ニッサの灯の覚醒~故郷の邪悪な存在と対峙したエルフの少女【ストーリー】
はじめに
ついに第四弾!
「ゲートウォッチの起源をたどる!マジック・オリジン」
今回は、ゲートウォッチきっての森ガール(!)ニッサ編です!
彼女のオリジン、公式の記事はその名を「故郷」。
他のプレインズウォーカーと違い、ゼンディカーで生まれ、ゼンディカーに生きているイメージの彼女ですが、灯の覚醒のきっかけは如何に…!?
それではいってみましょう!
ニッサの幻視
ニッサはそのころ、たびたび悪夢を見ていたのでした。
最初は、自分を包む心地よい光の流れ。
しかし、そのうち巨大な黒い縺れが光を押し返し、息詰まる暗闇に飲み込まれ…
そこで目が覚める。
そして、ニッサが身を寄せる宿営地の長ヌーマは、これを危険視していたのでした。
その日も、ニッサの母メローと話すヌーマは、彼女のもたらす危険を憂いているのです。
「何も、誰も探してもいません」 これは彼女の母、メローの声だった。「破壊は手当たり次第にやって来るだけです」
「手当たり次第? あなたの民はゼンディカーを怒らせ、その代価を支払うこととなった。あなた方が最後の精霊信者であるのは、その理由からだ。」
ニッサは身震いをした。皮膚の湿気が冷たくなった。
「ゼンディカーは復讐に燃えてなどいません」 母は主張した。
「もしそう信じているとしたら、あなたは何もわかっていない。あなたとあなたの娘は私達皆を危険にさらしている。それを見過ごすことはできない」
(中略)
「理解してほしい、私は民を第一に考えねばならないと」 彼は続けた。「私の民を守らねばならない」
「あなたは……私達を追放すると?」 母の声色には疑念があった。
「メロー、私に選択肢はない。ゼンディカーの報復の危険を背負うことはできない。済まない、本当に」
彼女は仲間から追放を言い渡される前に、一人その宿営地を離れることを決めたのでした。
ニッサは、その一族のほぼ全てが滅びた精霊信者の生き残りです。
離れた先で友人のマジクと遭遇した彼女は、旅立った森の中で光の波に飲まれ、そこでゼンディカーと完全につながったのでした。
そして知ります。
ゼンディカーは自分へ邪悪な意思を向けようとしていたのではないと。
ゼンディカーはただ、邪悪なる何者かに苦しめられていたのだと。
ゼンディカーとつながることにより、次元がニッサを導こうとしている場所もわかり始めます。
ニッサはマジクと、そしてゼンディカーとともに旅を続けるのでした。
巨悪との邂逅
ニッサは旅の中で、大地とつながり、エレメンタルを呼び出すことを覚えます。
やがてマジク、そしてエレメンタルと旅をするニッサは、ついに暗黒の源へとたどりついたのでした。
エレメンタルは後ずさった。ニッサはその岩の角を回って覗きこみ、息をのんだ。
巨大な、菱形の石が宙に浮かんでいた。落ち着かないほどの静けさで、それぞれが不自然な完璧さで間隔をあけながら、強大な魔術の力でそこに定められたかのように浮いていた。太陽がその平坦な表面の奇妙な模様に反射していた。それらは環を描いてアクームの最高峰を囲んでいた。
「着いたの」 ニッサは言った。彼女はその峰を幻視でよく知っていた。そこに、あの黒い縺れがある。
マジクに送り出されたニッサは、暗黒に立ち向かうべく歩みを進めます。
それが一族にもたらしたことを、ゼンディカーへもたらしたことを憎みながら。
彼女はゼンディカーの力を最大まで引き出すと、そのすべてを暗黒に向けて解き放ったのでした。
ひび割れからあの黒色が滲み出て、敵に対峙することを予想し、そのために身構えた。
だがその必要はなかった。山は無傷のままで、暗黒は今もその内にうめいていた。
まるで彼女の呪文が何も成さなかったかのように。
