【カルドハイム】第7回 ドゥームスカールの終結【ストーリー】

2021年4月11日

はじめに

前回までのカルドハイム!

怪物を追っていたケイヤと、この世界に破滅をもたらさんとするものを追っていたタイヴァー!

彼らの前に現われた悪鬼ティボルトは言う!

「ドゥームスカールを起こそうとしている?惜しい、もう起こしてるんだよ」

次元に混乱をもたらし、逃走するティボルト!

正義に燃えたタイヴァー、そしてそんな彼の姿に感化されたケイヤ!

彼らはこの次元を救うべく、人間たちの領界、プレタガルドへと向かうのだった…!

 

…ハイ、というわけでカルドハイム決戦編ですよ~

 

戦争を終わらせる手段

人間氏族ぺスキールの城塞。

その城塞には、管理者シグリッド、そしてタスケーリ氏族から”傷頭のアーニ”、カナー氏族から”牙持ちのフィン”が集まっていたのでした。

 

遅れてやってきたのは、ルーン目のインガ。

そして、彼女に連れられてきたスケムファーのタイヴァーと、”旅人”のケイヤ。

 

シグリッドは、現在のプレタガルドの状況を整理しつつ、その解決案を提示します。

この領界は、トロール、デーモン、巨人の侵略を受けていること。

そして、それらに対処するためには、領界を閉じることのできる領界の剣を使うしかないこと。

「コルの奴、この業物を完成させてたのか」 ひゅう、とアーニは口笛を吹いた。

「そうです」 シグリッドは頷いた。

「ですがその使用法を、彼は墓へと持って行ってしまいました」

沈黙の一瞬が過ぎた。フィンがそれを破った。

「知識がなければ、それはただの剣だ。タイライト製なのは認める、だが上等な剣が何本あろうと、ドゥームスカールを止めることは叶わない」

「一人、それを振るう力を持つ者がおる」

その声は火鉢の光が届かない、暗い片隅から届いた。五人目の人物が影から踏み出た――旅人用の長く分厚い外套をまとった老人。その肩には一羽の鴉がとまっていた。

「その剣の持ち主となるべき神。戦いの神、ハルヴァール」

 

アールンドの啓示を受けた英雄たちは、ハルヴァールのいる戦場へ向かうため、彼の鴉ハーカに乗って飛翔します。

 

鴉の背中から見えたのは、奇妙に被害の少ない村と、その中心に存在するハルヴァールの姿。

しかし、そこへ向かおうとケイヤが鴉へ指示を飛ばしたとき。

「危ない!」というタイヴァーの声とともに、ケイヤは自分が宙に放りだされたのを感じたのでした。

落下しながら見えたのは、巨大な斧を抱えた、デーモンの姿。

その悪魔によって鴉が仕留められたと気づいた時には、重力に捕らわれ急速に地面へと近づく身体。

死の恐怖がケイヤを襲う中、彼女は同じく落下するタイヴァーとアーニに空中で触れると、水面に落ちるその瞬間に幽体化し、全員の命を救ったのでした。

岸に上がると同時に襲い来るドローガーたち。

アーニは剣をドローガーの胸骨に突き刺し、それは宙をかいたがアーニには届かなかった。彼は振り返った。ケイヤが思った通り、笑みを浮かべて。

「先に行け。俺はこいつらを相手する。せめてもの礼ってやつだ、あの気味悪い魔法で助けてもらったからな」

戦士ひとりにドローガーの軍勢全部。不利どころではない。とは言うものの、アーニは賭けをこよなく愛する男のようだった。




エルフの王と悪魔の王

アーニがこじ開けた戦線。

ケイヤとタイヴァーはそこを抜けて走ります。

しかし聞き覚えのない音が響き渡ると、タイヴァーが凍り付いたのでした。

その音の発生場所を視線で辿り、ケイヤはその原因を知ります。

それは、ヘラルド率いるエルフの軍団でした。

「タイヴァー、向こうに構ってる時間はないわ。行かないと」

ケイヤはそう言ったが、タイヴァーは根が生えたように動かなかった。

「ケイヤ殿、ティボルトの悪意の犠牲者は人間だけではない」 タイヴァーは彼女へと向き直って言った。

「あの者の嘘のために我が民を戦わせ、死なせるわけにはいかない。あの軍の先頭には兄がいる――私なら、兄を説得できる」

タイヴァーは虚勢に満ちているが、善い心根の持ち主でもあった。

「わかったわ。じゃあ、行きなさい」

「貴女は大丈夫か?」

ケイヤはにやりとし、自信を見せようとした。

「私はアンデッド殺しで名を得てきたのよ。だから大丈夫」

彼は頷き、そして立ち去った。

 

単身、ハルヴァールの元へ向かうケイヤに、二つの影が現われます。

一つは、味方として合流した海の神、コシマ。

そしてもう一つは、ケイヤに立ち塞がった悪魔、ヴェラゴス。

 

