【ネオ神河】第2回 魁渡の過去【ストーリー】
はじめに
在りし日の神河から1200年。
「ネオ神河」と称されたこの次元を舞台に繰り広げられる物語が、ついに明らかになりました!
和風の世界観とサイバーな世界観が入り混じる!
今までにない、テクニカルな道具や戦術!
そして訪れる、衝撃のラスト…!
こちらでは凝縮して紹介しますので、ぜひお楽しみください!
↓ストーリーのまとめはこちら↓
魁渡の過去
これは、まだ魁渡が幼き頃の話。
彼が向かっていたのは、彼と彼の姉・英子に稽古をつけてくれている軽脚(けいぎゃ)先生のもと。
いつも通り厨房で餅をくすね、いつも通り師匠の元に辿り着いた彼を待っていたのは、いつもとは違う先生の一言だったのでした。
二人の訓練は、もう終わりなのだと。
英子は神の外交官たる道を選択し、他の訓練生に混じるのだと。
秘密にされていた事実に瞠目する魁渡に、英子はばつの悪そうに告げたのです。
「ごめんなさい」 弟の肩に手を置き、英子は言った。
「でも、もうその時が来たの。私たちふたりにとって。それに、これで私のことはもう構わずに、あなたの道を選べるかもしれないでしょ」
英子は神との関係修復のために尽力する。
かたや、魁渡は自分の道すら決まっていない。
軽脚は彼へと、”瞬腕”という人物を紹介します。
それは、皇国の侍を鍛える学院の長。
つまり提示されたのは、「侍になる」というわかりやすい道。
しかし、自分に合っているであろうその道も、魁渡には歩みだしづらいものに感じていたのでした。
瞬腕は魁渡へと、新しい訓練相手が必要だったと告げます。
すぐに現われる一人の影。
純白の髪、茶色の瞳、幼さと釣り合わぬ固い表情。
それは神河の皇。
そして、魁渡にとってはそれ以上の「友人」と呼べる少女。
この国の皇とは知らず、友達として会話をし、「皇さま」と呼べるほどに来る日も来る日も話を重ねた、魁渡にとっての大切な人。
魁渡は皇を見上げた――その背後には陽光が弾け、すらりとした身体の影だけが浮かび上がっていた。
(中略)
その唇の端に笑みが浮かんだ。知っている、そう伝えてくる笑みが。
俊腕が今も見つめている、だから魁渡は笑みを返そうとはしなかった。だが心の内は嬉しさに昂っていた。
魁渡の行く先
それから幾年も二人は訓練と、そして会話を重ねました。
そして、その間に神河の情勢も移ろったのです。
未来派は皇国への不満を募らせており、蜂起軍の噂も立っていたのでした。
その日、魁渡は皇の住処へ向かう道中で、未来派のムーンフォークを発見します。
疑念とともに彼に話しかけた魁渡を、そのムーンフォークは面白そうに見つめたのでした。
「悪気があって言うわけではないが、君はあまり皇国兵らしくないな」
(中略)
魁渡は腕を組んだ。
「俺は皇国の生まれじゃない、けど今はここが家なんだ」
(中略)
「親なしかね?」 魁渡が返答せずにいると、その男は肩をすくめた。
「私もだ。」
図らずも身の内を明かしあうことになった二人。
カツマサと名乗ったその男は、会話を楽しんだお礼とばかりに、魁渡へと折り鶴のドローンを託し、その場を去ったのでした。
彼との出会いを秘密として抱き続けて数か月。
魁渡の元に、再び軽脚が訪れます。
そして彼へと、進路の決定を迫ったのでした。
侍になどなりたくないと突っぱねる魁渡。
しかし、軽脚は諭すように彼へと告げます。
皇は友好の相手ではなく、守るべき相手だと。
神河の技術を管理し、均衡をもたらすことが必要なのだと。
そしてこの言葉を機に、魁渡の胸の内にあったものが口をついて溢れだしたのでした。
永岩城の内にいては見えない事実があること。
この神河にて、全ての者が平等ではないこと。
生きるために技術を必要とする人に、技術がいきわたらない現状があること。
自身の不遇と重ねてまくしたてる魁渡の口を、軽脚は制します。
「許可と規制は技術の安全を保障するものです。貴方のような過激な発言をする者は、皇宮に相応しくありません」
「つまりそれって」 魁渡は苦々しく返答した。
「俺にここでの居場所はないってことですよね」
師に背を向けたのはそれが初めてだった。勇敢にも、力強くも、やりすぎだとも感じなかった。
二度と修復できない何かを断ち切った、そんな気がした。
異邦人の強襲
その日失ったものを考えないように努める夜。
起き続けていた魁渡は皇宮に鳴り響く警報の音を聞いたのでした。
あわてふためく司書曰く、「侵入者が現われた」と。
魁渡は屋根を伝い、最短経路で皇の私室へと向かいます。
折り鶴のドローンとともに駆け付ける彼が見たのは、まるで傷ついたかのように悶える精霊の香醍。
その守護精霊は代々皇とともにあり、前皇が死んだ時のみ、その祝福の相手を変える者。
そして、その皇は私室から姿を消していたのでした。
魁渡は衛兵を呼ぼうとした――叫びを上げたなら彼らはすぐに駆けつけて、香醍に何かがあったと把握するだろう
――だがその時、神の身体の隣、霧の中から見知らぬ男が立ち上がった。
その男は魁渡が見たこともない輝く鎧に身を包み、金属の片腕にはエネルギーが脈打ち、その先端は怪物のような鉤爪の形をしていた。
冷笑とともに去る金属の男。全力で追いかける魁渡。
魁渡が念動力で飛ばした瓦は相手を傷つけることはなく。
逆にその男は魁渡のドローンを放つ手首に目を向けると、あざ笑うように手をひねり、その手首から彼を地面に叩きつけたのでした。
そうこうしている間に姿を消す男。
蜂起軍の襲撃だと叫ぶ皇国軍に対し、魁渡は自らが見たものを話し始めます。
しかし皇国軍はおろか、到着した軽脚さえも、魁渡の言を正しいとはしなかったのでした。
「未来派じゃありませんでした。自分が何を見たのかくらいわかります!」
(中略)
魁渡は頭に血が上るのを感じた。
「みんな探す場所を間違ってる。俺が見た男を追いかけるんじゃなくて、未来派を犯人にしようとしてる。俺が見たあいつが犯人だ」
その声は露骨な怒りを帯びていた。
誰も耳を傾けようとはしなかった。魁渡の言葉には。
魁渡は再度、いや今までずっとわかっていたことを改めて悟ります。
ここは自分の居場所ではないのだ。
一度だって、そうだったことはないのだ。
怒りの涙が頬を伝う中、自室に着いた彼は自身の道を理解したのでした。
神河のどこかにいる、あの金属の男を探し出す。友を見つけて連れ帰る。そしてそれまでは、決して皇宮に再び足を踏み入れはしない。
その夜、魁渡は永岩城の最後の壁を越えた。
振り返ることはなかった。
今回はここまで
プレインズウォーカー魁渡の幼少期のお話でした。
彼の覚醒の物語で語られていた人物たちの詳細がここでわかった感じですね。
軽脚先生とか、カツマサとか…。
同時に、なぜ彼が氷山勢団のようなアングラな組織に属しているのかもここで判明しました。
さて、ひたむきに皇の行方のみを追い続ける彼に待ち受ける未来とは…!
次回もお楽しみに。
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