【ニューカペナの街角】第1回 安住の地を求めて【ストーリー】

2022年4月12日

はじめに

エルズペス、新章…!

というわけで。

セットの発売予告時点から、エルズペスに関係のある次元として語られていたニューカペナの物語が始まります!

テーロスで散々な目にあった彼女は、アジャニの助言でこの次元へと来訪しました。

疲弊しきった彼女は、いかにしてこの次元と関わるのか!

そして、前回の神河から着実に勢力を伸ばすファイレクシアの影も…!

ニューカペナのストーリー紹介、始まります!

 

…なに?エルズペスのこれまでをご存じない?

ならばまずこちらを読んでね。




目次

安住の地を求めて

ニューカペナの中階層、メッツィオ。

その駅に降り立ったエルズペスは、一人呆然としていたのでした。

溢れる人々、華麗で耽美な街の装飾。

彼女は一人呟きます。

「安住の地」…そうアジャニは言っていたのに、と。

アジャニが彼女に嘘をついたことはなく、常に適切と思える助言をくれた、たとえ彼女が耳を貸そうとしなくとも。アジャニを信頼する理由は十分以上にあった。ここが安住の地だと彼が言うならば、そうに違いないのだ。長いこと探し求め、夢見て、願ってきた……

だとしたら、何故こんなにも場違いに感じるのだろう?

 

時は少し戻り、ドミナリア次元にて。

アジャニは、もう会えないと思っていた友との再会に、喜びを噛み締めていたのでした。

「生きてるんだな!」

アジャニが駆け寄ってきた。その大きな抱擁は押し潰すようだった。

エルズペスも腕を回し、同じ強さで友を抱きしめた。首周りの毛皮が鼻と頬をくすぐり、彼女は唇に笑みを浮かべた。幸福。安堵。そして安全。

(中略)

「この目で見るまで、君が生者の世界を歩いているとは信じられなかった」

アジャニは抱擁を解き、エルズぺスの肩に手を置いた。その瞳は感激に潤んでいた。

二人はテーロスで共闘した深い仲

ファイレクシアについてカーンやゲートウォッチたちと話していた、と語るアジャニに、エルズペスもこれまでのことを話します。

凄絶な彼女のこれまでを聞いたアジャニは、しばし口を閉ざしました。

考えるように、虚空を見つめて。

やがて彼から出てきた言葉。

「大丈夫なのか」という一言。

それは、エルズペスが隠した深い傷も見通すような台詞。

彼女は導かれるように告白します。

一番つらいのは、どこにも行けないことだと。

自分には、帰るべき、心休まる場所などないのだと。

エルズペスは笑い声を発した。今この時、希望など何もない。声はその苦々しさを帯びていた。

「私はエレボスの掌握から逃れるために戦いました、ですが何のために? 時々、わからなくなります」

アジャニは溜息をついた。

「エルズペス、安住の地とはひとつの場所ではない。感じるものだ。君と夢を共有し、君が信頼する人々がそれだ」

「言うのは簡単です」

 

説教じみたアジャニの言い分に、苛立ちを見せるエルズペス。

戦いを共にした彼でも、自分の苦しみを全て分かってくれるわけではない。

立ち去ろうとした彼女に、アジャニは背中越しに語りかけました。

「君が――」

死んでいた、それに代わる言葉を彼は探した。

「いない間に探していた、君の安住の地を……」

そして身構えるように深く息を吸った。

「そして。見つけた」

 

アジャニは説明します。

そこは、過去にファイレクシアの侵略があった場所だと。

にもかかわらず、次元はまだ現存している。

つまり、悪の脅威を打ち負かしたかもしれない場所。

彼はエルズペスへと、その詳細の調査を依頼したのでした。

 アジャニは最後にと彼女を引き寄せ、抱きしめた。

「君の死は二度と見たくないし、死んだという知らせも聞きたくはない」

「私もそれは避けたいです、アジャニ」

少しだけエルズペスは笑った。数年ぶりに、心が軽くなった気がした。

そして彼女は振り向くことなく渡っていった、安住の地と呼べるかもしれない場所へ。




エルズペスの仕事

アジャニの言葉とは裏腹に、ニューカペナの街に居心地の悪さだけを感じていたエルズペス。

しかし、来るべきその時に向けて、生き延びるために。

彼女は洗濯店での仕事に勤しんでいたのでした。

駅への運搬仕事を終えた帰り道。

勤務先の店から聞こえてきたのは、借金取りの怒鳴り声と、いつもは厳しい店主のおびえた声。

何かを壊す音…懇願する声…そして鈍い殴打音と、あざ笑うような声。

気づけばエルズペスは、店へと押し入っていたのでした。

エルズペスはリーダー格の男へと目を向けた。

「出て行きなさい」

(中略)

