【イニストラード:真夜中の狩り】第6回 天使リーサの再誕【ストーリー】
はじめに
イニストラードの忘れられた天使を知っているか。
この次元には、4人の天使姉妹がいた。
そして、ソリンによって創造された大天使アヴァシンは、それらを率い、人間たちを守ることとした。
4姉妹のうち、一人を除いて。
アヴァシンによって異端とされ殺害された天使の名は、リーサ。
そして、かのアヴァシンなきイニストラードにて、ついに忘れ去られた天使は復活を果たす…!!!
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全てを奪われた者
イニストラードの森は変わった。
この次元にて、なめし革職人の女性アルグリは思いました。
今や、安全な場所からその樹冠を一瞥するだけでも、恐怖の震えが走ると。
外出時間を守り、家の守りを固めれば、闇の勢力から逃れられる。
彼女のその思いすら、グールの一団の侵入によって覆された。
夫と末息子は自分をかばい、彼女が工房につけた火によって長子は焼け死んだ。
あまつさえ、残酷なグール呼びはこれらの死体を蘇らせ、彼女の家族は二度殺された。
死した者は、安らかなる眠りを得るべき。
そんな時、彼女は”葬られし王”の存在を語るアルーティオに出会ったのです。
その王を呼びだせば、死者は死者のままであり続けられる、と。
そして、今夜がその儀式の日。
天体が正しい位置に並び、力の結集する、千年に一度の夜。
道具を集めた彼らは、招来の儀式を始めます。
しかし。
炎は消えず。ヴェールも動かず。何の動きも現われず。
最初に立ち上がった協力者のスルタは、儀式の失敗を嘲笑し立ち去りました。
そして、これを主催したアルーティオですらも。
アルグリは理解した。自分たちの努力は全て、無駄だったのだと。
イニストラードに希望などない。
目の前に転がるのは、生活を切り詰めてまで揃えた道具たち。
自身の安らかなる死を願いながら、涙にふけるアルグリ。
と、彼女は他の者の気配を感じます。
倒木に座す、黒髪の女性。戦士の鎧をまとい、奇妙な形の槍を携えた…。
女性は穏やかなる表情で、アルグリへ事態を問います。
葬られし王を呼ばんとしていた経緯を語りつつ、彼女は女性の奥にあるものに気づいたのでした。
松明がちらつく中、アルグリはその女性の背後の影を見た。白と灰色の斑で、見つめる中でその影は広がり、猛禽類の優雅な翼となった。
天使が、目の前に座していた。
アルグリはよろめいた。膝をついてしまいそうだった。アヴァシンの古い描写――光をまとう救い主、守護者――それが心に閃いた。
「天使様」
天使の再誕
天使はここに現れた経緯を説明します。
自分は殺害された天使。
しかし、葬られし王と取引した彼女は、真に死ぬことはないのだと。
そして、彼女とともに復活を果たした"かの王"は、今この森を徘徊しているのだと。
アルグリは傷を負った天使の応急処置を買って出ながら、天使が眠っていた間のイニストラードの事を情報交換しました。
彼女の姉妹、ギセラもブルーナも、狂気に堕ちて死んでしまったこと。
巨大な怪物によってもたらされた大患期によって、アルグリ自身も悪魔に頼らなくてはいけないほどに追い詰められたこと。
これを聞いた天使は、理解の笑みをアルグリへと向け、その慈愛は彼女の目頭を熱くしたのでした。
天使はアルグリの衣服から破った包帯の上に鎧下を締め直し、立ち上がり、老女へと手を差し伸べた。
「リーサといいます。かつては薄暮の飛行隊を率いておりました。行きましょう、アルグリさん。イニストラードの未来のために、この王を今一度埋葬しましょう」
森の探索を開始し、まず見つけたのはアルーティオの死骸。
次に聞こえたのは、悪魔に掴まったスルタの悲鳴。
駆け付けた二人を出迎えたのは、かつてリーサと平和について語った悪魔だったのでした。
「薄暮の翼のリーサ」
葬られし王の声は滑らかなぬかるみ、流砂への、空っぽの墓への誘いだった。
「よりによって、ここで古き友に会うとは。何たる喜びか」
「その者を離しなさい」 リーサは命令し、距離を縮めた。
牙を見せて笑う悪魔。
そしてその牙は、捕らえたスルタの首元へと深く沈み込み、自身の糧としたのでした。
悪魔は語ります。
知識で空腹は満たせない。
老女を寄こせばこれで終わりにし、かつての同盟を結んでやる、と。
一瞬、彼女はただ同意したいと願った。多くの悲劇をものともしない人生とは? 大変動をものともしない人生とは? かつてのリーサと同じ不可能性を求める、既に全てを失ったひとりの老女は?
それは全てだった。
「貴方が何を優先するかは、その行動が示しています。ですが埋葬された者の王よ、また別の機会を差し上げましょう。次の千年が過ぎたなら」
リーサの一撃を受けながらも、アルグリを人質に取る悪魔。
しかし、老女はその両手で松明を悪魔へと突き立て。
その隙をみたリーサの槍の一閃は、悪魔の頭を切り離したのでした。
息絶えながらも、消えない悪魔の身体。
それは、まだ自分とつながりがあるからだ、とリーサは思ったのです。
アルグリは顔を上げ、そして萎びた顔の涙の跡の背後に、リーサは再び火花を見た。希望のかすかな光を。
「この悪魔と共に行くのはいかがでしょう。この悪魔を貴女様の鎧にするというのは。身体は革と骨ではありませんか? 以前、私は革職人でした。(中略)リーサ様、我が天使様、お仕え致します。私の命を救って下さったのですから」
リーサはその言葉を、その考えを、悪くないと感じた。
妹の大天使たちは、人間たちのつながりから力を得ていた。
そしてアルグリが今掲げている誓いは、新たな世界の希望になるのではないかと。
彼女は老女へと語ります。
リーサが求めるのは忠誠でなく協調。
傷ついた世界に均衡をもたらすために。
多くの声が、多くの耳に届くように。
それを聞いたアルグリは、息をのみ、膝を折ったのでした。
その瞳に、希望を灯して。
リーサはこの最悪の時に、争乱の時に、絶望し迷った者に呼ばれて帰還した。この小さな誓約の前には更なる試練が、更なる苦難が待ち受けている。冷たい月光の中、リーサはこれらの言葉に、自分たちが共にする知識の中に、古い希望が再び点るのを感じた。悲嘆の誓い。希望の誓い。
終わりが溢れる世界に、こうして、遂に、新たな始まりが訪れた。
今回はここまで
マナに黒を含み、顔面こそ蒼白で悪人面(!)なリーサさんですが、マジ天使だった件。
彼女は物語の中で、首をかしげて話をしたりするのが非常に可愛らしくて良き。
リーサの慈愛と理解を表した表情は、この世界に絶望した老女の心を救います。
あー!リーサ様マジ天使。
アヴァシン、ギセラ、ブルーナの消え去った世界で、予定調和のように復活した彼女は、シガルダとともにイニストラードの希望になるのでしょうか…!
イニストラードの人々を守る天使たちの行方にも目が離せませんね~。
あ、リーサスキーの私、統率者デッキも組んでしまいましたので、よろしければそちらもどーぞ!
というわけで、次回もお楽しみに!
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