【団結のドミナリア】第1回 潜む新ファイレクシア【ストーリー】
はじめに
来たぜドミナリア!
PWですらファイレクシア化されるということが分かったネオ神河。
そのファイレクシアへの打ち手になるかもしれないヒントを得たニューカペナに続いて。
再訪するのは、全ての始まりの地ドミナリアです。
そこはある意味"ファイレクシアにとってもなじみ地”。
想像以上に進んだ彼らの侵攻は、物語に大きな波乱を巻き起こします。
「団結のドミナリア」編!まいりましょう!
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潜む脅威
ドミナリア次元。コイロスの洞窟。
カーンは自ら創造した掘削機械とともに、洞の調査を行っていたのです。
彼の手元にあるのは、強大なるアーティファクト、”ゴーゴスの酒杯”。
その作動のための秘密を探るべく、彼は洞窟の特殊な地質に苦戦する掘削機械をケアしながら探索を進めていたのでした。
やがて彼は、洞の内部にあったかつての工房へと辿り着きます。
重量のある彼が踏み入っただけで壊れそうな物品の中から、酒杯に関する粘土板を見つけたカーンは、自らの作業台へと戻ります。
その机の端には、積みあがったジョイラからの手紙。
返信していないのは、巻き込みたくないから。
ファイレクシアの脅威…その元凶となった次元"アージェンタム"を創造したのは自分であるから。
だからこそ、酒杯の秘密を明らかにしなくてはいけない。
すでにその気配を感じる、ファイレクシア人よりも先に。
やがて、カーンは何度目かの掘削機械の壊れる音を聞きます。
駆け付けた彼がその壁面に見たのは、油ぎった黒色の雫、埋め込まれた生きたケーブル。
カーンは確信します。
これはファイレクシアのものだ、と。
彼は壁面のケーブルを引き剥がそうとしますが、抵抗したそれは洞窟を崩落させ、カーンは引き戻る道を失ってしまったのでした。
決意とともに、トンネルの前方へと踏み入るカーン。
やがて彼が目にしたのは、精緻で真新しい壁の彫刻。
そして彫刻家と思われる男女二人だったのです。
彫刻に触れるカーンへと、激憤とともに木槌を振りかざす女性。
カーンはゴーレムなりの力で二人を拘束しますが。
怒り狂う女性に対し、男性のほうが見せた態度は意外なものだったのでした。
その男はカーンに目をしばたたかせた。その瞳孔が大きくなった。激しい動揺。結果、発せられたその言葉は早口で不明瞭だった。
「カーン様。存じております。来て頂けるとは光栄です」
カーンは顔をしかめた。
「『囁く者』がカーン様のための計画を所持しておられます」
見習いはにこやかに笑った。
「あの御方は日々強靭になられております。カーン様もお仕えなさるのでしょう。シェオルドレッド様は喜ばれます! 我らのために創造の技を振るうのは、貴方様のさだめです。我らの力となり、我らの一員となるのです」
ファイレクシアの陰謀
シェオルドレッド。それはファイレクシアの法務官の名前。
洞窟の奥へと進んだ彼は、すぐに「その姿」を目撃します。
目の前に広がる大きな裂け目と、その向こうのファイレクシアの基地。
群がる労働者と、完成途中の人間を載せた手術台。
そしてポータル船の中に中吊りになった、シェオルドレッドの上半身。
これは、ファイレクシアの侵略のための準備基地。
(中略)
この光景を他のプレインズウォーカーが見たなら、自分の怖れは真だったとわかるだろう。ジョイラは――
いや。ジョイラが何と言うかは問題ではない。この脅威に独りで立ち向かうのだ。
確かに、皆に警告する必要はある。だからと言ってこの場所を無傷のまま放っておくわけにもいかない。ファイレクシア人が身を守る体制が整う前に破壊しなければ。
発火装置を手に強襲をかけようとしたその時、洞窟を警報音つんざきます。
振り返った先には、先ほど拘束していたはずの彫刻家の女性。
脱出のために飛翔艦へとファイレクシア人が殺到する中、カーンの胸に赤い光線が当たります。
その出所は、シェオルドレッドに付き従っていた、片目が小型光線砲の女性。
ローナと名乗ったその女性は法務官とカーンの間に割って入ると、電流を帯びた剣で彼へと応戦したのでした。
その攻撃の苦痛に耐えながらも、カーンはローナを壁へと投げつけます。
そして、とどめを刺さないことをあざ笑う彼女の言葉を背に、カーンはシェオルドレッドへと近づいたのでした。
このシェオルドレッドをばらばらに切り裂いてしまうのだ。弱っている今のうちに潰す。シェオルドレッドがこの世界をファイレクシア化するのを止めるためには、何だってする―何だって。
