【タルキール龍紀伝】第7回 ソリンの探訪_歴史改変後【ストーリー】
はじめに
前回、タルキールにおけるソリンの旅路をご紹介しました。
それは、サルカンによって運命再編が成される前の物語。
彼は解放されたエルドラージの脅威を感じ、ウギンの元を訪れますが、何者かによってその精霊龍は殺害された後だったのでした。
失意とともに、この世界の破滅を予感するソリン。
が!それらの事実は歴史改変によりなかったことになった!
そんなことは露知らないソリンは、このタルキールに”初めて”訪れることになるのです…。
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タルキールのソリン
タルキール次元。
初めて訪れるその次元は、ぎらつく太陽が肌を焼き、それを巨大な龍の影が遮る世界。
彼の目的は、この次元を故郷とする精霊龍、ウギン。
エルドラージの解放にも関わらず、なぜウギンは姿を現さなかったのか?
なぜ自分だけがこの事態の収束に動かなくてはいけなかったのか?
ウギンの安否を気にしつつ彼は数日を歩き回り、その世界にそぐわない見た目は現地の戦士たちを呼び寄せたのでした。
案内が必要だった。
ありがたいことに、この世界は寄り抜きのそれを提供してくれた。
(中略)
「よくここまで来たものだ、シルムガルの死者の下僕め」
(中略)
戦士の長が再び口を開いた。
「今夜、お前の首を槍の飾りにしてやろう」
ソリンは案内人となった下僕と道中静かに進みながら、血ではなく情報を聞き出していたのでした。
案内人は語ります。
全てのカンは凋落し、今や龍がすべての氏族を治めているのだと。
「かつては別の氏族を、高慢な人間たちが統べていました。それらの氏族は異なる名を持ち、その戦士たちは龍たちを殺しました、彼ら自身の土地の龍すらも。裏切りです。龍種の魂への裏切りです。彼らにその運命が降りかかったのは、当然のことです」
数日が過ぎ。
精霊龍が眠っている、と案内人が指さした先。
そこには数々の面晶体が横たわり、案内人はそれを大いなる揺籃、精霊龍の安息地と称したのでした。
そこから感じる、生命の精髄。
彼は案内人を処分すると、その休息地へと向かいます。
自分の力だけでやらなければいけないようだ、ソリンは考えた。
起きる時間だ、龍よ。
精霊龍の復活
ソリンは剣を引き抜くと、それを休息地へと向けます。
マナを集中させ、古の音節を発声し、束縛と解放の言葉を紡ぐ。
やがて彼は、面晶体の中に、この束縛の源となった小さなかけらを探し当てたのでした。
ソリンが剣を掲げ、それらを自壊させていくと。
繭からウギンがはじけ、精霊龍は大きな風を巻き起こしながら飛び上がったのです。
ウギンは舞い戻り、面晶体の繭の残骸の上の宙で停止した。龍の声が轟いた。
「ソリンか?」
「その通り」 ソリンは言った。
「ここで何があった? 捕えられたのか?」
ぽかんとした、心ここにあらずな表情が龍に現れた。一瞬の熟考の後、ウギンは鼻孔から一陣の霧を噴き出した。
「守られた、のだろう」 ウギンは言った。
ボーラスに襲われ、回復のために一千年以上もの時を使ったウギンは、ソリンに復活させた理由を問います。
そして、彼は解放されたエルドラージのことを話したのでした。
ウギンにとっては、あり得ない出来事。
しかし、プレインズウォーカーたちは何者かに仕向けられ、面晶体の牢獄は傷つき、ウギンの目は開いてしまったのだと。
ウギンはまた違った類の息を吐き出した。溜息を。
「気が狂いそうになる知らせだ」
(中略)
「面晶体の魔道士は? ナヒリは何処におる?」
(中略)
「彼女は――ここにはいない」
特定の声色を出すことなく、ソリンは言った。
「それは見ればわかる」 ウギンは言った。
「彼女の所在を問うているのだ。まだゼンディカーに? 我らも合流するべきであろう、我さえ旅できるようになればすぐにでもだ」
「彼女が、そこにいるとは思わない」
ソリンは注意深く言った。
ウギンの首の襞が苛立ちに震えた。
「事実を言うのだ、曖昧なことではなく。彼女は死んだのか?」
「いや」 ソリンは言った。「生きている」
今ウギンが真実全てを知る必要はない、ソリンはそう判断した。
精霊龍はソリンへと、ゼンディカーへナヒリを連れてくるよう命じます。
ウギンやソリンの魔術をもってしても、ナヒリの石術がなくては封印は成せないと。
そして、その頭部はソリンの目を覗き込むかのように彼へと近づいたのでした。
「はっきりさせよ。我ら三人が不可欠だ。おぬしと彼女との間にどのような些細な諍いがあろうとも、おぬしが我にどのような問題を隠していようとも、解決せよ。彼女とともにおらぬ限り、おぬしの顔を見たいとは思わぬ」
ソリンは歯を食いしばると、ウギンから目線を外し、無関心に見えるようにうなずいたのでした。
ウギンの感謝の言葉を背に、タルキールを去ろうとするソリン。
その表情は、苦悶に満ちながら。
自分の世界だけを気にかけていれば良いのなら、物事はもっとずっと単純に済むのだろうが。
今回はここまで
ストーリーについてある程度知られている方なら、ソリンが口ごもる理由もご存知の通り、ですね。
前回のあとがきでも言及の通り、ナヒリを連れてこられない状況にしたのは、他ならぬソリンさんです。
エルドラージを押さえるためにナヒリが必要であり、しかし将来的に、このナヒリによってエルドラージがイニストラードを襲うことになります。
ソリンも苦労しますね…一部自業自得な部分もありますが。
タルキールにおけるソリンの歴史改変前後の話は、ちゃんと対になって話が進んでいるため、並行して読むと比較ができて面白いですよ!
というわけで、タルキールのソリン編完結!
次回もお楽しみに!
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