【Φ完全なる統一】第5回 エルズペスと完成化したアジャニ【ストーリー】
はじめに
前回、ドロス窟の闘技場にてヴラスカを救わんとしたジェイスでしたが、時すでに遅く、彼の目の前でヴラスカは完成化し、ジェイスはその攻撃を受けてしまったのでした。
闘技場にて八方ふさがりとなり死を覚悟した一行ですが、ナヒリの渾身の一撃により、彼らは闘技場ごと下層の美麗聖堂へと落下します。
彼らが目指すべき種子中枢まであと二層と迫りましたが、その戦力は時を経るごとに削がれていったのでした。
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最深層へ
ドロス窟とは全く異なる、白磁の光景。美麗聖堂。
コスは言います。
ナヒリの払ったとてつもない犠牲を無駄にしてはいけないと。
彼女が選んだ死を称え、進み続けなければならないと。
「あの人は感染していました」とエルズペス。
「終わる直前に、変質している様が見えました。気付いていなかったわけはありません。ですが、何も言わなかった」
「私には明かしてくれました」
歩調を早め、メリーラが追いついて言った。
「溶鉱炉階層にいた時、治せるかって聞かれました」
「治療は可能だったのですか?」
エルズペスが尋ねた。
可能だったが、そこにかかる途方もない時間をナヒリが許さなかった、とメリーラは溜息混じりに言います。
そしてそれは、前を歩くジェイスも同様だろう、と。
エリシュ・ノーンの玉座から、下層のマイコシンスの庭へ、そして種子中枢へと下った一行。
そこには、エリシュ・ノーンが植えたであろう世界樹ー『次元壊し』がぎらつく油を流し、そしてその枝を久遠の闇へと伸ばしていたのでした。
ファイレクシアは多元宇宙と繋がった。
その事実を裏付けるように、侵略船はその枝の上方へと次々に消えていったのです。
世界樹の根元へ向かう過程で一行が見たのは、分解されたカーンの姿。
「急ぐのです。侵略はまだ始まったばかりです。救うことのできる次元がまだあるでしょう。ですがせめて…… いえ。酒杯は破壊されたのです。全ては失われたのです」
「別の酒杯を作りました」
エルズペスが言った。
「まだ、これを終わらせることはできます」
(中略)
「私はもう手遅れです」とカーン。
「貴方だけじゃない」
ジェイスがそう言い、タイヴァーの胸を押した。床に降ろされると、ジェイスはカーンに近づいて腕の傷から広がるものを見せた。
「俺ももう手遅れです。だから俺に、ファイレクシアから多元宇宙を守らせて下さい」
彼は足を引きずりながら、部屋の反対側に開いた通路の入り口へと向かっていった。
変わり果てた仲間
コスとメリーラはカーンの元へ残り、エルズペスたちは更に先へと向かいます。
種子中枢の根源へ向かう、最後の橋。
彼女たちが見たのは、多元宇宙へと繰り出す無数の侵略船団。
すると彼女たちに聞こえてきたのは、背後から迫る規則正しい足音。
振り返ったエルズペスが見たのは、プレインズウォーカーだったころとは全く違う姿のアジャニとティボルトだったのでした。
「ようこそ」
彼はかつてと変わらない声で呼びかけた。
「エルズペス、よく来てくれた。また会えて嬉しく思う。生き残って、私の仲間になってくれるのは嬉しいことだ」
「仲間になるために来たのではありません」
彼女は吐き捨てるように言い、身体の前に剣を構えて手に力を込めた。
「貴方を止めるために来たのです」
(中略)
アジャニの隣に立つティボルトは、むき出しの腱の束で繋がれた骨板と棘の悪夢へと変貌していた。
(中略)
「カルドハイムでも貴様は怪物だった。ようやく相応しい外見になったようだな」
タイヴァーは驚くほど冷静だった。