カーンは手を伸ばしてシェオルドレッドの上半身を掴み、この全てを終わらせようと決意した。この発火装置をもろい外装の間に挟み込み、この法務官を殺す。
カーンの接触に、シェオルドレッドは身動きをした。兜の頭部が彼に向けられた。
(中略)
『ヨウコソ、父上』
シェオルドレッドが彼の心へと囁いた。ひとつの機械的存在からもうひとつの機械的存在へ。
『父上ノタメノ計画ガアリマス』
カーンはねばつくような囁きにひるみ、後ずさった。そしてシェオルドレッドが何を成しているかを知った。
シェオルドレッドの計画。
それは、ドミナリアのありとあらゆる場所にファイレクシアの工作員を忍ばせること。
その工作員は、どこにでもいる。
そしてあらゆる人物にその可能性がある。
カーンは手に持った発火装置を起動しようとしますが、その手が動かないことに気づきました。
視界の隅に映ったのは、魔法装置へ向かうローナ。
そして響く轟音。
ローナは嘲り声とともに言います。
これはファイレクシアたちがここから脱する音、そして第二の基地へと撤退する音だと。
失敗した、カーンはそう感じていた。ローナの魔法に拘束され、友に警告もできず、彼らの隣で戦うこともできない。完成されたファイレクシアの工作員は彼らの最愛の仲間たちの皮をまとい、爆殺しようとしている。なのに、それを救うこともできない。
(中略)
ローナは壁のスイッチを叩いた。小さく耳障りな音に続き、頭上で幾度かの爆発音があった。轟音とともに洞が崩れ、彼を飲みこんだ。何トンもの岩が降りかかった。大岩が壁面から剥がれ、カーンの胸に衝突した。
(中略)
古の次元間技術、そしてファイレクシアの技術が粗悪な干渉を行っており、彼の次元渡りを阻害していた。
カーンは囚われてしまった。シェオルドレッドはドミナリアに到来しており、それを誰にも警告はできない――彼にわかるのはそれだけだった。
砂時計の砂粒
何日か、何週間か、何か月か…どれほどの月日が経ったのかもわからない暗闇。
誰にも居場所を伝えなかったことを後悔しているカーンのもとに、ひっかくような音が届きます。
やがてのしかかる重みが消えるとともに、触れる温かい指先。
救出されたカーンが見たのは、トンネルの先に立つアジャニだったのでした。
口を閉じたまま、彼は友好的な笑みをカーンに向けた。
ためらいながらもカーンは頷いた。これまでアジャニに会ったのは数度きりであり、彼の種族において歯をむき出しにすることは威嚇を意味する。
そのためこの小さな笑みは、人間のどれほど大きな笑みよりも好意的だった。
ジョイラは手紙に、開封すると起動する追跡魔法をかけていたため、カーンの居場所は分かっていたこと。
そしてその手紙の動きが止まったことで、自分を助けに寄こしたのだとアジャニは説明します。
銀の身体に残った槍先を除去しながら、カーンはどれくらい経ったのかを聞くと。
「数か月です」。そうアジャニは答えたのでした。
久方ぶりにキャンプへと戻り、酒杯や粘土板が無事であることを確認したカーン。
彼はアジャニに向き合うと、自分が数か月前見たものを全て説明したのでした。
そわそわと歩き回りながら、ファイレクシアの存在を皆に伝えるべきだと言うアジャニ。
彼はかぶりを振った。
「私が発見したファイレクシアの基地へ行くことはもうできません。ファイレクシアがドミナリアに帰還している物的証拠は何も持っていないのです」
「ありますよ?」 アジャニはあの槍先を取り出した。
「カーンさん、ケルド人とベナリア人の和平を目的とした会談が執り行われます。ファイレクシア帰還を真剣に受け止めてくれる国があるとすれば、そのふたつです。その指導者たちと話をするのはいかがでしょうか」
今回はここまで
冒頭から登場するファイレクシアの法務官!展開はやい!!
そして告げられる、ファイレクシアの衝撃の作戦。
これにより、カーンの目線からはすべての人物がファイレクシアン候補となってしまい、アジャニですら完全に信頼していないことが本編からは読み取れます。
さてそんな中、彼らは和平協定を行う場へと赴くわけですが…?
次回もお楽しみに!
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↑カーンが酒杯(サイリクス)を掘り出していた時のエピソード
*出典*
メインストーリー第1話:闇のこだま
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