【イクサラン】番外編 ヴラスカの後日談【ストーリー】
はじめに
前回までで、イクサランの日本語公式に出ているストーリーの流れを最後までご紹介しました。
しかし!イクサランのストーリーにはまだ続きがある!!
ヴラスカは、灯争大戦時点ではすでにボーラスの敵側へと回っています。
と、いうことは、ジェイスに記憶を預けたヴラスカは、どこかのタイミングでボーラスを裏切る決断をしているのです!
このあたりのストーリーは、灯争大戦の前日譚として英語ストーリーが紹介されています。
今回はこのストーリーから、ヴラスカのイクサランの記憶にまつわる部分をご紹介します。
引用部分は全部筆者のつたない英語訳なので!そこはご了承ください!
↓ストーリーのまとめはこちら↓
ギルドマスターの地位
ヴラスカは、イクサランでの活躍により、ボーラスからギルドマスターの地位を約束されていました。
ドラゴンから現ギルドマスタージャラドの場所を教えられたヴラスカはそこへと乗り込み、往時軍、そしてクロールの力を借りながら彼を殺害します。
かくして、ボーラスに約束された通り、ゴルガリ団のギルドマスターとなったヴラスカですが、そう平和に事は収まりません。
ヴラスカのマスター就任に反発する勢力は多く、特に同じくその地位を狙っていたアイゾーニからは、毎日のように暗殺者が送られてくる日々を過ごしていたのでした。
その日も、彼女の側近となったストーレフの連れてきたエルフの暗殺者を石化して殺害し、「玉座の糧」とした後でした。
玉座から無様に生えた石化の腕を蹴り飛ばし、彼女は怒りのまま玉座に座した後、頭を抱えます。
彼女はより良きゴルガリのために指揮を取ると決めた。
しかし、彼女には仲間が必要だともわかっていた。
そして、自分はそれを見つけたのだ。自分はボーラスを見つけた。そのドラゴンを助ける代わりに、彼はゴルガリのギルドマスターの地位を約束してくれた。そして、自分はいまここに座している。彼は決めたことを最後までやり遂げてくれた。そうだろう?
自分の中で全てが崩れ去るのもそこだった。彼女はボーラスのために動くことを了承したことを覚えているし、ドラゴンは自分にゴルガリの玉座を約束した。
そして、彼女は向かった。
向かった?どこへ?ラヴニカへ?ボーラスの助力を受けて戦ったことは覚えている。しかし、そのことについて考えすぎると、彼女の頭はズキズキと痛み始めた。彼女の記憶は薄く、バラバラでつながりのないものだった。
私は望んでいた全てを手に入れた。
ヴラスカは死体の玉座を見、巨大なギルドホールを見渡した。
ならばなぜ私はこんなに…空虚なんだ?
彼女は哀れなる暗殺者を仕留めることに、何の喜びも感じなかった。ジャラドですら、ヴラスカの計画の集大成、というよりは、不快なゴキブリを潰すかのように感覚だった。
私はどうしちまったんだ?
※筆者英訳
記憶に残る穴
苦悩するヴラスカに、ためらいがちに接触してきた者がいます。
それは、テレパスを使うことのできるクロール、ゼディック。
彼はおずおずとヴラスカに精神的接触を図りながら、難しい選択を迫られている、と告げるのでした。

「選択?」ヴラスカは眉をひそめた。
「選択とはどういう意味だ?何が起こった?」
『説明できません』ゼディックは続けた。
『でもやらなくてはいけない。あぁ親愛なるヴラスカ様。もし他の方法があるなら…』
「ゼディック」クロールの精神的な声は苦悩に満ちており、ヴラスカはなだめるような声のトーンを保った。
「大丈夫だ。こっちへ来な」
※筆者英訳
ゼディックはなおも躊躇しながら、少しずつ彼女の脳内へと語り掛けます。
決してヴラスカの精神に接触するつもりではなかったと。
しかし、ギルドホールの隅にいても感じられるほどに、ヴラスカの精神は乱れていると。
その精神の形に言及したクロールに、ヴラスカは問います。
「わかった。で、私の精神に何があったんだ?」
『穴があるのです』
ヴラスカは凍りつき、そのとがった指で玉座の腕かけを強く握りしめた。しばらくの間、息が止まったような心地だった。
「なんだって?」
『あなた様の精神には穴があるのです。』ゼディックは沈鬱な様子で話した。
『あなた様の思考が乱れているのには理由があります。あなた様はその精神の穴を感じ、しかしご自分ではそこに行きつくことができず、その循環をずっと繰り返しているのです。お話ししてしまうのは気が進みませんが…』
「誰かが私の思考から何かを取っていったということか?」
ヴラスカは動揺のあまり、瞬間的に蔓のような髪が逆立つのを感じた。脅威を目の前に、反射的にゴルゴンの本能が目の端に金色の光をともしたが、彼女は急いでそれを消した。
「いつ?誰が?」
※筆者英訳
ゼディックはその剣幕に圧されつつも説明します。
