【イクサラン:失われし洞窟】第2回 吸血鬼アマリアとアクロゾズの呼び声【ストーリー】
はじめに
前回、イクサラン次元の深層へ辿り着いたクイントリウスやファートリの物語をご紹介しました。
しかし!イクサランと言えば複数視点で語られる群像劇!
今回も例外ではありませんよ!
というわけで、雰囲気ガラっと変わり、今回は吸血鬼一行の旅のお話…。
アマリアの旅
女王湾会社所属の地図製作者、アマリア。
彼女は未開地の地図を作成すべく遠征隊に加わっており。
そしてその旅の中で「声」を聞いたのでした。
「我がもとへ来たれ。」
眼前に広がる、砂の海、広大な洞窟。
そして円形の扉…。
幻視から目覚めたアマリアは、鞍から落ちかけたところを仲間であるクラヴィレーニョに救われたのです。
三十人もの遠征隊の中には、会社の幹部であるバルトロメ、そして隊を率いるヴィト。
この大陸の深部に、コウモリの神アクロゾズの神殿があり、その中には扉があると言われている。
そしてその先には、目下問題となっている吸血鬼内部の分裂も救えるような解決策があるかもしれないと。
二人は目的は一にしつつも、アマリアにはその求めるものはちがうと思われたのでした。
彼女は、先ほど見た幻視がその扉なのではないかと期待し…同時に恐れつつも、歩を進めていたのです。
やがて辿り着く神殿。
ヴィトはまるで演説するかのように話し始めます。
この建物の中には、古き神祖であり、最初の吸血鬼を作ったアクロゾズが眠っている。
それは最も忠実なしもべによって目覚めさせられるのだと。
神殿を進むうちに行きついたのは、円形の大部屋と、奥に座する金色の扉。
アマリアが驚いたことに、それは幻視で見た扉ではなかった。
兵士のひとりが扉を開けようとしたが、それは頑固に閉じられたままでいた。
(中略)
「開けることはできぬのかもしれぬ」バルトロメが呟いた。
「遥々ここまで来て何もなしとは?」
「アクロゾズが私を導いて下さる」
ヴィトの声は辺りの空間にこだました。
「クラヴィレーニョ、人夫のひとりを連れて来い」
ヴィトの命令により、祭壇へ拘束される人夫。
そして彼はナイフとともに祭壇へと上ると、哀れな犠牲者の喉を切り裂いたのでした。
燃え上がる祭壇、溝に沿って流れゆく血液、そして…軋みながら開く扉。
「アクロゾズを讃えよ」
ヴィトが朗々と告げた。
ヴィトが兵士たちへと出発の準備をするよう命令する間、バルトロメは沈黙を保っていた。
我がもとへ来たれ……
アマリアは震えながら息を吸い、その囁き声は以前よりも強くなってはいないと自らに言い聞かせた。
異邦人との邂逅
ヴィトの先導のもと、扉を開くための犠牲や、怪物からの強襲を受けての犠牲により人数を減らしつつ、彼らは歩を進めていたのです。
その道中の洞窟にて、アマリアは怪物と争う人影を見たのでした。
それは、マントのような上着を着て、奇妙に輝く剣を振り回す少年。
聞きなれぬアクセントで自分への支援を願い出る彼でしたが、ヴィトはそれを無視します。
放っておけば死んでしまうかもしれない状況。
一歩を踏み出したアマリアが魔法の羽ペンで地図を書き換えると、即座に洞窟の石橋は姿を消し、少年を追いかけていたゴブリンは奈落の底へと突き落されたのでした。
「よくやった」と呟くバルトロメ、苛立つ表情のヴィト。
礼儀正しく感謝を述べた少年は、その耳が尖っていることにアマリアは気づいたのです。
「君は何者かね?」
ヴィトが冷淡に尋ねた。
「ケランといいます」その少年は答えた。
「僕が何かして……あれを挑発しちゃったみたいで。けれど皆さんがいてくれて本当によかった。ありがとうございます」
(中略)
「どこから来たのだね?」
バルトロメが尋ねた。
