【ネオ神河】第3回 そして皇は帰還する【ストーリー】
はじめに
前回は、まだ幼き頃の魁渡の物語をご紹介しました。
そして、前回の物語が、前々回の魁渡の灯の覚醒のストーリーへと繋がります。
ということで!
今回からは、プレインズウォーカーとなった魁渡が神河へと帰ってきたお話から。
彼は未だに、あの日から姿を消している皇の行方を追っています…。
↓ストーリーのまとめはこちら↓
友の裏切り
魁渡が永岩城を後にして十年。
彼はあの日、別れを言うことすらできなかった英子と、久しぶりの対面を果たしていたのでした。
お互いの近況報告を行う中で、魁渡は気がかりなことを耳にします。
タメシが神に関する違法な研究に関わっている疑いがあると。
そして彼は下層街で、金属腕の男と出会っていたのだと。
親友の裏切りの噂に面食らう魁渡。
そんなはずはないと強固に否定した彼は、大田原へ向かうとタメシの情報収集を始めたのでした。
それから数週間。
情報は集まれば集まるほど、タメシが何かを隠していることを裏付けていったのでした。
彼はついにタメシを尾行し、その研究所へと押し入ることになります。
そこで彼が見たのは、今夜タメシが何者かと会うという暗号文。
そして、ワイヤーにも似た腕が生えた装置の設計図。
証拠不十分と踏んだ魁渡は、その会合の場へと向かいます。
金属コンテナの並ぶ倉庫にて。
見たこともないような実験の様子の中、魁渡はそこで”怪物”と出会ったのでした。
「必要トスル素材ノ収集ヲ完了シ、取得シタ標本ヲ移送セヨ」
怪物は振り返った。開かれた顎と金属が鳴るような声に、魁渡は胃が気持ち悪くなるのを感じた。
「進捗ノ遅レハ許サヌ。被験体ガ意識ヲ完全ニ取リ戻シテシマウユエ」
勢団とも思われる者たちによって、コンテナへ積み込まれる荷物。
怪物が証拠隠滅を命じると、直後にすさまじい爆発が起こります。
手がかりが消えゆくことに焦る魁渡。
その耳に、小さなうめき声が聞こえたのでした。
彼はすぐさま振り返って刀を構え、だがコンテナの角からタメシが倒れ込むのが見えた。
(中略)
タメシは致命傷を負っていた。
刀を鞘におさめ、魁渡は友の隣に急ぐと膝をついた。言いたいことが山ほどあった。尋ねたいことが山ほどあった。
だが今、彼の心は背後で燃え上がるガラスのように砕けてしまっていた。何の言葉も出てこなかった。
タメシは細くなる呼吸で、魁渡へと懺悔します。
親友の彼に対して嘘をついていたことを。
魁渡は友人の最期を察しつつも、断腸の思いで詰め寄ったのでした。
どのようにして、あの金属の男と出会ったのかと。
タメシの瞳から光が消えかけた。
「駄目だ!」 魁渡は友のローブを掴み、強く引いた。
「まだ逝くな。本当のことを教えてくれ」
(中略)
「テゼレット」
何かの呪文を破るようにタメシは囁いた。そしてこと切れた。
魁渡は声を詰まらせて泣いた。頬を流れる涙は皮膚を焼くようだった。
予期せぬ協調
タメシの死後。
魁渡は数週間かけて、テゼレットに関する情報を収集して回ります。
そして、鼠人の"那至"がその情報を知っているらしいことを突き止めたのでした。
鼠人の村にて調査を行うも、門前払いされた魁渡。
追跡手段を失った彼は、鼠人のドローンを尾行することで大田原へと踏み入れます。
狸の仮面と再会し、公園を横切った魁渡に、突然現われた影。
空中に浮いた女性のムーンフォークは、巻物を片手に魁渡の行く先を阻んだのでした。
「貴方を傷つけるのは本意ではありません」
「待ってくれよ」 平静な声で魁渡は言った。
「俺が何者かも知らないだろ」
その空民は静かな微風のように左へと滑空した。
「調査を終えてもらわねばなりません。どうか何事もなく帰り、あの子の名を再び口にしないで下さい」
家族に手出しはさせない、と言い切るムーンフォーク。
魁渡は刀と手裏剣でその女性へと迫りますが、彼女が巻物へと目を通したとたん、身体が硬直するのを感じたのでした。
息子を守るため記憶消去の呪文に手をかける女性。
