【エルドレインの王権】第3回 ヴァントレスの魔法の鏡

2021年2月7日

目次

はじめに

さてさて、この記事を書いている時間軸では、つい最近の禁止改定により、ついにモダンでも「むかしむかし」が禁止になり、オーコに引き続き「なんてエキスパンションだ!!」という機運が高まっているエルドレインの王権…。

今回もストーリー紹介、やってまいりましょう!

ケンリス王が何者かの手により連れ去れてしまった前回の続きになりまーす!

 

双子の旅立ち

大巡行での父ケンリスの疾走から、すでに三ヶ月が経っていました。

今や崇王の玉座には、探索する獣より与えられた一振りの剣があるのみ。

この剣は、探索行の候補者二人に与えられたものでした。

ウィルはあの日以来収まらない頭痛に悩まされながら、疑問をいだきます。

もう一人の候補者、リンデンが受け取ったとされる剣は何処へ行ったのでしょうか?

 

母リンデンに関する疑問はそれだけではありません。

かつてケンリスは探索行のさなか、数か月に渡って行方不明となっていました。

そしてリンデンが、彼と明らかに別の女性との間に生まれた双子を連れ帰ってきたと言われています。

自分たちの実母の最期とは?

そして、なぜリンデンは、騎士号を四つで止めたのか?

 

崇王が行方不明になってからしばらくたった今、このような疑惑は、宮廷の中でも聞こえるようになってきているのでした。

 

「……崇王様が失踪したのは、女王にとっては好都合じゃないのか? ただの配偶者じゃなく、自分が支配者になるために」

「探索行を終えてないってのは奇妙な話だよな。ケンリスを手に入れるために双子の実母を殺したって噂だろ」

 

親友のタイタス、シーリス、そして妹のヘイゼルもいる中、ローアンは、暗い顔で口を開きます。

「お父様がいなくなって5つの宮廷が協力できなくなっている」

ウィルも静かにうなずきました。

 

「皆、女王を軽視しているんだ。けれど、父上を見つけたらそれも終わる」

「だから私は行く。ウィルも来るんでしょう。忘れたの? 今日が私たちの誕生日よ。誰にも止められないわ」

 

ウィルはその言葉に同意する一方、頭のなかに懸念も残っていました。

事態が急すぎます。

通例になっている、出発の儀式もしていません。

なにより、挨拶もせずに出ていくことで、母を悲しませたくありません。

 

「古い儀式を気にしてどうするの?」

「ウィル、一緒に来るのよ。私達でなら、お父様を見つけられるわ」

 

タイタスとシーリスもうなずきながら、同行の意思を示してくれました。

 

「それならまずヴァントレスに行き、魔法の鏡に父の行方を聞きに行こう。」

ヴァントレス城

 

ウィルの提案に、ローアンは笑顔で答えます。

彼女は妹に向き直り、出発の意を伝えました。

「ヘイゼルはお母様に伝えて。心配しないようにって」

 

「いつだって心配していますよ、母親というのはそういうものです」

 

通路から聞こえてきたその声に、全員が飛び上がりました。

他ならぬ母リンデンの声です。

 

「止めたって無駄です!」

ローアンは叫びました。

「止めるものですか。私も十八歳になったその日に、自らを試そうと故郷を離れました。あなたがた二人と全く同じです。とはいえ、挨拶もせずに出発するのは寂しいことですよ」

 

ローアンはしばしの沈黙のあと、母を抱きしめました。

彼女から数度鼻をすする音が聞こえたのは、きっと聞き間違いではなかったでしょう。

そして、リンデンはウィルを安心させるように額にキスをしたあと、城壁の外へと向かう双子を見送ったのでした。

 



不可解な幻視

ヴァントレス城を実質統率してると言われている魔法の鏡インドレロンは、その鏡の知らない秘密を打ち明けることにより、一つの真実を教えてくれると言われています。

双子は、道中で出会った女性の伝承魔道士エローウェンの力を借りつつ、ヴァントレス城の鏡と対峙するのでした。

魔法の鏡、インドレロン

 

ウィルの呼びかけに応じ、インドレロンは水面下より現れます。

『ローアン・ケンリス。ウィル・ケンリス。魔女の呪いより産まれ、血染めの死より産まれ、だが愛と忠誠がそなたらを育てました。いかなる秘密を持ってきたのですか?』

「魔女の呪い? どういう意味?」

『それが問いですか? 私が知らないことを話しなさい、そうすれば返答を与えましょう』

 

ウィルはローアンの足を踏みつけました。

 

「ここに来たのは、僕たちの出生について知るためではありません。鏡さん、父上がどうなったのか、どこにいるのかを教えてください。これが僕の秘密です」

 

そう言うとウィルは、大巡行の日、ローアンに連れ出される前に見ていた幻視を再度見せたのです。

その時、ふいに強風が吹き、氷が割れて破片が舞いました。

そして、魔法の鏡は一つの幻視でウィルに応えたのです。

それは、僻境の森の中、象牙のオベリスクが立ち、朝日立ち昇るとき。

茂みの中より、一体の大鹿が姿を表す、というものでした。

 

『その大鹿を見つけなさい。そうすれば父親が見つかるでしょう』

 

鏡の言葉に、双子は困惑の視線を交わしたのでした。

不可解な幻視

ローアンとウィルは当惑して顔を見合わせた。幻視の中の鹿が父親の居場所を知っているということだろうか?

 



今回はここまで!

今回は、ケンリスを探す旅の、その第一歩のお話でした。

ちなみに、エルドレインのカードをよくご存知なら、すでにこの時点で、ケンリスの行方と、その犯人がわかってしまいますね。

ヒントは、緑3マナの少々マイナーなカード。

○○の変身

 

そして、この"大鹿"ですね。

「オイ、目線が雑だぞ」

 

次回は、僻境へ旅立つ双子と、仲間との悲しき別れについて。

お楽しみに!

 

 

*出典*

『エルドレインの王権』物語ダイジェスト:第4回 不可解な幻視