【運命再編】第2回 龍たちのタルキール【ストーリー】

はじめに

頭に鳴り響く声に導かれ、サルカンはタルキールの”きずな”へとやってきます。

そして、案内役を務めたナーセットは、サルカンの仇敵によって命を奪われたのでした。

燃え立つ門をくぐり、彼が見たのは、「新しい世界」だったのです…。

 

目次

辿り着いた場所は

暗黒と静寂。

その果てに彼は世界を踏みしめ。

振り返れど、一瞬前まであった全てはなくなっていたのでした。

くぐったはずの燃えさかる門はなく、ズルゴも、ナーセットもいなかったのでした。

息が詰まった。

彼女が死ぬ必要などなかったはずだ。

「何故だ?」 この時、彼の声は実際の音となった。それが運ぶ苦悩が静かな夜にこだました。

「何故彼女が死ななければならなかった?」

(中略)

「ウギン!」 彼は叫んだ。

彼は返答を待った、だが何もなかった。

「お前は……何処にいる!」 彼は言葉を詰まらせた。「俺はどこにいる?」

答えはない。

 

気づけば、彼の頭の中で響いていた声はまるで無かったかのように消え去っていたのでした。

皮肉なことに、彼が呼びかけているにも関わらず。

自分がどこにいるのか、何をするべきなのか。

案内役を失ったサルカンの頭上に響いたのは、雷鳴の轟きでした。

稲妻と、打ち付ける凍てつくような雨。

その中で、彼は見たのです。

一対の翼。しなる巨躯。響き渡る咆哮。

彼が夢にまで見た、龍の生まれ来る姿を。

サルカンの目の端に涙が溢れ、弱くなりつつある雨に混じって彼の頬を流れ落ちていった。彼は瞬きをしてそれを払った。視界が霞んでしまう。見たかった。見なければならなかった。

 

サルカンは唐突に思い出します。

ナーセットの言っていた、古の書物の一節。

『過去に目を向け、ウギンへの扉を開けよ』

そして悟ったのでした。

ここは、古のタルキール。

自分は、まだ龍が生きていた時代のタルキールへ踏み入れたのだと。

彼の胸に感情がこみ上げた。「ウギン、感謝する」

頭上では、空の高貴なる獣たちが吼えていた。そしてサルカン・ヴォルはその合唱に加わるべく、声を上げた。




過去の英雄

嵐より生まれてくるドラゴンたち。

力の化身にして、壮麗なる光景。

歓喜に打ち震えるサルカンは、その隊列を追います。

彼も龍となり、大小さまざまな龍たちの飛行に合流しようとしたとき。

一本の魔法的な鉤爪が、隊列の中の雛を捉えたのでした。

眼下には、剣歯虎を擁した人間たち。

彼らの刃は、ドラゴンたちを屠っていきます。

「そんな!」

その叫びはサルカンの唇から出た、再び唇となっていた――龍の口ではなく。そして彼の翼も無くなっていた。その瞬間は無くなっていた。あの女と獣がそれを奪ったのだ。

(中略)

暗い感情が彼の内にうねっていた。憎しみの炎が血を熱していた。彼女を殺してやろう、この報いにあの戦士を殺してやろう。

 

絶壁を飛び降りようとしたサルカン。

しかし、一人の女戦士の姿が、彼の足を止めます。

赤く輝く鉤爪で、大岩にシンボルを彫る女性に。

そしてその姿に、彼の激怒は感銘へと移ろったのでした。

「お前の言った通りだった。氏族は強かった、人は素晴らしかった」

そう言おうと、サルカンはナーセットを振り返った。

「完璧な――」 だが彼女はそこにいなかった。

押し寄せる苦悩を彼はぐっと飲み込んだ。

彼女が死ぬ必要などなかったはずだ。

この光景を見せたかった。彼女は、これを見るに相応しい。

そして、見るだろう。見せてやる。

 

彼はその瞬間決心します。

物事を正すために、どんなことでもしてやると。

遠い未来でナーセットの時が訪れたとき、彼女を龍が待っているように。

過去はもはや過去ではない。それはたった今……無くなった。

無くなった。永遠に。

(中略)

これは、新たな始まりだった。新たなタルキールの――彼のタルキールの。




古のカン

サルカンは、その女性を追います。

手に持った鉤爪で、岩に印を残しながら歩く女性。それはまるで、彼を導くかのように。

そして、彼女を追跡する道すがら、サルカンは突然後ろからの殴打を受け、巨大な生物に押し付けられたのでした。

「私を追っていたな」 彼女は言った。

(中略)

「何故だ?」

 

サルカンは答えます。

自分のこと。ウギンの導きのこと。

その女性が、自分の案内人なのではないかと思ったこと。

そしてー彼は未来のタルキールからやってきたこと。

「偉大なるカン」を表すサル-カンの名に、その女性は眉をひそめながらも、これまでの無作法と非礼を詫びたサルカンに、彼女は認めるようにうなずいたのでした。

「私は、龍爪のヤソヴァ」 彼女は言った。

「ティムール境のカンであり、多くの龍を殺した、この地の主だ」 彼女は両腕を広げた。

「追放者ヴォル、統べる地と統べる者なきカンよ……歓迎する」




今回はここまで

MTGには珍しいタイムトラベルものになったタルキールの物語。

ちなみに、サルカンは1280年前のタルキールへ戻った設定らしいですね。

1280年前て!日本だと西暦800年とかですよ!?平安時代よ!?

逆にタイムスリップしても、サルカンのいた「今」とほぼ変わらない状況だと言うことに、タルキールという次元の歴史の長さを感じますね…笑

さて、古のティムールのカンと出会ったサルカン。

彼女の口から発せられる、「衝撃の事実」とは!?

次回もお楽しみに!

 

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*出典*

古の、新たなタルキール

書かれざるもの

Posted by オクハラデン