領界の剣を見た悪魔は、別の世界に囚われた過去への呪詛を吐きつつ、二人へと襲い掛かりました。

ケイヤの心身が疲労に侵される中、聞き覚えのある声が響きます。

「手を貸そうか?」 背後から声がした。

タイヴァーだった。彼はケイヤが見るにトナカイのような動物に乗っていた。

 

先ほどまでの戦友の隣には、彼に似た姿のエルフが一人。

タイヴァーはいつも通りの口調で、自慢の「兄」ヘラルドを紹介したのでした。

すぐさま戦線に飛び込む彼の背中を見たケイヤは、思わず感じたのです。

「いい友達を持った」と。

「その」 ケイヤはエルフの王へと声をかけた。

「弟さんは――」

「愚か者だ」 ヘラルドは早口でそっけなく言った。

「そして自慢屋だ。とはいえ嘘吐きではない。あれは私が過ちを犯すのを止めてくれた。それは感謝している」

「私自身もすごく感謝しています」

「あれは、貴女を橋まで辿り着かせろと言っていた」

ヘラルドは彼女へと手を伸ばした。

「連れて行こう」

「タイヴァーさんは?」

二人は戦いを振り返った。エルフたちがデーモンとドローガーと激突していた。

(中略)

「間違いなく、戦いを満喫している。さあ、来るのだ」




戦う英雄たち

ヘラルドはケイヤを自身のトナカイへと誘うと、その瞬足は彼らをあっという間にハルヴァールの元へと連れたのでした。

戦線を維持する神へと、ケイヤは領界の剣を渡します。

「あなたが振るうべきものを持ってきました」と。

ハルヴァールが剣を放ると、それは彼の手の打ちへと収まりました。

まるで、初めからそこにあったかのように。

「コルが鋳造した剣だ――死す直前に」 ハルヴァールはかぶりを振った。

「それがエルフによって我が手に戻るとは」

「私とて、簒奪者の神を手助けすることになろうとは決して思わなかった」 ヘラルドが言い返した。

「だがこの惨状を収められるのは、どうやらお前だけのようだ」

ハルヴァールは頷いた。

「その通り。この剣があればできるだろう。だが時間が要る」

「それは私たちが」とケイヤ。

「私が領界を今一度切り離すまで、この橋を守護せよ」

「この忌まわしい橋の何が重要なのだ?」とヘラルド。

「正しくは、この橋の先に何があるのだ?」

「民がいる」 ハルヴァールは一言だけ答えた。

 

戦いを彼女らに任せた戦の神は、深い瞑想へと入ります。

同時に、領界の剣もその内から輝きを放ち始めたのでした。

二人へと近づくドローガーと、その後ろに控えるかのようなトロールたち。

「これは愚行だ」

ヘラルドが呟いた。近づく危険を感じ取ったトナカイがそわそわと動き、彼は手綱を握り締めた。

「そうね」 タイヴァーがくれた手斧を、ケイヤはベルトから引き抜いた。

「たぶん」 それでも、ここを離れる気はなかった。

 

混沌とする戦場。

しかし、さらなる混沌がそこへ訪れます。

空間の変容。雷鳴のような轟音。

空を裂くように現われた大蛇は、まるで何かを探すように上空をさまよった後、別の裂け目へと飛び込んでいったのでした。

 

その間に襲われたのは、巨体のデーモンと数十体のドローガーたち。

ケイヤが安心したのもつかの間、同じ裂け目から、輝かしき影が下りてくるのを見とめます。

それは、幾多もの戦乙女たちと…一人の人影。

その人物は、ケイヤの近くへと降り立つと、解き放った魔法はドローガーたちをガラスのように砕いていったのでした。

「いい技ね」とケイヤ。

(中略)

「私はケイヤ。あなたの名前は?」

「ニコ。ニコ・アリスです」

カルドハイムらしくない名前。

「わかったわ。詳しい自己紹介はもっと後で」




戦争の終結

ケイヤは再び戦場へと目を戻します。

そこには、狂暴なる獣のようなヴェラゴスが。

 

ヘラルドが地中から蛇を召喚して拘束するも断ち切られ。

ニコが破片を投げるも弾かれ。

タイヴァーがその背中に刃を突き立てるもその手に掴まれ…。

しかしその瞬間。デーモンがエルフに視線を取られたその刹那。

それこそが、暗殺者ケイヤの求めていた隙だったのでした。

確かに彼女は今、英雄的な行動をしようとしていた。だがケイヤはとても長い年月を暗殺者として過ごしていた。

その動きは滑らかで簡素、楽とすら言ってよかった。幽体化も魔力も必要としなかった。ケイヤは滑り込み、ヴェラゴスの自由な腕を通過し、その喉を斧で綺麗に薙いだ。デーモンは前によろめき、両手は首筋から突然噴き出たタールのような血にまみれた。そしてもう一歩踏み出し、鉤爪を伸ばし――倒れた。

 

