【灯争大戦】前章~「ドミナリア」のその後【ストーリー】

2022年7月23日

はじめに

公式のドミナリアのストーリーは、滅ぼした四柱の悪魔との契約がボーラスへ返り、リリアナが巨悪の元へ降ることで幕を閉じます。

そして、彼女の行方を知らないギデオンは、誰もいないドミナリア次元で途方に暮れたのでした。

【ドミナリア】第11回 ベルゼンロックとの決着、そして…【ストーリー】

この後のストーリー(公式)では、すでに大戦開幕後となっており、その間を繋ぐ物語は灯争大戦の英語版小説(Amazonへのリンク)でのみ公開されています。

今回はそんな小説の中から、ドミナリアと灯争大戦を繋ぐ物語を一部ご紹介!

リリアナの裏切りを知ったゲートウォッチたちの反応や、灯争大戦へと向かう彼らの覚悟を是非知ってください!

※以下の引用文は全て筆者の拙訳になります。原文は小説のほうをご覧下さい。




目次

大戦の予兆

カラデシュ次元、ギラプール。

チャンドラは、母の住まいにてアームチェアに身を沈めていたのでした。

彼女の視線の先にいたのは、ドミナリアで共に戦い抜いた英雄たち。

ジェイスは、そこにボーラスを倒す秘策があるかのように飲み物を睨みつけ。

テフェリーは深呼吸とともに目を休ませており。

アジャニとヤヤは、軽快な会話を交わし。

カーンは部屋の隅にたたずみ、彫像のような見た目をさらに強固なものにしていたのでした。

まるでホットチョコレートが突如戦いを挑んできたかのようなせわしない動きで、ジェイスはテーブルからカップを上げ下げしていた。

「あいつ遅すぎるぞ」ジェイスは言った。

「あいつ」というのは、ゲートウォッチの魂(とチャンドラが最近信じるようになった)ギデオン・ジュラのことだ。ギデオンは他のゲートウォッチの一員を探すために、元いたドミナリアに戻っていた。

このカラデシュで落ち合うはずだったにもかかわらず、姿を見せなかった屍術師、リリアナ・ヴェスを。

※筆者拙訳

 

ジェイスはすでに理解していました。

リリアナはこの戦いに加わるつもりではなかったこと。

そして、契約していた悪魔の四柱が斃れた今、自分たちには彼女にとっての利用価値がなくなったのだということ。

しかし、ジェイス以外のメンバーは、リリアナを信じ続けていたのです。

彼女がまだ英雄たちの仲間であるということを。

そして、ギデオンに連れられここにやって来るということを。

ラヴニカへと向かう時間が迫る中。

しかしギデオンは、まだ彼らの待つ場所へは現われなかったのでした。

と、チャンドラは次元の向こうからの呼びかけを聞きます。

「感じた?」チャンドラはそう尋ね、彼らもそうだとわかっていた。

全員が無言でうなずいた。彼女は天を仰ぎ、もちろん母のアパートの天井が見えるだけだったが、その天井と自分の間には、宝石のように輝く光があり、彼女に「…へ…ラヴニカへ…」と呼びかけていた。

「ラヴニカ!」ヤヤが言い、他の仲間たちからもそれぞれ同意の声が上がった。

「これはどういうことですか?遅すぎたということでしょうか?」カーンが尋ねた。

誰もすぐには答えられなかった。

※筆者拙訳




ギデオンの帰還

彼らは全員知っていました。

ボーラスがその次元で罠を張っていることも。

そしてそれを阻止しようと動けば、返り討ちにあう可能性が高いことも。

そこへ金色の光とともに、ギデオンが到着します。

黒き剣を帯び、英雄然とした姿で。

「やっとか」と声を上げるチャンドラとジェイスに、ギデオンは謝罪をしつつ、ラヴニカに引かれる力を感じると言ったのでした。

「ボーラスはすでに罠を張っているのだろうか?」

テフェリーは再び肩をすくめた。

「そう思っていた方がいい」

チャンドラはぼそっと言った。

「リリアナは?」

ギデオンは目を逸らした。

「ドミナリアには彼女の痕跡はなかった。彼女はプレインズウォークしたが、明らかにここには来ていない」

「ラヴニカへの呼びかけを感じて、どうしようもなかったのかも」

チャンドラはいつになく希望に満ちた声で言った。

が、ギデオンは首を横に振った。

「彼女はラヴニカに行ったかもしれない。だがもしそうだとしても、この招集…まぁそれが何であれ、その前に行ったんだ。そして彼女は私達がまずここに来ると知っていたはずだ」

ジェイスは言った。

「ほらみろ、とは言いたくないんだが」

ギデオンは眉をひそめた。

「まさに今それを言いたそうだな」

ジェイスは実際傷ついているように見えた。

※筆者拙訳

 

戦力として期待していた者の不在を嘆くヤヤ。

後悔しても仕方ない、とアジャニ。

そしてギデオンは言います。

今、リリアナのためにできることはない。

今は、ボーラスに立ち向かわなくてはいけないのだと。

それが罠だとわかっていても。

アモンケットの悲劇を、繰り返してはいけないと。

 

チャンドラは、自分の中に燃える思いを感じます。

それは、裏切ったリリアナへの憤り。

同時に、自分の心の支えであった、ニッサへの寂寞。

7人であったゲートウォッチは、すでに2人欠けてしまったのだ。

 

チャンドラは奮い立たせる様に言います。

悪いことばかりではない。

キオーラもタミヨウも、自分たちと目的を一にしている。

そしてジェイスは生けるギルドパクトだ、と。

「そうだな」ジェイスは肩を揉みながら、恐らく本人は感じていないであろう自信を見せた。

「では、さっそく始めよう」

彼はラヴニカへとプレインズウォークを始めると、青い光の複雑な十字模様に分解した。

ギデオンとアジャニは金の嵐で、ヤヤは赤い炎の炎でそれに続いた。テフェリーは青い旋風と共に去り、カーンは鋭い金属音を立てて簡素に消え去った。

チャンドラは立ち止まり、今は誰もいない部屋を見回した。

「さようなら、ママ」彼女はささやいた。

「私たちの幸運を祈ってね」

そして自身の炎の炸裂とともに、彼女はプレインズウォークした。

故郷カラデシュから、ラヴニカで自分たちを待つものへ…。

※筆者拙訳




今回はここまで

小説版灯争大戦より、ドミナリアと灯争大戦を繋ぐ物語でした。

この「ラヴニカからの呼びかけ」こそ、ボーラスの張った罠の一つ、「次元間の標」ですね。

呼びかけに応じたプレインズウォーカーたちは、ボーラスによってラヴニカに幽閉され、灯争大戦が幕を開けます。

とはいえ、灯争大戦は小説一冊の巨大な戦争。

公式のストーリーで紹介されてない中にも、重要なシーンがたくさんあります。

またぼちぼち紹介できればと思っていますので、次回以降もお楽しみに!

 

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<出典>

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