「怖がるべき時もわからない、ちっちゃくてお馬鹿な王子様よ」
ティボルトは嘲った。
「あんたはいつだって、オレの手で死ぬ運命なんだよ」
タイヴァーはこの戦いを自分たちに任せるよう魁渡たちへ告げ、彼らを先へと進ませます。
ほどなくして始まる戦い。
アジャニはその斧をエルズペスへと振り下ろしつつ、彼女へ諭すように話しかけました。
ファイレクシアに加わることこそが必然であり理想なのだと。
同時に繰り広げられる、タイヴァーとティボルトの戦い。
彼は油に耐性のある空僻地の金属を身にまとい、歪んだ笑みを浮かべるティボルトの攻撃を受け流していたのでした。
ティボルトは非常に満足気だった。
「あんたは俺の魔法に抵抗できるっぽいが、それは自分の自信に疑問を持てないくらいにあんたの頭が空っぽだからだ。全員があんたみたいに不安にならないわけじゃねえ」
彼はタイヴァーから顔をそむけた。
戦いの最中においては究極の侮辱。そして彼はかつての導師に苦戦するエルズペスへと、恐ろしい薄ら笑いを向けた。
「疑念」
ティボルトの口の端から、油ぎった煙が漏れ出た。
「それはそんな奴らに対して使える、何よりも強い武器だ」
旧友そして仇敵との戦い
エルズペスを襲ったのは、苦悩と疑惑の波。
全ては自分のせいなのだ。
自分がもっとすぐれていたら、自分が正しい判断をしていれば。
アジャニは完成化しなかった、ヴラスカも助けられた、次元壊しが多元宇宙へ侵略する前に止めることができた…。
アジャニに叩き落とされる彼女の武器。
響き渡るティボルトの高笑い。
タイヴァーはティボルトの棘の尾を掴むと、彼を覆う空僻地の金属は敵へと流れ込み始めたのです。
「何をしてやがる?」
明らかに驚き、ティボルトが問い質した。
「私の魔法は覆ったものを抑えこむ」
タイヴァーは言い、脅しのように金属の歯を見せて笑みを浮かべた。
「貴様の疑念も、届かなければ相手に触れることなどできない」
その言葉を裏付けるかのように、確信とともに立ち上がったエルスペス。
彼女の剣から発せられた光に、アジャニは驚きとともに後ずさります。
そして彼がよろめいた隙に放たれた柄の一撃は、アジャニの意識を奪ったのでした。
目を見開き、タイヴァーへと振り返るエルズペス。
タイヴァーはかぶりを振った。
「この小悪魔は私が対処する。この者が我が次元へと成した行いは死に値する。行け、皆に合流するのだ。私は大丈夫だ」
(中略)
先に行った者たちを追おうとエルズペスが駆け出す直前に見たのは、タイヴァーがティボルトの尾をそのファイレクシア人の心臓があると思しき場所へと突き刺す様子だった。
ティボルトは甲高い苦悶の悲鳴をあげ、タイヴァーに橋から突き落とされてもまだ叫び続けていた。吐き気を催すような粉砕音とともにティボルトが下方の橋に墜落すると、沈黙がその後に続いた。
エルズペスは駆けた。
今回はここまで
旧友であるエルズペスvsアジャニも勿論アツいのだけど、カルドハイムで一度刃を交えているタイヴァー&ティボルトの戦いも負けないくらいアツいっすね!
この悪魔によって故郷を荒らされたタイヴァーでしたが、今回新ファイレクシアの地でしっかり復讐を果たしました。
しかしまぁ、ティボルトはどこまでいってもティボルトでしたねぇ…。
いい意味で、抜けない小物感。
さて、「ここは俺に任せて先に行け!」を(二回も)やったタイヴァーでしたが、無事戦いを制し、エルズペスとともに種子中枢の深層へと向かいます。
次元壊しの破壊を目論む彼らの行く末やいかに!
次回メインストーリー最終回!お楽しみに!
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