息つく暇もなく、後ろで轟音が響き渡ります。

ケイヤが振り返ると、ハルヴァールは剣を振りかざし、今もドローガーたちを招き続けている裂け目を塞いでいったのでした。

まるで、深い傷が癒えていくかのように。

「最終的に」 無数の靴で踏み荒らされてぬかるみ、今や静まった戦場を横切りながら、タイヴァーが言った。

「私個人で百体に迫るドローガーと、三体のデーモンを倒した。だが私が思うに、彼らは貴女の物語をこれからずっと語るのだろうな。ヴェラゴスを――血空の君主を殺した女性。ああ、今にも聞こえてくるようだ!」

「そうね、細かい所をきちんと説明してあげて」とケイヤ。

体中が痛み、疲労し、だがまだ笑みを浮かべることはできた。

 

ケイヤの元へと歩み寄ったタイヴァーは、付け加えるように話します。

でも、この英雄譚を伝えるのは自分ではないだろう、と。

自分は見るべきものを見るために、多元宇宙へ向かうと。

「あら、プレインズウォークには興味ないんじゃなかった?」

タイヴァーは肩をすくめた。

「私の判断は軽率だったよ。そして貴女がその価値を教えてくれた。貴女がいなければ、この世界に何が起こっていたかなどわからなかった。思うに、今以上に大規模な混乱と破壊が起こっていただろう。どこかの次元が、人々が、私の力を必要としているかもしれないのだ。カルドハイムが貴女を必要としたように」

 

タイヴァーの相変わらずの真剣さと純真さに少し呆れつつも、ケイヤは確信していたのでした。

彼は一度ならず自分の命を救ってくれた。だから大丈夫だろうと。

裂けた次元から現われたものの後始末の件を話しつつ、シグリッドはケイヤの今後を問います。

ケイヤは、怪物を追っていたが、それらは次元を越えて遠くへと行ってしまったのではないかと語ったのでした。

「領界の先には何があるのですか?」 ニコがそう尋ねた。

「次元が幾つもね。ちょっと複雑な話になるけど」

ケイヤは追い払うように手を振った。疲れきって、全ての説明を繰り返す気分ではなかった。だがその目に奇妙な熱意を宿し、ニコは踏み出した。

「次元。その一つはテーロスという名ではありませんか?」

ケイヤは驚いてニコを見た。ここでその名を聞くとはとても意外だった――とはいえ、今日起こったことで意外でない物事があるだろうか? もう一人いたなんて。ケイヤは溜息をついた。

「話をした方が良さそうね」




エピローグ

カルドハイムの領界の中心。

あらゆる生命の起源、世界樹。そのふもと。

樹の神エシカは、起こりえるはずのない「死」を感じていたのです。

身体から流れゆく生命。力の入らない四肢は、その全身を支えていなかったはずでした。

目の前の怪物が、自分をつかんでいなければ。

怪物は樹の根元へと近づくと、戦いの中で奪った瓶を井戸へと傾けたのです。

「試料は採取した」 縫い合わされた声で、怪物は言った。

「戻る準備はいい」

誰に向けて言っているのかも、エシカにはわからなかった。

部屋の光が消えたようだった、あるいはただ視覚が失われつつあるのか。不意に、部屋の中央に眩しい閃光が現れた――息のような音を立て、火花を散らす赤い輝きが一つの星のように始まり、広がり、ゆっくりと、円になっていった。その円は広がった。領界路ではないことはわかった。かつて見たこともない魔法だった。

そのポータルの先から、極めて不気味かつ奇妙な音が届いた。かろうじて、それは何かの声だとわかった。

「よくやった、ヴォリンクレックス。これで我らはまた一歩、完成に近づいた」




今回はここまで

ヒエエエエエェェェェェェェ!!!(゚ロ゚屮)屮

…ってなりましたよね、最初読んだ時。

カードリストが公開された時から、最も注目されていたと言っていい新ファイレクシアの法務官ヴォリンクレックス。

ストーリーを順に追っていても、イマイチ見せ場がなく。

このまま終わっちまったらあの期待感はなんだったんだよ!!となってしまっていたところ…

 

一番カッコいい見せ場を作っていきやがったぜチクショウ…!!

 

絶妙にゾっとする展開。伏線とするにはあまりに印象の強すぎるストーリー。

くうぅ…!やってくれるぜウィザーズさんよォ…!

 

さて、新ファイレクシアの久しぶりの登場に目が行きがちなストーリーですが。

カルドハイムでの戦争は、各英雄が見せ場を持っていて良いですよね!

カルドハイムの神は、どこぞの次元とは違い、「民第一!」みたいな信念が見えるのが非常に好感が持てます。

タイヴァーは、登場シーンのセリフをもう一度持ってくる、という粋な演出をしてきますし。

アーニは公式で専用のストーリーが公開されているくらいなので、めちゃカッコいいキャラクターになっていますね。

そして、最後にケイヤとかかわりを持ったニコの今後は一体…!?

 

と、いうわけでカルドハイムのメインストーリー紹介は終了!

次回もお楽しみに!

 

*出典*

MAGIC STORY メインストーリー第5話:決戦、カルドハイム

 

Posted by オクハラデン