「どういうこと?」
暗黒の縺れはねじ曲がり、うなった。邪悪な笑い声、ニッサにはそう聞こえた。引っかくような笑い声が放たれ、狂気の衝撃波がニッサに襲いかかった。それは彼女の両目を貫き、魂を燃やした。
ニッサが見たのは、化け物。
ニッサを襲ったのは、強大なる狂気の波。
その”巨悪”はニッサの抵抗をものともせず、彼女はその強大なる力の前に倒れたのでした。
次の波には耐えられないと思ったその時、まるで卵が割れるように彼女の内の何かにひびが入った。そして温かく、濃く、何もかもを貪る力がひび割れから漏れ出した。それは並ぶもののない強さをもって彼女にうねった、その怪物の狂気よりも強く――内から彼女を引き裂いてしまえるような、ゼンディカーの構造を引き裂いてしまえるような。
そして終わった。これは彼女の終わりだった。彼女はあの暗黒を破壊できなかった。それは彼女を破壊した。
ニッサは身を任せた。
次に起こったことは、ニッサには理解できなかった。耐え難い苦痛が彼女を貫いて走り、ニッサは虚空へと投げ出された。
ローウィンの地
ニッサが目覚めたとき。
彼女は不安定なる移動の終焉に安堵するとともに、自分の失敗を悟り、自責の念にかられたのでした。
「そんな!」 ニッサは怒りに拳を地面に叩きつけた。その時、大地は応えた。その内の何かが跳び上がって彼女に対面し、引き込んだ。
彼女はこの新たな土地へと落ちてきた。ローウィン、それはそう名乗っていた。ゼンディカーと似ても似つかない世界。
(中略)
だが両方とも、苦痛の中にあった。
どうして? ニッサは疑問に思った。
どうしてそれほどの苦痛が、暗黒が、邪悪があるの?
「大オーロラ」という現象により、300年のサイクルで薄闇と陰鬱に包まれた「シャドウムーア」へと変貌を遂げるローウィン。
彼女はそのさなかに、この次元を訪れたのでした。
自分の目の前で大オーロラに捕らわれ、邪悪な姿へと変貌するエルフ。
ニッサはその暗黒から逃げながらも、ただ故郷のことを思っていたのでした。
「ゼンディカー、ゼンディカー、ゼンディカー」 彼女は繰り返し口にした。
彼女は内なる火花を感じた。アクームで、虚空に投げ出される前に感じたそれを。それは再び点火し内から彼女を引き裂いた。
(中略)
はっと澄み渡った瞬間、ニッサの目の前に一本の糸が伸ばされた。
それはよく知った光の輝く流れに似ていた、だがもっと太く眩しかった。それは頭をもたげるように、彼女に対面した。
それは彼女の道だった。生きている間ずっと探してきた、まさにそのものだった。
ニッサは震える手を伸ばし、それを掴んだ。それは彼女を大きな力で引いた、ローウィンの現実へと切り込み、そして虚空の中へと。広大な空間へ転がり出ると、ニッサは自身の道が久遠を通して解かれているのを見た。
それは多くの場所へと繋がっている。
だが今は、故郷へと。
今回はここまで
そして物語はゼンディカーへ戻る…。
このあと、暗黒の正体たるエルドラージが解放され、ニッサの誓いへ続く…と。
灯の覚醒とともに次元渡りをし、自分の身に何が起こったかを理解できず、その次元でしばらく様子見をするのが常のプレインズウォーカーですが…。
ニッサはその中でも珍しく、すぐにプレインズウォークを行えるようになり、またそれを使って故郷へ戻った、というパターンです。
彼女がどれほどゼンディカーという地を大切にしていたかを物語るエピソードですね~。
というわけで次回でマジック・オリジン編最終回!
次の物語へ続く、「カラデシュ」を故郷に持つチャンドラのオリジンをご紹介します。
お楽しみに!
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