います。ですがまだ力にすがりつこうとする司祭が世界中にいます」
ジョイラは首をかしげた。
「もちろん、その通りです。とはいえそれは何年もかかるでしょうね」
ティアナは視線を合わせ、そして二人とも微笑んで彼女は答えた。
「ええ、そう思います。ですよね?」
要塞の扉の前で、ギデオンとチャンドラは「テフェリーの誓い」を受け入れます。
カーンとヤヤは戦いには加わるものの、誓いを立てることは拒んだのでした。
カーンは、新ファイレクシアへ旅立つため。
ヤヤは、曰く「私は独り者がいいからさ」。
その後、ジョイラはテフェリーやカーンへと別れを告げると。
彼女は、ティアナ、そしてシャナやラフ、アルヴァードを連れて、船へと帰っていったのです。
そして、その船も雲の向こうに消えると。
彼らも、ドミナリアを旅立つ時を迎えたのでした。
結集したプレインズウォーカーたち。
「準備はいいか?」のギデオンの掛け声。
皆が視線を合わせ、集中し…。
やがて一人一人次元を離れゆく者たち。
そして…
…最後に残されたリリアナ。
そこにあったのは、困惑。
ギデオンに続いたつもりが、未だにドミナリアを離れられない不可思議。
「何……どうして……」
恐怖が忍び寄るのを感じた。自覚しないうちに何かがあって灯を失ったのだろうか? 黒き剣のせい? 鎖のヴェールを使い過ぎたから?
広場の塵が持ち上がり、つむじ風にうねった。その大嵐の中心に黒い姿が浮かび上がった。
「そんな」 鉄の鎖のように重く嫌な認識に、彼女は息を吐いた。
「やめて」
ニコル・ボーラスが闇から実体を現した。
鱗のドラゴンの巨体が威圧するように立ち、その純粋な存在の重さが彼女の世界から全ての光と空気を奪った。
「リリアナよ、おぬしは契約文をもっと詳細に読み込むべきであったな。どうやら気付いていなかったと見える。悪魔らが死したなら、おぬしの契約はその紹介者へ、我へと渡る」
ボーラスの顔に満足の笑みが浮かぶと、リリアナは動けず立ったまま、怒りと恐怖に喉を詰まらせた。
リリアナを襲う衝撃。そして、挫折の念。
自由になったと思ったのはとんだ間違い。
すべてこのドラゴンの手の内。
ボーラスは続けます。
「従わなければ、この場で契約がリリアナを一瞬で老化させ、塵へ帰す」と。
リリアナの頭をよぎる考え。
ボーラスに仕えるくらいなら、死んだ方がましだ。
しかし、彼女はそれすらこの運命から逃れる術にはならないことに気づきます。
死は、自由には繋がらない。
その思いに、冷たい結論が彼女の内に広がっていった。
抵抗を止めた彼女を、ボーラスは自己満足とともに見つめた。
「来るがよい。我らにはすべき事がある」
稲妻が空を裂き、周囲の世界を歪ませ、ボーラスはプレインズウォークした。
心がひどく重かった。長いこと抜け道を求めてきた運命は新たな形を成し、彼女は虜囚のようにそれに束縛されたのだ。
リリアナはボーラスの軌跡を追った。
新たな次元へと、プレインズウォーカーたち全員が渡り。
最初に狼狽を口にだしたのは、ギデオン。
「リリアナはどうした?」
移動、罠、攻撃…様々な憶測が飛び交う中、扉から現れたジェイスは冷徹に告げます。
リリアナは信用できないと。彼女は自分たちを裏切ったのだと。
共に戦った勇士たちがこれを否定する中、ギデオンは再度次元渡りをし、ドミナリアへと戻りました。
すでにリリアナの痕跡はなく、霊気の跡は自分たちとは違う方向へと伸びていたのです。
その事実は、彼女が変わったと確信していたギデオンにとって、心を貫くものでした。
ギデオンは迷い、必死に何かの、リリアナが自分を裏切ってなどいないという痕跡を、希望を探した。だがジェイスが待っており、ボーラスを攻撃する計画は既に動き出していることもわかっていた。皆のもとへ戻らねばならなかった。
はっきりと声に出して、彼は告げた。
「どこにいるかはともかく、リリアナ。君は自分の行いをわかっていると私は信じている。そして、また会えることを願う。これは本心だ」
そして彼は踵を返し、ドミナリアから離れた。
今回はここまで
ドミナリアの物語は、全編通してそこまで裏切りのない物語だな~なんて思わされますが。
ところがどっこい。
すべてはこの結末のためだったのさ!
…と、言わんばかりのどんでん返し。
灯争大戦を知っている人たちからすれば周知の事実でしょうが、リリアナと同様に「悪魔を全員滅ぼしたことによってやっと本気で戦える」と思っていた読者の方々の当時の衝撃たるやいかに…。
そして、ギデオンはどこまでもイイやつ…。
これを踏まえて、灯争大戦の物語を追うと…やっぱ泣けますな( ;∀;)
さてさて、長きにわたる、灯争大戦に至る物語がここで完結になります。
もちろん、灯争大戦も見せ場だらけな物語なので、いずれはここでもご紹介したいですが…なにぶん相手が英語小説なものですからね…いつになるやら…。
手軽に知りたい方は、公式の漫画でも是非~。
当ブログでも、灯争大戦におけるエモい話は色々連載しておりますので、関連記事の方からぜひ読んでみてくださいね!
では!次回の更新もお楽しみに!
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