正確には、記憶は持っていかれたのではなく、封印されているということ。
それを行ったのは、ゼディックとは比にならないくらいのテレパスであるということ。
ヴラスカは最近の不快な感覚を思い出しつつ、その事実を認めます。
ヴラスカは視線を上げた。
「元には戻せないのかい?ふさがっているものを解放することは」
『できると思います』ゼディックは躊躇した。『しかし…』
「なんだ?」
『親愛なるヴラスカ様。その封印は…温和なものなのです。テレパスがその者の意志に反して他人の精神を書き換えるとき、その精神には抗った形跡がつきます。あなた様にはそのような形跡がないのです。何をされたにせよ、あなた様が同意の上でなされたことなのだと思います』
「同意の上?私の精神に踏み入った奴に?」ヴラスカはかぶりを振った。
「まさか。そんなはずない」
『申し訳ありません』ゼディックは言った。『もう行きます。その通りです、私が間違っていたので…』
「待て」彼女は大きく息を吐いた。
※筆者英訳
イクサランの記憶
ゼディックは、自分の力ではその封印を解いた後、元に戻すことはできないと警告します。
そして、その選択によってヴラスカが不幸になるのも嫌だ、と。
ヴラスカはしばらくの熟考の後、記憶を戻すことを決めたのでした。
自分の意志でやったことならば、いずれわかることだ、と。
クロールはしばらくの間黙っていた。
『お望みのままに、親愛なるヴラスカ様。もう始めてしまってよろしいのでしょうか』
今だろうか?ヴラスカは思った。そして、準備を整えるために待つように言おうとした。
違う、今しなくてはいけないのだ。そこに何があろうと、恐れることはない
「あぁ」彼女は言った「やってくれ」
※筆者英訳
ゼディックが自分の思考に介入する感覚。
しばらくの重圧がかかった後、奔流のように記憶が溢れたのでした。
・・・ヴラスカはジェイスの手を握っていた。
「あのろくでなしの邪魔をしてやりましょう」
自分たちはラヴニカを救うのだ。
「私は次に会った時にもお前のことはわかるんだよな……けど絶対、お前を殺そうとする」
「そうですよね」
イクサラン。『喧嘩腰』号。彼女の船員たち。そして、ボーラスの依頼。その過程とその結末。
記憶につぐ記憶はひっくり返り、入り乱れ、しかし正しき場所へと戻っていった。
自分自身の声。
「私の魔法は死の中にあるかもしれない、けれど殺すことには何の喜びもないんだよ。前は、他に選択肢がないからそうしていた。今は私だけじゃなく、皆にとって正しいことをしないといけない」
「俺が思うに、ヴラスカさんは素晴らしい指導者になる定めにありますよ」とジェイス。
彼女の心臓は早鐘のように打っていた。
「貴女の最高の復讐は、生きているということだけじゃなくて、ヴラスカさんを捕えた人たちが考えもしなかったような凄い何かに変わったことです。それがどれだけ凄いことか、わかりますか?」
どれほどまでに打ち明けた?ヴラスカは記憶の奔流に揉まれるようだった。
ジェイス、お前はなんでこんなことを私にしてくれている?
※一部筆者英訳
やがて、記憶をたどってヴラスカは思い出します。
ボーラスの計画を。
ラヴニカを崩壊させんとする、そのドラゴンの邪悪な企みを。
そして、自分はそれに加担したのだということを。
ゼディックの接触により記憶から抜け出したヴラスカは、息切れしながらゼディックに感謝を伝えると、側近のストーレフを呼びだしたのでした。
ヴラスカは怒って脇に投げた急使に対して、わずかながらに罪悪感すら感じた。彼は未だにアゾリウスだ。イクサランでどんな変化が自分に起ころうが、そしてまたそれが心の内にどう影響しようが、アゾリウスの手先に対する復讐心は変わることがないだろう。
そうだよな?彼女は歯ぎしりをし、その髪は蠢いていた。
なんとかして、ヴラスカは感情を抑えた。
「地上へ急使を送りたい。あて先は…」
アゾリウスではない。断固として。他に誰が彼らとともに動いているだろうか?
「…ラル・ザレックだ。ひとまず」
「承知いたしました。ヴラスカ様」ストーレフは頭を下げた。
「して、伝言はなんと?」
ヴラスカは大きく息を吸った。
※筆者英訳
今回はここまで
今回は初の試みということで、英語のストーリーからご紹介してみました。
というわけで、ヴラスカはジェイスとの再会を前に記憶を取り戻していたのですね。
ここでボーラスの計略を思い出したヴラスカは、ラルとともにギルド会談へと臨むわけですが…
これはまた灯争大戦のお話。
後日談も終わりましたので、これにてイクサラン無事終了!お疲れさまでした!
またフレーバー等の紹介ののち、別の次元の物語でお会いしましょう!
次回もお楽しみに!
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