「丸腰の相手を喜んで痛めつける残虐な者は、私が相手します」

「残虐?」 女がくすくすと笑い、拳を鳴らした。

「その言葉の本当の意味を教えてあげるべきね」

「貴顕廊の処罰者相手に、大胆な物言いだ」

側頭部を剃った男が言った。

 

貴顕廊、それはニューカペナを牛耳る5つの組織の1つ。

店主へ危害を及ぼさないため、エルズペスは外へと飛び出します。

それを追う、四人の処罰者。

彼らの刃や魔法をよけながら逃走したエルズペスは、やがて作りかけの橋へと辿り着きました。

獲物を追い詰め、せせら笑う追跡者たち。

リーダーは手を挙げ、二本の指をエルズペスへと向けた。その手首が火花をまとい、見えざる熱に大気が揺れた。

「お前はもうすぐ死ぬ」

可笑しさに彼女は声を漏らした。

「あいにく、それは経験済みなもので」

 

放たれる魔法をよけながら、エルズペスは積み上げられた鉄の棒を握りしめると、華麗な身のこなしで彼らを打ち払います。

それは、あっという間の出来事。

気絶した全員が息をしていることを確認し、鉄棒を元に戻そうとしたとき。

彼女は、迫る影を察知したのでした。

鉄棒を握ったままに対面したのは、さきほど倒した者たちと同じような鎧を纏う男。

男は、鉄棒だけで用心棒たちをのした彼女に、好奇の笑みを向けていたのです。

男は指で鉄棒の先端を軽く上げた。

「これを置いて話し合うというのはどうかな?」

エルズペスは応じなかった。

(中略)

「ところで。もう少々簡単に『日々を生き』たいのであれば……いい仕事があるのですがね」

エルズペスは睨みつけ、だが男は続けた。

「ふむ。金に興味はなさそうだ。では光素は?」

彼女は動きを止めた。




貴顕廊の誘い

光素。

エルズペスが何度も聞いてはいたが、その正体を掴みかねていた物体。

反応のあった彼女へと、男は語り掛けます。

望めば、いつでもそれが飲めるようになると。

今どこにも属していないなら、貴顕廊から始めると良いと。

「それにニューカペナの歴史に興味があるのであれば、耳寄りな話があります。我々の新人は皆、高街の博物館から仕事を開始するのです」

男は立ち止まり、片手を差し出した。

「おっと、私としたことが名乗りもせず、失敬。アンヘロと申します」

エルズペスは油断なくその手を見つめた。その手をとったなら、契約を交わしたように感じるのだろうか――その内容は知らないが。

だがそうはせず、彼女は無視して歩き続けた。

「エルズペス、です」 答えはしたが。

 

アンヘロは彼女に追随しながら勧誘を続けます。

それを聞きながらエルズペスは、考えを巡らせていたのでした。

この男の言うことが真実ならば、貴顕廊の博物館で次元の歴史が明らかになる。

そして彼らのところにはあるかもしれない。

アジャニやゲートウォッチの欲する、ファイレクシアの情報が。

「わかりました」 エルズペスは不承不承頷いた。

(中略)

「後悔はさせません」 アンヘロは彼女の肩に腕を回し、歩き出した。

「どの一家よりもニューカペナを熟知している、それが貴顕廊の誇りです。貴女が求める情報が確かに、そして紛れもなく得られますよ」

得意げな表情だった。




今回はここまで

名乗られたら、無視しつつも名乗り返してしまうタイプのエルズペスチャン、かわゆす。

 

どこやねん、とばかりに新規参入してきた次元ニューカペナですが。

過去にファイレクシアの侵攻を退けていたという実はすごい次元だったことが明らかになりました。

真実に迫るため、仕方なくエルズペスはこの街の深みへと一歩踏み出すことになります。

果たして、彼女が辿り着く行く末とは…?

次回もお楽しみに!

 

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*出典*

メインストーリー第1話:安住の地へ

メインストーリー第2話:汚れ仕事