魁渡は魔法の硬直に抗いながら、必死に訴えます。
陛下を救うためのことだと。
テゼレットに関することは、那至しか知らないのだと。
そしてその男の名を聞いた瞬間。
ムーンフォークは顔色を変えると同時に、呪文を解きました。
息をつきながら、テゼレットに関して知っていることを尋ねた魁渡。
女性の表情にかすかな可笑しさが浮かんだ。
「タミヨウといいます」 その声は鋼のように確固としていた。
「おそらく、貴方と私は味方同士になれるでしょう」
皇の帰還
タミヨウと名乗った女性は魁渡を私室へと招くと、知っている情報を開示します。
タミヨウ自身もプレインズウォーカーであること。
そして魁渡の探すテゼレットとは、皇の失踪に関わるプレインズウォーカーであること。
「神を研究していたのでしょう。その真の意図はわかりませんが、見つけ出してみせます」
タミヨウの声が鋭さを帯びた。
「他の次元の物事に干渉するのは私の望みではありません。ですがテゼレットは神河に、私の故郷にその実験を持ち込んでいるのです。私にとっては家族が全てであり、中立の立場でいたいという願いよりも遥かに重要なものです」
続けてタミヨウは、ラヴニカで出会った放浪者という名のプレインズウォーカーについて語り始めます。
テゼレットは”現実チップ”という装置であの夜、守護精霊の香醍を支配しようとした。
しかしその試みは失敗し、代わりに放浪者の灯を覚醒させたのだと。
その現実チップは灯を不安定なものとし、神河への帰還を許さないのだと。
魁渡は口を開いたが、耳鳴りに圧倒されて自分の声がほとんど聞き取れなかった。
「どういうことですか?」
タミヨウは息を吐いた。
「その放浪者と陛下は同一人物なのです」
陛下。今も生きているのだ。ずっと信じていた通りに。
その真実を聞いて、胸が震えるほどの安堵が彼に満ちた。
「プレインズウォーカーだったんだ。ずっと」
はやる気持ちを抑えられない魁渡。
慎重に動くべきだというタミヨウを振り切り、彼は単身タメシの実験室へと乗り込みます。
そこには、何十体という神が実験体の姿であったのでした。
そして、神の背後にある物体。
薄い四角形の金属片に、ワイヤーがクラゲのように伸びた装置。
現実チップ。
台の上のそれをポケットへと押し込んだ魁渡は、出口へと急ぎます。
しかしその道を、タメシを殺したあの怪物が塞いでいたのでした。
あの特徴的な声でジン=ギタクシアスと名乗った怪物は、手下を招来し魁渡を追跡させます。
戦闘もそこそこに魁渡は研究所を逃げ出しますが、龍の姿をした巨大なメカが彼を補足したのでした。
巨大な口で、エネルギーの玉を構えるメカ。
足を踏みしめ、身構える魁渡。
そしてその時、龍が吠えた。
魁渡が再び見上げると、メカの口の中の光は消え、装甲に覆われた喉には橙色の光が一直線に輝いていた。
(中略)
壊れた機械の背後に、ひとりの女性が立っていた。純白の髪、その手には一振りの剣。
(中略)
放浪者。
感情を抑えられないかのように、魁渡は胸に手をあてた。安堵に。
友が、ついに故郷に帰ってきたのだ。
今回はここまで
放浪者の一撃は、灯争大戦やイコリア時代から大振りでカッコいいというのは周知の事実ですが。
それを表したシーンの表現がコレよ。
そしてその時、龍が吠えた。
アニメかよォ!格ゲーかよォ!!
居合の一閃で敵を切り伏せるキャラってカッコいいよね。
今回の放浪皇はその立場のキャラクターなのかもしれません…(^q^)アチィ
あと、途中で出てくるタミヨウのセリフ。
私にとっては家族が全てであり、中立の立場でいたいという願いよりも遥かに重要なものです
これがまさかの伏線だったとはね…最終回になればわかることですが…(遠い目)
ということで、神河プレインズウォーカー三人衆そろい踏み!
次回に続きます!
☆Twitterで更新情報発信中!フォローお願いします!
【関連記事】
*出典*
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません