【兄弟戦争】第2回 新ファイレクシアのテゼレット【ストーリー】
はじめに
前回、テフェリーの尽力でプレインズウォーカーたちが新ファイレクシアへの戦いの準備を進める中。
彼は酒杯の起動方法を知るために時間遡行へと旅立ったわけですが。
今回はそんな新ファイレクシア側のお話。
敵側に混じる「異分子」。テゼレットの物語でございます!
ニューカペナのストーリーにて、どうやらウラブラスクとともに新ファイレクシアへの革命を狙っていることが仄めかされている彼ですが、果たして…!?
↓ストーリーのまとめはこちら↓
テゼレットの野望
テゼレットは苛立っていたのでした。
抵抗もせず、縫合の司教の解剖を受け入れるカーンに。
機械聖典の刻文から引用してセリフを吐くアジャニに。
そして、ボーラスすらも警戒していたそのレオニンを、いとも簡単に壊してしまったファイレクシアに。
しかし、自分はここでその苛立ちを解放することはできない。
次元橋によって蝕まれる自身の身体を救う約束ーダークスティール製の新たな身体を手に入れるまでは。
カーンの”儀式”から立ち去ろうとしたテゼレットの行く手を、護衛天使が塞ぎます。
褒章を得たければ、マイコシンスの深層にいるエリシュ・ノーンへ、機械の父カーンの一部を届けよと。
テゼレットはこれを固辞しようと試みたのでした。
自分の手は他に必要なはずだ。そして任務を終え汚れた自分の装いはそれに相応しくないと。
「これを」
アジャニが言い、その白い外套をさっと外して投げた。それはドミナリアの戦いで血と煤に汚れたままだった。
「これを使って綺麗にするといい」
テゼレットはそれを拾い上げた。白地に金の縁取り、傷跡のような消えかけた桃色の斑点。かつてエルズペス・ティレルがまとっていた外套、たった今彼はそう認識した。
(中略)
『過ちを犯してはならない』
テゼレットは引き下がり、有貌体たちが縫合の司教へと向ける仕草を真似てお辞儀をした。そのような服従を示す行動は彼を心底消耗させたが、憤りを声に出す機会はすぐにやってくるだろう。
『辛抱だ、辛抱せよ』
「母の仰せのままに。任は果たしてみせよう」
新ファイレクシア最深部へと繋がる橋。
カーンの部位を乗せた浮遊台座へと、崇敬の目を向ける有貌体たち。
そして自分を案内するひとりのファイレクシア人。
テゼレットは全く気に入らなかった。ただの届け物に等しい作業にこれほどの虚飾を。だがひとつの思考に、彼の身体に震えが走った。
なぜ自分は、そしてなぜ今、こうして見られている?
ウラブラスクと組んで以来――緩い協力関係であるのは確かだが、どちらも相手の立場を知っている――テゼレットはジェイスがラヴニカに持つ小集団へと密かに情報を伝えていた。あの幽霊魔道士を匿名で雇い、ヴォリンクレックスを追跡させることすら成功したが、それは無益に終わった。
エリシュ・ノーンは自分たちの裏切りを知っていたのだろうか? 自分は罠へはまりに行こうとしているのだろうか? それを確認する方法がひとつある。
テゼレットはエーテリウムの腕を伸ばすと、案内人へと手をかけます。
彼が命令を下そうとするも、それを拒否するファイレクシア人。
同時に、それはテゼレットの刃を弾き襲い掛かりますが、彼は台座を蹴り飛ばすと、案内人を打ち倒し刃で貫いたのでした。
その死体を転がすと、彼は道から外れたのです。
マイコシンスの内部へと。
エリシュ・ノーンのもとへ
「個人的な用事」を済ませるため、マイコシンスの塔へと向かったテゼレット。
そこで口を開いたカーンは、自分ならテゼレットが向かう道を開いて行けると言ったのでした。
カーンの指示に従い、テゼレットが台座からその頭部を外し、部屋の扉に接触させると。
重苦しく開いた部屋の向こうには、彼の望むものが鎮座していたのでした。
新ファイレクシアのあらゆる場所を見せてくれるモノリス。
「ダークスティールの瞳」
「私自身、ニコル・ボーラスのための諜報活動をしていた時に数度利用できたに過ぎない。当時も半ば壊れていたが、とても良い洞察をくれた」
「もしエリシュ・ノーンが瞳を修復していたら、これは彼女が貴方に見せたいものだけを映すでしょう」
「それを判断するのは私だ」
テゼレットはカーンの頭部を床に置き、ダークスティールの瞳の表面に触れた。
「瞳」が映したのは、ボーラスの永遠衆の軍勢よりも遥かに大きな機械の軍勢。
その輸送方法を疑問に思いつつ操作を続けていた彼は、2つの見られない場所があると気づきます。
ウラブラスクの領域と、エリシュ・ノーンの聖域。
テゼレットは自覚します。
カーンの言っていたことは正しかったのだと。
部屋を出て、カーンへとこの先に待つ破滅を予見するテゼレット。
銀のゴーレムはそんな彼へ、ここまでの協力をしたことを責めたのでした。
「私は勝ち取るために次の一日を生きているのだ! ひとつ息をするたびに、近づいているのだ……」
「何に、ですか?」
自由に、彼はそう言いたかった。だが別の単語が唇へと介入した――完成に。
心がはやり、束の間の考えが駆け巡った。新ファイレクシアに最初に到着して以来ずっと、ニコル・ボーラスによる接種のおかげでぎらつく油からの影響を免れていた。だが……あのドラゴンはもはや生きていない。そのため免疫が弱まっていたとしたら? あるいはもっと悪いことに、カルドーサの炉での処置が次元橋以上の悪影響を身体にもたらしていたとしたら? 何か……もっと潜行性のものを。
『皮膚は祝福されし者を束縛する』
「貴方にも聞こえるのでしょう?」 カーンが言った。
「『留意せよ。問うなかれ。従うのだ。来たりて属せ』――ぎらつく油が私の心を支配していた時と同じ声です」
「黙れ!」
怒りに我を忘れかけるも、任務を思い出しエリシュ・ノーンの元へ向かうテゼレット。
反射池のそばに座すエリシュ・ノーンは、上機嫌に彼を迎え入れたのでした。
カーンの上半身を掴み、歓迎の意を表す法務官。
そしてテゼレットはエリシュ・ノーンへと褒章を要求しますが。
笑みを浮かべたエリシュ・ノーンは、ドミナリアにて知己のプレインズウォーカーを啓蒙せよと命じたのでした。
テゼレットは理解します。
この法務官は自分の約束を果たす気などない。
計画に使えるだけ使い、いずれ用済みとして捨てる。
もっと悪いことになれば、アジャニのように飼い犬とされる。
求道団、ニコル・ボーラス、あるいはファイレクシアの法務官であれ、このように自分を裏切った者は必ずその怒りを被るのだ。今ではない、だが必ず。
彼はエリシュ・ノーンに両目の視線を定め、自らの嘲りを、憤怒を、憎悪を全てその姿に注ぎ込んだ。この瞬間を決して忘れないために――全てが明らかになったこの瞬間を。もしウラブラスクが望むのが戦争ならば、そのような戦争を手に入れてやろう。確実に手に入れてやろう。
(中略)
彼女はテゼレットへと顔を上げた。温和な外面は消え去り、彼女の声には冷淡さがあった。「何故、まだここにいる?」
うなり声をひとつ発し、テゼレットは踵を返して歩き去った。
今回はここまで
テゼレット…お前…!( ;∀;)
というか、しれっと明かされましたね。テゼレットの二重スパイっぷりが。
ケイヤはカルドハイムへと誰かの依頼で行っていた描写がありましたが、まさかテゼレットであったとは!
タミヨウが完成されたとき、ファイレクシアに心酔する彼女の瞳に、テゼレットは違和感のあるものとして映っていましたが。
今回で、彼のファイレクシアに対する憤懣が明らかになりました。
さて、彼はどうやらヒーロー側にも立ちそうですが、エリシュ・ノーンの駒にされている状況を抜け出せるのか…!?
そして、本編ではこの後ドミナリアに向かい、ローナとともに次元への侵攻を開始しようとするわけですが…果たして!
次回に続きます!
お楽しみに!
☆Twitterで更新情報発信中!フォローお願いします!
Follow @okhrden_mtg
【関連記事】
*出典*
Discussion
New Comments
No comments yet. Be the first one!