「エルドレインです。僕――」
「どうでも良い」
ヴィトが割って入り、バルトロメを睨みつけた。
「我らには関係ない」
神聖なる探索行の最中だと怒りを見せるヴィトへ、アマリアは自分で責任を負うと言い、彼を戦力に加えることとしたのでした。
道中、アマリアに説明を受けつつ、「この世界」の諸々に驚きや不安の表情を浮かべるケラン。
そして彼らが広く平たい台地へと足を踏み入れた時。
叫び声とともに現われた獣人の戦士たちによって、吸血鬼一行は包囲されたのでした。
マラメトの勇士と名乗り、自分たちの君主に会うよう迫る戦士たち。
ここまでに戦力を削られた一行は、不本意ながらこれに従います。
クチルと名乗ったその者に連れられ、彼らはその君主の元へと連れ出されたのでした。
君主オキネク・アハウは興味深そうにヴィトを見た。
「我が国でのそなたらの目的は何だ?」
「我らは巡礼者にございます。我らが神、アクロゾズの地を目指しております」
「ここには我のほかに神はなし」
(中略)
「ひとつの侵略は次なる侵略を呼ぶ。それを許してはならぬ」
(中略)
君主オキネク・アハウは床に屈む者たちに向けて身振りをした。
「侵入者に砂刑を宣告する。我が大義を果たすのだ」
(中略)
「こんなの不公平ですよ!」
軍団の後方でケランが叫んだ。
「僕たち何もしてないじゃないですか!」
君主オキネク・アハウは牙をむき出しにした。
「炎は公正など考慮せぬ。ただ燃やすのみ」
仲間が連れ去られゆくのは、砂が流れゆく噴水。
ある者は屈し、ある者は叫び抵抗しながらも。
アマリアも、そしてケランも、マラメトによって砂の中へと沈められていったのです。
圧迫される砂の中で、またもアマリアの眼前に広がる幻視。
謎めいた扉、太陽のように眩しく燃える球体…その周辺に板金鎧のように浮かぶ金属の破片。
すると、突如アマリアは落下の感覚に襲われました。
そして彼女は水面へと叩きつけられると、息を求めて水上へと上がった彼女は、同じようにしているケランを見つけたのです。
またも自分たちは生き延びた。純粋な幸運? それともアクロゾズの意志だろうか?
だがアマリアが一瞬の安堵以上のものを感じる間もなく、水中に激しい動きがあったかと思うと彼女たちを取り囲んだ。川守り。何十人という全員が見慣れない翡翠の武器とエレメンタルの魔法で武装していた。
「我らを怒らせないでもらおう」マーフォークのひとりが言った。
「黙ってついて来るか、ここで力ずくで溺れさせられるかだ」
(中略)
ケランは咳き込み、泳いでアマリアへと近寄った。
「信じられますか、今日だけで待ち伏せに三度も遭うなんて」彼は悲しげに言った。
ふ、とアマリアは笑った。
「それが習慣にならないように気をつけて下さい。破るのは難しいかもしれませんからね」
ケランはにやりと笑い、ふざけるようにアマリアへと水をはねかけた。そしてふたりは他の吸血鬼に続いてマーフォークたちを追いかけた。
今回はここまで
ケラン君!?
「エルドレインの森」のストーリーにて主人公の一人であったケラン君。
“森”のストーリー最後にて、父であるオーコの影を求めてエルドレイン次元を旅立ちましたが、こんなに早く出てくるなんて!?
とはいえ、なんかギスギスして緊張感のある吸血鬼一行の中で、なかなかに癒しポイントな活躍を見せていて良きですね。
さて!上記までのストーリーにて、前回ご紹介のストーリー部分へと繋がったことと思われます。
太陽帝国、吸血鬼とふたつの視点での物語をご紹介しました。
最後に残るは?
こちらもイクサラン名物!海賊!
というわけで、次回もお楽しみに!
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